月別アーカイブ: 2009年12月

「脅威」の煽りかた

 15日の日経新聞一面に、「日米同盟宣伝記事」が載っていました。毎度ながら、米軍基地が日本にとっていかに重要かを力説しており、アメリカ軍がいなくなった場合の「脅威」として、フィリピンの例を挙げていました。
 フィリピンは、1991年に米軍基地撤去を決め、実際に1994年には完了しました。すると、「軍事力の空白を突いたのが中国だ。帰属が不明確な南沙、西沙などの島々に次々と部隊を送って実効支配した」そうです。
 しかし、これは完全なる誇大記事です。確かに、中国が軍事力で南沙・西沙諸島(英語でいうところの、スプラトリー諸島とバラセル諸島)を侵略しているのは事実です。しかし西沙諸島を侵略したのは1974年です。さらに言えば、西沙諸島の領有権を主張しているのはベトナム・台湾・中国であり、フィリピンは関係ありません。

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誰のための「日米同盟」

 沖縄の米軍基地問題が連日報じられています。その中で見られる論調に「日米同盟は国の基軸である」というものがあります。これは、「日米同盟」は我が国で最も重要な存在である。したがって、地元住民の反対などよりも、アメリカの意思通りに基地移設を進めるべきだ、というものです。
 ところが、なぜそこまで「日米同盟」なるものが重要なのか、となると、説得力がありません。結局、最後に落ち着くところは「中国と北朝鮮の軍事的脅威に対抗する」になります。冷戦時代から使い古されている「仮想敵がいつ攻めてくるか分からない。その時、守ってくれるのはアメリカしかいない」という論法です。
 ちなみに、日米安保条約締結時から1990年代までの最大の仮想敵はソ連でした。それが崩壊したら、北朝鮮が後釜を引き継いだ、という次式になっています。

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