月別アーカイブ: 2012年3月

妄想を前提とした労働法改悪論

 ダイヤモンド・オンラインというサイトに、会社側の労務専門の弁護士による労働者のニーズにもあわなくなった労働法なる文章が掲載されていました。
 話の概要をまとめると、「労働法は労働者を『弱者』として規定しているが、それは女工哀史時代の遺物で、現在はそのような事はない。だから労働法を変え、過剰な保護規定を減らすべきだ。それが労働者のためにもなる」となります。したがって、かつて財界が提言して大反発を受けた「ホワイトカラー・エグゼンプション」など肯定的に論じています。
 このような題名の文章を書く以上、まずは「労働者のニーズ」の現状を説明して、論を進めるというのが当然の事です。実際、この文章も、さわりにそれを書いています。ところがそれは、たとえば漫画家のアシスタントとして働く人のなかには、「憧れの先生のもとで働けるなら時給100円でもかまわない。ただ働きでもいいくらいだ」と考える人もいるでしょう。というものでした。
 冒頭に出てくるわけですから、本論の重要な前提になるはずです。しかしながら、よく読んでみると、最後に「考える人もいるでしょう」などと書いています。

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なぜ「公務員は多すぎる」のか

 様々な所で「公務員は多すぎる。人員も賃金ももっと減らせ」という論調が流れています。新聞やテレビなどの商業マスコミは自社の主張としてそれを流し、同時にそのような主張をする政財界人の発言を報じ続けています。
 最近になって特に目立ちますが、このような主張は30年以上前から続けられてきました。それらの報道を見続けていると、公務員というものはよほど人が余っているのだろう、と思ってしまうでしょう。
 ところが不思議な事に、筆者の身近にいる公務員は皆忙しく働いています。日曜出勤はザラとか、多忙期には連日終電を逃すという国家公務員もいました。また、所定の夏休みなど消化できず、正月も二日から出勤、という地方公務員もいました。
 ちなみに、筆者の住む県において職員の有給取得率は10.4日で取得率は26.7%というデータがあります。本当に公務員は無駄が多くて過剰なら、有給取得率は100%になるはずです。
 さらに、報道される事はまずありませんが、公務員の過労死や過重労働問題も発生しています。

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