月別アーカイブ: 2006年11月

日本経済の「牽引」のしかた

 しばらく前ですが、経団連会長が法人税率の引き下げを求める際の口実として、「日本経済の牽引車である企業が国際競争力を失っては困る」と主張している、という記事を見ました。財界が自分たちの都合に合わせてデータを取捨選択して「日本の法人税は国際的に高い」と宣伝して税率引き下げを主張するのは毎度の事です。
 というわけで、主張自体には新鮮味は何らありませんでしたが、この自らを「牽引車」と表現した事は非常に面白く感じました。

 確かに、1980年代までの時代では、大企業を中心とした成長に引っ張られて国民全体の生活が向上した事もあったかもしれません。しかし、それはもう過去の話です。
 いくら財界や商業マスコミが「今回の景気回復が国民生活に波及しつつある」と言っても、経営者や大企業正社員の一部を除けばもはやそのような事はありません。これは「いざなぎ越えの経済成長」でありながら、「所得減少」「ワーキングプア」などという現象が生じている事からも明らかです。
 にも関わらず、財界は自分の事を「日本経済の牽引車」とたとえているわけです。では、果たしてその「牽引車」はどのような動きをしているのでしょうか。

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国家公認の「国民に不利益をもたらす法案」

 教育基本法「改正案」が衆院で強行採決されました。これまでも、与党が強行採決して成立した法案は多々ありますが、いずれも一般国民にとって益はなくても害のある法案ばかりです。その経緯だけ見ても、今回の「改正案」が一般国民にとってどのようなものなのか分かるとしたものです。
 それだけでも十分と言えば十分ですが、今回の法案がいかに「一般国民にとって有害であるか」という事に関して、自民党政府はさらなる「お墨付き」を与えています。すなわち、タウンミーティングでの「質問ねつ造」です。
 この件は、内閣府と文科省が共謀して行ったとのことです。言うまでもなく、仮に一般国民にとって益のある法案だったら、わざわざ綿密な台本を作って、質問をねつ造させる必要はありません。頼まれなくても参加者がその法案に賛意を示してくれます。すなわち、自民党政府自らがこの「改正案」が一般国民にとって有害無益だと証明しているわけです。

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国民の安全と「核兵器保有論議」

 自民党の閣僚や党幹部が、事あるごとに「核武装論議の必要性」を語っています。その論拠を一言でまとめると「北朝鮮が核実験をし、金正日総書記はいつ核兵器を撃ち込んでくるかわからないほど異常だから、日本も核武装を考えるべきだ」になります。
 しかし、核武装をすることは、日本国民の安全に役立つのでしょうか。
 仮に北朝鮮が日本に核攻撃を行ったら、アメリカが「報復」という大義名分を得て平壌に核兵器を撃ち込むでしょう。つまるところ、日本が核兵器を持っていようといまいと、北朝鮮にとっては同じ話になるわけです。ましてや、自ら金正日総書記を異常者と決めつけているわけです。異常者でしたら、「相手が核兵器を持っていなければ攻撃し、所持していれば攻撃を控える」などという判断力を期待できないでしょう。
 つまり、「北朝鮮核攻撃抑止のための核武装」などと言うものは無意味です。ましてや、この自民党の核武装論者が何度も繰り返している「金正日総書記は異常だから」を援用すると、その無意味さは倍増するわけです。
 このように、彼らの「核武装論議が必要」という発言を解釈するだけで、「核武装することの無意味さ」が証明されてしまっているわけです。

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