月別アーカイブ: 2004年7月

自殺者を増やす改革

 昨年1年間の全国の自殺者は、3万4427人で一昨年より7・1%(2284人)増え、統計を取り始めた1978年以降で最悪だったことが22日、警察庁のまとめでわかった。そうです。
 原因を分析すると、病苦などの「健康問題」が約1万5千人、「経済・生活問題」が約8千9百人とのこと。特に、「経済・生活問題」が8千人を越えた事は初めてだそうです。
 ところが、これについてコメントを求められた小泉首相は理由はなかなか分からない。なかなかこれだという特効薬がないので困っていますと言ったそうです。普通に数字を見れば、「病気になった時の公的補助がより貧弱になった」「経済的に困窮して生活できない人が増えている」という「小泉改革」の成果だとしか解釈のしようがないと思うのですが。
 まあ、さすがに「これこそ改革による痛みだ。これも日本経済再生のためだ」などとは思ってても言えないでしょうね。当然ながら、そのような首相に「自殺者を増やす特効薬」はあっても、「減らす特効薬」などあるわけがありません。

 なお、「痛みを伴なう改革」についての長文も掲載しました。あわせてお読みいただければ幸いです。

世界中の笑いもの

 イラクに行っていたフィリピンの人が「武装勢力」に捕まり、解放条件に「フィリピン軍の撤退」が挙げられました。それに応え、フィリピン軍がイラクからの撤退を始めました。3ヶ月ほど前に日本人がらみで同様の事件が発生した時、自民党政府やその意を受けたマスコミは「ここで『テロに屈した』ら世界中の笑いものになる」などと主張し、同時に「人質」中傷キャンペーンを張りました。
 しかし、実際に撤兵を開始したフィリピンですが、「世界中の笑いもの」などになっている様子はありません。もちろん、派兵を必要としているアメリカや同盟国であるオーストラリアなどは撤兵を批判しています。しかし同時に、隣国でもあるイスラム教国であるマレーシアは撤兵を歓迎しています。
 まあ、普通に考えれば、どんな案件だろうが、国によって評価が変わるのは当然のことでしょう。にもかかわらず自民党政府やマスコミは、「世界中の笑いものになる」などと、あたかも「人質をとられての撤兵」が、万国共通の恥であるかのように宣伝したわけです。
 もっとも、彼らにとっての「世界」とはアメリカとその同調国・属国の支配層だけで、それ意外の国や市民の考えなど眼に入らないだけなのかもしれませんが。
 いずれにせよ、「世界全体の笑いもの」(似たような言葉に「国際社会から孤立する」なんてのもありますね)などと言った宣伝が使われているときは、「非常に視野の狭い論調だ」もしくは「存在し得ないものを論拠に主張している」と認識する必要がある事だけは確かなようです。

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「注目」の候補

 TVの選挙速報は基本的に見ませんが、昨日は野球中継の途中で割り込んで放送されていたので、見てみました。10分ほどでしたが、その間で「憲法」「イラク」などという言葉は全然出ませんでした。また、「年金」すらちょっと出たかな、という程度です。
 その代わりに、番組の大半を占めたのは「注目の候補」。と言っても、そのほとんどは、芸能界・スポーツ界など、政治以外で名の知られた人です。さらには犯罪をおかして議員辞職に追い込まれた人まで、大きく取り上げられていました。
 いわゆる「タレント候補」ですが、ここ何十年の間、彼らによって何か政治が改善されたり動いたりした事はありません。ましてや「犯罪前歴」などが、他の候補者よりも優先される要因になるとは思えません。

 確かに、こんな報道ばかり見ていると、「政治や選挙などあほらしい」などと思ってしまう人も出てくるのかもしれませんね。それこそ、自民党政府の意をくんで、各報道機関があえてそのような番組構成をしているのでは、とまで思ってしまったほどでした。