月別アーカイブ: 2012年4月

生活保護受給者攻撃の構図(現代における分断支配・その3)

 マスコミと保守政治業者が、事あるごとに生活保護受給者を批判しています。彼らの宣伝で作られた「生活保護者像」は、「生活保護を不正受給している人は多い。そして、受給者たちは何も働かないで最低賃金より高い生活保護費を貰い、しかもその金でパチンコに行っている人」になります。
 そして、そのような連中のせいで、毎年生活保護受給者並びに生活保護費が増えて財政を圧迫していると煽ります。
 その影響を受けた労働者・自営業者など苦労して働いている人は、生活保護受給者に対し、敵意をもやします。そして、生活保護費削減や生活保護受給者への就労支援強制などを主張するマスコミや政治業者の主張に賛同するわけです。

 これらの宣伝に使われている情報は、それぞれの一面だけを見れば「事実」なのでしょう。しかしそれらの「事実」が持つ原因並びに、その恣意的な組み合わせ方により、全体としては現実と大きく異なってしまっています。
 まず最初の「不正受給者」ですが、これは生活保護受給者攻撃キャンペーンの「入口」とも言える存在です。今でも、不正受給事件があると、マスコミは大事件であるかのように報じます。
 そして、それに「増大する生活保護費」をからめ、あたかも生活保護受給者全般の問題であるかのようなミスリードを促す記事を作ります。
 しかし、実のところ不正受給者の問題と、生活保護制度の問題は、関係ありません。不正受給者がいるから制度を見なおせ、という考えは、本屋で万引きが多発しているから、本屋に来る人の身体検査を強化しろ、などと言っているのと同じです。
 ちなみに、一昨年のデータによると、不正受給に支払われた費用は、保護費全体の0.4%との事でした。しかしながら、生活保護報道全体から見た不正受給報道の比率は、それを大きく超えています。

Continue reading

北朝鮮人工衛星打ち上げ騒動から分かったこと

 ここ一ヶ月ほど、ほとんど毎日、マスコミは「北朝鮮が打ち上げる人工衛星」の事を逐一報じていました。
 相手は国交がなく、直接情報を取材できる状況にはないはずです。しかしながら、非常に詳しく発射に関する情報並びに、それによって沖縄に被害が及ぶ可能性について、事細かに報じ続けていました。
 もっとも、結果は、各社の「詳細な分析」からは予想だにしなかった「打ち上げ失敗」でした。というわけで、結局、大騒ぎしたにも関わらず、実際のところ、日本にとっては全くもってどうでもいい事でしかありませんでした。

 しかしながら、今回の騒動のおかげで、色々と興味深いことが分かりました。
 まずは、「沖縄の安全保障」についてです。日頃、沖縄の米軍基地が問題になると、マスコミは「日本の安全保障の問題だ。普天間固定化か辺野古移転しか選択肢はない」などと報道します。
 この論法が正しければ、沖縄にある米軍基地は、1,600km離れた東京をはじめ、日本列島全てを守ってくれているはずです。ならば、実際に基地がある沖縄にに、衛星の破片などで被害が及ぶ事など、心配する必要など何もなかったはずです。
 しかしながら、マスコミは毎日のように沖縄の危機を煽り、不安に思っている住民の声などを報じていました。おかげで沖縄旅行のキャンセルが発生し、地元の観光産業に、本来の意味での風評被害が発生したほどでした。
 もともと日本に駐留する米軍の半数以上は、「上陸作戦、即応展開などを担当する外征専門部隊」であるところの海兵隊です。したがって、日本を守るためにいるわけではありません。したがって、沖縄のみならず、日本を守るのに何ら役に立たないのは当然の事です。
 これまで、そのような事を報じなかったマスコミが、この「北朝鮮危機」において、間接的ではありますが、ついにその現実を認めた、というのは興味深いことでした。

Continue reading