マスコミと保守政治業者が、事あるごとに生活保護受給者を批判しています。彼らの宣伝で作られた「生活保護者像」は、「生活保護を不正受給している人は多い。そして、受給者たちは何も働かないで最低賃金より高い生活保護費を貰い、しかもその金でパチンコに行っている人」になります。
そして、そのような連中のせいで、毎年生活保護受給者並びに生活保護費が増えて財政を圧迫していると煽ります。
その影響を受けた労働者・自営業者など苦労して働いている人は、生活保護受給者に対し、敵意をもやします。そして、生活保護費削減や生活保護受給者への就労支援強制などを主張するマスコミや政治業者の主張に賛同するわけです。
これらの宣伝に使われている情報は、それぞれの一面だけを見れば「事実」なのでしょう。しかしそれらの「事実」が持つ原因並びに、その恣意的な組み合わせ方により、全体としては現実と大きく異なってしまっています。
まず最初の「不正受給者」ですが、これは生活保護受給者攻撃キャンペーンの「入口」とも言える存在です。今でも、不正受給事件があると、マスコミは大事件であるかのように報じます。
そして、それに「増大する生活保護費」をからめ、あたかも生活保護受給者全般の問題であるかのようなミスリードを促す記事を作ります。
しかし、実のところ不正受給者の問題と、生活保護制度の問題は、関係ありません。不正受給者がいるから制度を見なおせ、という考えは、本屋で万引きが多発しているから、本屋に来る人の身体検査を強化しろ、などと言っているのと同じです。
ちなみに、一昨年のデータによると、不正受給に支払われた費用は、保護費全体の0.4%との事でした。しかしながら、生活保護報道全体から見た不正受給報道の比率は、それを大きく超えています。