月別アーカイブ: 2006年1月

タダ働きと過労死を生む「規制緩和」

 先週末ですが、厚生労働省の「今後の労働時間制度に関する研究会」というところが、「今後の労働時間制度に関する研究会報告書」なるものを発表しました。実質的には「労働時間規制の大幅緩和案」とも言うべき内容になっています。参考記事一覧
 最大の特徴は、管理職のみとされていた、時間外や休日労働の割増賃金なしの「裁量労働」を凖管理職にも拡大する、というものです。分かりやすく解釈すれば、「賃金を上げずに労働時間を増大させる制度」となります。一応、「本人の同意が必要」となっていますが、「仮に本人が拒否した場合に、賃金などに差をつけていいか」についての言及は見られません。
 一方、裁量労働の対象外になる労働者については、「有給休暇について、企業に取得を促進させる」「一定以上の時間外労働をした場合、残業代を割増する」などという、労働者にとって得になる案を出しています。こうやって見ると、労使双方に配慮しているように見えます。

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自分たちで煽っておきながら

 先週の強制捜査が契機となって株価が大きく下がり、少なからぬ人が大損をしたようです。それについて、日経新聞が「12月に経団連の奥田会長が『バブル期のような雰囲気になってきた』と言っていたにも関わらず、安易にネット取引などで株式投資をしたからだ」という論調で、大損した人達の「自業自得」のように書いています。
 実際、株式投資は自分の責任で行うべきもので、この考え方自体は間違っているとは思えません。しかし、よりによってこの新聞が言うのはいかがなものか、とも思いました。
 この新聞の2面や3面の下段を見ると、「主婦が株で大儲けした」だの「初めて投資した学生が何億円儲けた」みたいな本や雑誌の広告が毎日のように出ています。さらに、紙面に載る記事にも「株式投資を初めて短期間で大きく儲けた人」の例を挙げ、「貯蓄から投資の時代になった」みたいな感じで煽るような文章が一度ならず載っていました。
 もちろん、その頃は日経平均が上がり続けていたわけです。しかし、株なのですから、平均が上がろうと下がろうと儲かる人は儲かり、損する人は損をします。しかし、先日の急落までの約半年間、私の見た限りでは、「株で簡単に儲けた初心者」は出てきましたが、「儲けるつもりで株をやって損した初心者」が記事に出る事はありませんでした。

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悪質な業者

 とある大手サラ金業者のサイトを見たら、右下に!ご注意!悪質な業者に注意してくださいというかなり目立つ画像がありました。クリックしてみると、その会社であるかのように装い、TV広告に出てくる「犬」や「社の制服を着た女性」を使ったチラシを使った例や、社名の「フ」を「プ」にしてその業者のように見せかけている例が記載されていました。
 確かに、「名を騙る」という点においては、この大手サラ金業者より「悪質」ではありません。しかし一方で、この大手業者のサイトの金利についての説明を見ると、利息制限法を上回る利率が記載されています。さらに言うと、そこの系列会社が取り立てた利息制限法を上回る利息について、本日の最高裁が支払いは原則無効との判断を下したそうです。
 「悪質」の線引きは難しいのですが、やはり「法律を守っているか否か」というのはかなり重要な判断基準でしょう。そうなると、この大手サラ金業者はどういう質の業者に分類すべきなのでしょうか。

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