カテゴリー別アーカイブ: 報道

「自己責任論」と椅子取りゲーム

 20世紀末から、新自由主義に基づいた「構造改革」により、格差が拡大しました。
 富裕層や一部大企業が巨万の富を蓄え、それを年々増やし続ける一方、中間層が減って貧困に苦しむ人が増えました。
 アンケートに対し「生活が苦しい」と答える人の比率は20年前は42%でしたが、最近では60%となっています。
 そのように生活が苦しくなった人が増えた時、急速に広められた思想が「自己責任論」でした。
 辛い目に遭うのは、自分の行動が間違っていたり、努力が足らなかったからで「自業自得」なのだ、という考え方です。
 その結果、現在においても、低賃金・長時間労働などで苦しめられている人が、これは「自己責任」だと思わされている事例が多数存在します。
 しかし、今の貧困問題は、本当に「自己責任」なのでしょうか。

 それを説明する、分かりやすい例として、「椅子取りゲーム」が挙げられます。
 これは、椅子を一つ一つ減らしながら、着席を競うゲームです。椅子が減るのですから、当然、座れない人が出てきてしまい、その人はゲームから弾き飛ばされます。
 このゲームと、ここ20年ほどの新自由主義経済は非常によく似ています。
 企業が短期的な利益を上げる事を最優先するようになりました。
 それを実現する手っ取り早い方法は、「人件費の削減」です。
 そのため、正社員を削減して非正規雇用を増やす、残った正社員も賃下げ・労働強化により、賃金1円当たりの利益を増大させる、という事が多くの会社で行われてきました。
 そして、かつては当たり前であった「8時間働いて普通に暮らせ、安定した将来の見通しがある社員」は、年を追うごとに減らされていきました。
 要は、「安定した働き方」という椅子がどんどん減っていき、その椅子に座れずに社会から弾き飛ばされた人が「自己責任」と言われているわけです。
 確かに、その人がもっと上手く立ち回れば、「椅子」に座り続けることができたかもしれません。しかし、その代わりに別な誰かが、「椅子」から弾き飛ばされるわけです。

 このようにまとめると、「自己責任論」なるものが、根本から間違っている事がわかるかと思います。
 財界並びに、そこから多額の献金を受けた自公政権が意図的に、「安定した働き方」という椅子を減らし続けてきたわけです。
 したがって、その「椅子」から弾き飛ばされる人は絶対に出てきます。その被害者がゼロである、という事は絶対にありません。
 そして、「椅子」の数を減らすす事により、一部大企業は利益を増やし、富裕層はその資産を増やしました。
 その結果生じた、「椅子に座れなかった人」に「自己責任論」を押し付けているわけです。
 それに飽き足らず、今後もさらに「椅子」を減らし、自分たちの利益・富を増やそうとしています。
 たまたま、まだ椅子に座れている人でも、いつ弾き飛ばされて「自己責任」だと言われるかわかりません。ほんのちょっとしたきっかけで、誰にもそのリスクはあります。
 それを防ぐためにも、椅子を減らす今の政策から、皆が安心して生活できるために、椅子を増やす政策に変える必要があります。

 

「長時間労働は日本の文化」は本当か?

 電通の過労自殺事件以来、長時間労働問題が話題になっています。
 その中で、よく出てくる言葉に「長時間労働は日本の文化である」という言葉があります。
 しかし、これは本当なのでしょうか。

 たとえば、イギリスの例で考えてみます。
 イギリスで働いている人のブログなどを見ると、いずれも、定時で上がる風習について驚いています。
 17時が定時で、それから3分もすると、社内に誰もいなくなる、などという事例も紹介されていました。
 「長時間労働が日本の文化」なのでしたら、「定時労働はイギリスの文化」という事になります。
 しかし、これは事実ではありません。イギリスもかつては長時間労働が幅をきかせていた国でした。

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「ポスト真実」を産み出したもの

 英オックスフォード辞書が、「2016年の言葉」としてポスト真実という言葉を選出しました。
 オックスフォード辞書によると、この単語は、「客観的事実よりも感情的な訴えかけの方が世論形成に大きく影響する状況を示す形容詞」。とのことです。
 昨年、世界的に大きな反響があった、「イギリスのEU離脱」並びに「アメリカ大統領選挙」において、いずれも人々の感情を刺激した事実と異なる事を声高に繰り返し叫んでいた勢力が勝利をした、という結果を受けての事なのでしょう。
 もちろん、これは英米だけの話ではありません。日本でもこの「ポスト真実」が大手を振ってまかり通っています。
 その象徴的な例は、安倍首相ならびに、その政策に対する報道でしょう。

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