月別アーカイブ: 2010年6月

空論による法人税減税宣伝

 経団連とマスコミが、様々な理由で「法人税減税キャンペーン」を行っています。「理由」として挙げるものに「他国に比べると高い」「したがって、このままでは、高すぎる法人税から逃れるために企業が国外に逃げてしまう」「減税により企業が成長し、国全体の経済が上向きになる」「法人税率が下がることにより、海外からの投資が増える」などというのがあります。
 このうち、「他国に比べて高い」ですが、ごく一部の「高い部分」を過大に強調し、実際に支払っている税率や、国際的に低い社会保障の企業負担率の低さをあえて無視して作成された空論です。

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「景気回復」で潤った「個人消費」

 数日前の日経新聞に、上場企業の配当が増加した、という記事がありました。これによって個人消費が増加して、内需に波及するとのことです。
 確かに大株主ともなれば、配当による収入は巨額です。そして、その金の一部は消費に回るわけですから、確かに「個人消費の増加」とは言えます。
 もっとも、そのような事で「個人消費を増やせる」人など、極めて限られています。基本的には株を持っている人です。ただし、一般投資家の多くは、サブプライム破綻などで既に大損しているわけですから、「個人消費」にまわせる余裕などないでしょう。また、当然の事ですが、ただでさえ賃金を減らされている、たいていの給与所得者には、配当で儲ける以前の問題として、株などを持つ余裕などありません。

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「パイ」が大きくなった結果

 一時期、「経済のパイ全体を大きくすべきだ」という主張を商業マスコミや経営者が声高に主張していました。要は、企業の収益が向上すれば、経済自体が大きくなり、それによって、一般国民も豊かになる、という論調です。
 その「経済のパイ」はその後どうなったのでしょうか。それについて、しばらく前の日経新聞に興味深い記事が載っていました。
 それによると、3月末の現預金と短期保有の有価証券を合計した手元資金は63兆円と、決算が連結主体になった00年3月期以降で過去最高を記録。日本の10年度予算の一般歳出(53兆円)を上回ったとのことでした。要は、上場企業全体で、使おうと思えばすぐに使える金が、国家予算に匹敵するほど貯まっている、というわけです。

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