月別アーカイブ: 2007年1月

残業代ゼロ法案と「選挙の争点」

 残業代ゼロ法案こと「ホワイトカラー・エグゼンプション」が見送りになりました。といっても、「実際に深く検討したところ、これでは対象となる労働者の生活と健康に悪影響をおよぼし、不幸にするから」ではありません。最大の理由は「反対が多く、7月の参院選に影響を及ぼす可能性があるから」です。
 つまり、この「残業代ゼロ法案」は実施すると国民に迷惑がかかるものであり、選挙での得票に悪影響を及ぼす、と自民党政府が認めたわけです。まあ、あれだけ大手企業が「サービス残業」という名の「ただ働き」を社員に強制している時代に、「働き方によっては、短時間労働ですむ」などと言っても、よほどの物好きでない限り信じないのは当然でしょう。
 それはいいのですが、これで「残業代ゼロ法案」は消滅したと考えていいのでしょうか。ここで注意すべき事は「撤回」の最大の理由です。参院選に影響があるから撤回した、というのは参院選が終わったら、再び実現に向けて動く可能性が高い、という事です。
 「選挙前には隠しておいて、選挙が終わった後に作られた、国民を損させる法律」は過去にもいくらでもあります。

Continue reading

誰にとっての「美しい国」?

 安倍首相の年頭挨拶は、「美しい国」を実現するための「改革の継続」と「改憲」でした。この「美しい国」という言葉は抽象的すぎて分かりにくい所がありますが、このように具体的な手段を言ってくれると、非常に分かりやすくなります。
 小泉前首相から引き継いだ「痛みを伴う改革」は自民党政府の側から見れば順調に進んでいます。分かりやすく言えば、一般国民が受けた「痛み」が「大企業の利益」に変換され、その結果「史上最長の好景気」と「格差拡大・ワーキングプア」なわけです。
 自民党政府・財界は「好景気はやがて家計に波及する」などと言っていますが、その「家計」には、普通に暮らしている人は含まれません。この事は給与所得が減り続ける一方で、役員報酬が増え続けている事からも分かります。「好景気」が反映される「家計」は極めて限定的です。そして、その「好景気が家計に波及される人」と「改革の痛みを受ける人」が重なる事はありません。
 この流れは「ホワイトカラーエグゼンプション」という名前による給与所得者の「時給削減」並びに、「消費税増税とセットになった法人税減税」により、さらに進んでいくことでしょう。

Continue reading