しばらく前ですが、経団連会長が法人税率の引き下げを求める際の口実として、「日本経済の牽引車である企業が国際競争力を失っては困る」と主張している、という記事を見ました。財界が自分たちの都合に合わせてデータを取捨選択して「日本の法人税は国際的に高い」と宣伝して税率引き下げを主張するのは毎度の事です。
というわけで、主張自体には新鮮味は何らありませんでしたが、この自らを「牽引車」と表現した事は非常に面白く感じました。
確かに、1980年代までの時代では、大企業を中心とした成長に引っ張られて国民全体の生活が向上した事もあったかもしれません。しかし、それはもう過去の話です。
いくら財界や商業マスコミが「今回の景気回復が国民生活に波及しつつある」と言っても、経営者や大企業正社員の一部を除けばもはやそのような事はありません。これは「いざなぎ越えの経済成長」でありながら、「所得減少」「ワーキングプア」などという現象が生じている事からも明らかです。
にも関わらず、財界は自分の事を「日本経済の牽引車」とたとえているわけです。では、果たしてその「牽引車」はどのような動きをしているのでしょうか。