月別アーカイブ: 2005年4月

マスコミの提言通りにやった結果

 月曜の朝に、尼崎でJRの大事故が発生しました。最終的な死者数は百人を越えました。鉄道事故でこの死者数は42年ぶりの事だそうです。
 そのニュース速報を見ていたら、記者会見をするJR西日本の幹部や、応対している社員に対し、マスコミの記者が乱暴な言葉で詰め寄る場面が報じられました。また、ほとんどの商業マスコミも、自動制御装置が古かった事などを挙げて、JRの安全管理を批判するような論調を載せています。
 もちろん、JRの安全管理に重大な問題があるのは事実ですし、早急に改善されるべきです。ただ、そのような企業体質になった原因を考えると、このようなマスコミの「体質追及」にはかなりの違和感がありました。

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中国の反日デモ報道から伝わるもの

 先週末あたりから、中国で反日デモが過激化している、と報じられています。教科書問題など日本側にも非があるとはいえ、大使館への投石や日本人留学生を殴打するなど、暴力で意見を主張する、という行為は断じて賛成できません。
 ところで、このデモに関する日本側の報道を見ていると、二つほど興味深い点が見受けられます。一つは、中国の高官の発言や、大使館周辺の警官の言動を元に、「中国側がデモを扇動している」というような書き方をしているところです。その一方で、「報道管制をしいて、この件は一般市民には伝えないようにしている」とも報じています。
 中国政府が「反日行動」を拡大したいのなら、都合の悪い部分は隠して「愛国者たちのデモ」と報道させればいいだけですし、逆に収束させたいのなら警官に厳しく取締らせればいいわけです。いずれにせよ、ちょっと矛盾しています。もちろん、巨大な官僚組織ですから、それぞれの部局に思惑があって、矛盾した行動を取っていると考えるべきなのかもしれません。しかしながら、一つの記事に「中国政府を糾弾する」という点を除けば矛盾している情報を載せるというのはどうなのでしょうか。

 ところで、「大規模デモを報道しない・させない」という事を日本のマスコミは中国ならではの事であるかのように報じています。
 しかし、日本でも似たような事は最近になって増えています。2年前のイラク戦争の時の反戦運動しかり、九条の会の活動しかり、商業マスコミでの扱いは良くてベタ記事程度。黙殺する事も少なくありません。特に、好戦・九条改悪派の会社ほど扱いが小さくなる傾向にあります。
 こういうのを見ていると、公然と国家の統制を受けている中国のマスコミと、「権力を監視する」と自称している日本のマスコミの違いについて、考えさせられてしまいます。

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