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「経済波及効果」の元手と行き先

 朝の駅前で現職市長が選挙運動をしていました。配っていたチラシを見たら、一番最初に「市長はやっぱり経験豊かな現市長を」とあり、その下に「現市長だから出来た、確かな実績」として、海岸の製鉄所跡地に造った複合商業施設について書かれていました。
 何でも、「経済波及効果が年間約1,600億円、市の税収効果が年間約40億円、新規雇用効果が約2,300人」とのことです。それはいいのですが、肝心の「ではこれを造るのにいくら税金がかかったのか」については現職市長のチラシには書かれていませんでした。そこで、別の市長候補の宣伝を見たところ、総事業費が約1,600億円で、国・県・市で投じた税金の合計は約1千億円という数字が出てきました。
 さて、それだけの経費をかけて生じた「経済波及効果」とは一体なんなのでしょうか。三菱総研倶楽部のサイトよると、施設やイベント会場を造るための建築費並びに、「経済効果」その施設における収益のようです。要は建築業者並びに商業施設に出店した会社の儲けという事です。
 言い換えれば、1,600億円(うち税金1千億円)を投じた結果、同じくらいの額を建築会社や出店企業が儲け、「税収」という形で市に戻ったのは40億円だった、というわけです。こう考えると、商業施設の近隣に住む人を除いた多くの市民にとっては割のいい事業とは思えません。
 なお、なんちゃって研究員の日記というブログによると、それらの事業(本社移転やワールドカップなど)が終わった後の、「実際、経済波及効果は、どのようなものであったか」という検証は全くされていない。というか、する術がないという話もあるけど。。。との事。これを前提にすると、「経済波及効果」の数字は「言ったもん勝ち」という極めてあいまいなもののようです。
 また、雇用2,300人とうたっていますが、これはあくまでも大型商業施設におけるものです。当然ながら、それほどの巨大な商業施設ができれば、その反動が従来からあった近隣の商店などにはふりかかるでしょう。そのあたりについては、現職市長のチラシには何も記載されてはいませんでしたが。

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