月別アーカイブ: 2011年11月

事実を無視した「選挙応援記事」

 半月ほど前に出た読売新聞の記事に、大阪市長選の「争点」として「市営地下鉄民営化」が取り上げられていました。
 そこでは、「公営だから無駄な例」を挙げていました。その槍玉になったのは乗り入れ先の私鉄はワンマン運転をしているが、大阪市営地下鉄では車掌が乗務している、という例でした。
 記事の冒頭では、車掌が乗務する理由として近鉄線は乗客の転落防止用センサーが各駅に設置されているため、電車は車掌なしのワンマン運転だ。一方、地下鉄はセンサーがなく、乗降客も多いため運転士、車掌の2人乗務となる。と書いています。
 つまり、同じ電車を使ってはいるが、ホームの設備が異なるうえに乗降客が多いから市営地下鉄ではワンマン運転ができないというわけです。設備もなく、客が多ければ車掌が乗務する、などというのは当然の事です。
 ところが、数行たつと、経営改善が進んだとはいえ、市営地下鉄の営業キロ当たりの人員約44人は、関西大手私鉄5社の平均の2倍以上だ。中央線の例にあるように、官特有の過剰な人員はまだ残る。などと、いきなり中央線の車掌さんは、公営の弊害ゆえに存在する「余剰人員」になってしまいました。
 ちなみに、近鉄にも車掌がいる路線など山ほどあります。一方、読売新聞の本社のすぐ下を走っている都営地下鉄三田線はワンマン化されています。つまり、鉄道のワンマン運転と公営・私営は何ら関係がありません。にも関わらず、車掌さんが「官特有の過剰な人員」と結論づけているのです。

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派遣法改正を骨抜きにした勢力

 派遣労働者法の改正案として、製造業派遣と登録型派遣を禁止する条項が盛り込まれる事になっていました。それを削除する事を、民主・自民・公明が合意した、というニュースを見ました。
 削除された経緯として読売新聞は経済界に「急な仕事の発注に対応できない中小企業が影響を受ける」などと反対意見が強い。自公両党も経済界の懸念を踏まえて政府案を批判。という記事を書いています。
 この文章を読むと、なんか中小企業に配慮したかのように思われます。しかし、もし「中小企業のため」というのならば、「製造業派遣・登録派遣は禁止。ただし、資本金3億円以下並びに従業員300人以下で連結対象でない企業には当分の間猶予」などという例外規定を設け、大企業のみ禁止にすればいいだけの話です。

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