月別アーカイブ: 2006年6月

「都心の公務員宿舎叩き」報道の受益者

 しばらく前に、「都心の官舎に安い家賃で住む公務員」がマスコミで叩かれた事がありました。ご丁寧に具体的な所在地から家賃の詳細まで調べ上げて、あたかもそれが悪事であるかのように新聞・週刊誌は批判していました。
 その流れにあわせて行われた、財務省の「国家公務員宿舎の移転・跡地利用に関する有識者会議」なるものが、「答申」を発表しました。その内容は、都心を中心とした公務員宿舎二百十八カ所を売却する、というものでした。
 国有財産を処分するわけですから、本来なら我々国民に何らかの利益がもたらされるはずです。ところが、その売却による収入は3,740億円とのこと。確かに個人レベルでは少なくない額です。しかし、その記事によると現在の国債残高は600兆円ですから、そんな売却収入があっても国家財政にはほとんど寄与しません。600万円の借金に苦しんでいる人に3,470円援助するのと同じ理屈です。したがって、答申通りに公務員宿舎を売ったところで、我々の支払う税金が減ったりすることはありません。
 しかしながら、この売却に期待している人もいます。それは、跡地開発を見込む不動産業者です。確かに都心をはじめとする優良物件が手に入るわけです。それについて、上記の記事は問題は(中略)入札により用地取得コストが膨らむ事を懸念する見方も多い。また、公共用地の払い下げには高さや景観などに制約条項が付くことも多いと心配しています。

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自分たちへの「愛」を強要する法案

 教育基本法改悪案を自民党が出し、民主党も本質的に変わらない「対案」を出しています。いずれにせよ、結局のところ、彼らの目指しているのは、現在、自分たちが構成している自民党政府の維持・発展に適した形で子供達を「教育」できる体制作りです。そして、その象徴と言えるのが、「我が国と郷土を愛する」すなわち「愛国心教育」なわけです。
 一連の「愛国心」に関連して、少なからぬ自民党政治業者が「教育勅語の再評価」みたいな事を言っています。最初の頃は、「戦前の愛国心とは違う」みたいな事も言っていましたが、最近はそれすら言わなくなりました。
 戦前教育の成果である「愛国心」で「愛」の対象となった「国」というのは、一般の日本人たちでも、日本の自然環境・生活環境などではありませんでした。「愛」の対象は絶対的存在である天皇であり、同時に、その天皇の下で権力を得ていた天皇制政府の面々でもありました。その結果、「天皇陛下のため」に戦地で殺し・殺されていった「愛国者」たちの屍の上で、政治業者たちは権力を守り、それと一体化していた旧財閥なども利益を挙げたわけです。
 そして、そのような時代を懐かしむ政治業者たちによって、「愛国心教育」が復活させられようとしているわけです。

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