月別アーカイブ: 2004年6月

採点

 名古屋で、「イラク派兵の是非」を試験問題にして、「賛成」を0点、「反対」を5点とした日本史の教師のニュースがありました。この人がなぜ「イラク派兵はよくない」と考えるに至ったか分かりません。しかし、自分のやった「採点権を利用して、生徒にイラク派兵反対と書かせる」という事が、多数の議席を利用して派兵を強引に推し進めた自民党政府と同レベルでしかない、という事に気づかなかったのでしょうか。

 ちなみに私の高校3年の時の日本史の教師は、若くて気さくで冗談なんかを飛ばしながら、かつ大学受験にあわせた効率のいい授業をする人でした。1月の最後の授業の時、その先生は第二次大戦に関する項目を普通に進めました。そして最後に、「下半身の服を剥ぎ取られた現地女性と日本兵の『記念写真』」を見せました。特に何か主張するわけでもなく、ただ「こういう事実があった」という事を淡々と説明していました。私自身はその「記念写真」はすでに知っていたので、それに対する驚きなどはありませんでした。しかし、その先生の「最後の授業」は今でも鮮明に覚えています。

 ところで、新聞の投書欄を見ていたら、72歳の女性が1944年、女学校で「日本は戦争に勝つか」という試験問題が出て、その中で一人「わからない」と書いた生徒がいたところ、本人は厳しく叱責され、学校レベルでの大問題になったというのがありました。
 こんな「昔話」、10年くらい前に聞いたら「当時の教育は異常だったんだな」という笑い話ですむのでしょう。しかし、東京での異常な「日の丸・君が代」の押し付けや、久留米の「君が代」を歌った時の「声の大きさ」を採点するなどというニュースを見ていると、「当時も今も変わらないんだな」としか思えませんでした。
 いつの時代にもいろいろな「教育者」がいるわけですが、いずれにせよ、自分が持つ「権力」を押し付けるような「教育」だけはしてほしくないものです。

教育基本法で校内殺人?

 ちょっと古い話なのですが、平沼赳夫前経産相が、先週、「教育基本法では個人の尊厳が強調されている。日教組の教育とあいまって、個人の尊厳が行き過ぎて教室破壊が起こり、生徒同士が殺し合いをする荒廃した状況になってきている」と述べた。そうです。教育基本法を「批判」したつもりらしいですが、いったいどうしたら「個人の尊厳」が「生徒同士が殺しあう」に結びつくのか分かりません。
 60年以上前に行われた教育と「殺しあい」の関係でしたら、「60年以上前の日本では、『お国(天皇陛下)のために戦争に行け』と教育され、その価値観を植え付けられた多くの日本人が中国・東南アジアなどで殺人を行った」というふうに説明できます。ぜひ、この元閣僚も、「個人の尊厳」教育により「生徒同士が殺しあう」事が生じた具体的事例を説明して欲しいものです。

イラクでの経費

 外務省が、イラク日本人人質:外務省の負担経費は1,800万円と発表しました。国会などで経費公開の要求があったために算出したそうです。
 その内訳を見ると、出張関係費が約3/4で、あとは「現地対策本部運営費」「副外相のチャーター費」だの、「外相が人質解放を訴えたTV広告の作成費」なども計上されていました。ちなみに、さんざんマスコミが宣伝した「人質の飛行機代」のうち、外務省が負担したのは53万円(ちなみに本人に請求したのは198万円)だそうです。(※なお、誘拐被害者の方々は、あらかじめ自費で帰りの飛行機の券を取っていました。念のため)。

 いずれにせよ、自衛隊の派兵に約400億円かけている事を考えれば、0.05%にも満たない金額です。まあ、それ以前に最初から自衛隊を派兵しなければ、この1,800万円すらかからなかったのですが。
 まあ、いずれにせよ、国会などの働きで、このような経費が明らかになったのはいい事とも言えるでしょう。この調子でぜひ、機密費という名目で与党の政治活動などに使われているとされるカネの流れも明るみにしてほしいものです。