月別アーカイブ: 2012年2月

日経コラムが「ネット絶ち」を勧める理由

 2月7日の日経朝刊一面コラム「春秋」にアメリカのある元新聞記者の家庭で、週末にネット閲覧をやめたら、家族水入らずの時間が戻り、本に向かいじっくりと物事を考える習慣が戻る。アメリカではそのような「ネット安息日」を設ける人が多いなどという事が書かれていました。
 他にも色々と書いていますが、一言でまとめると「ネットから離れる日を設けるべきだ」という主張になります。。
 しかしながら、なぜネットは駄目で、他の媒体から情報を得るのがいいのかは何度読んでも分かりません。紹介した例ではテレビは絶たなかったそうです。しかしながら、家族水入らずを実現するには、テレビもないほうがいいに決まっています。
 だいたい、ネットが団欒や読書の邪魔になるのなら、一日の一定時間を「ネット禁止」にすればいいだけの話です。丸一日以上も遮断する必要などありません。

 こうやって考えてみると、このコラムは、論理的な理由もなく、「ただとにかくインターネットから情報を得る時間を減らしたほうがいい」と主張しているわけです。
 自社でも記事のネット有料配信を事業化しているわけです。にも関わらず、なぜこのような主張をするのでしょうか。
 そのヒントになりそうな記事が、同じ日に掲載された「大機小機」というコラムにありました。
 そこでは、相も変わらず消費税率上げキャンペーンが書かれています。その材料として、フランスではサルコジ大統領が、今年の10月から付加価値税(日本の消費税に相当)を19.6%を21.2%に引き上げを表明した。とし、さらにイタリア・イギリスでも付加価値税を上げる、という情報を紹介しています。
 もちろん、そこから導き出される「結論」は、「だから日本も大幅に消費税を増税すべきだ」というものです。
 実は、この主張には大きな嘘が隠されています。それは、「付加価値税(日本の消費税に相当)」という部分です。

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大阪ペットボトル水に見る「正確かつ公正な報道」

 大阪市が水道水を「ほんまや」というブランドでペットボトルに詰めて販売していたそうです。それを、橋下市長が廃止をする、と発言しました。
 Googleニュースで検索すると、その発言を、朝毎読の大新聞および産経新聞・テレビ朝日・日刊スポーツがサイトに掲載しています
 そして、その際に橋下市長が言った「税金でそんな商売をやる必要は全くない。民業圧迫だ」・ほんまやのPRには平松邦夫前市長の「政治的な意図が強い事業だった」とも言及、と特に論評・検証をせずに、発言をそのまま掲載しています。
 新聞・テレビが報じることが正しいと思っている人がこれを読めば、「前市長が個人宣伝のために行なっていた、税金を無駄にする事業を英断で終了させた」と思い、現市長の「改革」を高く評価したことでしょう。

 しかし、それから数日後、橋下市長は記者会見で、「事実誤認があった」と釈明した。という報道がありました。
 それによると、「ほんまや」には税金は使われておらず、事業が始まったのも前市長が就任するより前だった、という事が判明した、とのことでした。
 ところが、これを書いている時点で、それをサイトに載せているのは日刊スポーツのみです。
 という事は、朝毎読など一般紙の読者や、テレビ朝日でそのニュースを見た人は、その「ほんまや」は前市長のPRのために税金を無駄にして行った、という誤った情報を現時点でも信じ続けている可能性が高いわけです。

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