月別アーカイブ: 2012年11月

「維新の広報紙」と化した新聞と、その「高邁な」社説

 朝日新聞が11月17日に、政党の責任―「熱狂の政治」はいらないと題する社説を発表していました。
 2005年の「郵政選挙」および、2009年の「政権交代選挙」などを
シンプルな争点を政党が掲げ、多くの有権者の熱い期待を集めた。だが、そんな「熱狂の政治」は、果たして人々の期待に応えることができただろうか。 答えが否であることは、1年限りの首相交代を5度も繰り返してきた現状が、何よりも雄弁に物語っている。
と批判しています。そしてその結果として、
景気の低迷に出口は見えない。産業の空洞化も進み、多くの若者が正社員になれない……。
などと、いかにも自分たちは、不景気に苦しむ一般庶民の味方であり、これまでの政治を糾弾する、という立ち位置で、政治家に「提言」をしています。

 それほどまでに批判している「熱狂の政治」ですが、それらの選挙中に朝日新聞はどのような報道をしていたのでしょうか。
 実際には、2005年にも2009年にも、「郵政民営化」だの「政権交代」だのよりずっと重要で、本来の争点となるべく問題は山ほどありました。
 それらを無視してひたすら「郵政」だの「政権交代」だのと叫び続け、あたかもそれだけが選挙の目的であるかのように宣伝し続けたのが、朝日新聞を含む商業マスコミです。
 それがいざこのような現状になると、他人ごとであるかのように「『熱狂の政治』が果たして人々の期待に応えることができただろうか」などと「批判」しているわけです。

Continue reading

役に立ちえない「労働相談」

 野田首相のお膝元である、船橋市薬園台に後援会事務所があります。そこには、首相・その弟・側近と思われる人の三人が看板を出しています。
 そして、それと並んで連合千葉が看板を並べていました。そこには、フリーダイヤルとともに、「なんでも無料労働相談」と書かれています。
noda.jpg
 この看板一枚だけなら、労働者にとって有難いサービスのように見えます。しかしながら、この写真を見て、「そうか、ここに電話をすれば、労働で困っている事に親身に相談に乗ってもらえるに違いない」と思う人はいるのでしょうか。

 その「労働相談看板」と並んで自分の看板を出している野田首相が、先日、国会で答弁を行いました。質問の内容は、NECと日本IBMが行った、過酷な労働者いじめに関するものでした。
 それに対する、野田首相の対応は、明らかな違法行為を具体的に指摘された時にやっと「あってはならない」と言ったくらいでした。それ以外は、「個別のことはお話できません」という答弁だの、係争中だという理由で答弁を避ける、などというものでした。
 この対応を見れば、この首相が、会社と労働者のどちらの立場に立っているかは明確です。
 そんな人物の看板と並んでいる「なんでも無料労働相談」など、かけるだけ時間の無駄と考えるのが普通でしょう。深刻な問題を訴えても「個別の事案にはお答えできない」などと無下に応対されてもおかしくありません。

 実際、連合のやっている事を見ると、労働者の利益より経営者の利益を優先していると思わざるをえない事が多々あります。8月の三党合意による消費税増税法案可決についても、好意的な態度を取っていました。
 特に、電力会社系の労働組合などは、主張が完全に経営者と一致しています。その一方で、福島第一原発での過酷労働を放置しているわけです。ここまでくると、何で「労働組合」と名乗っているのだろうか、とまで思えてきます。
 この、労働者に対して冷たい答弁をした首相の看板と仲良く並んでいる連合の看板は、そのような現状の象徴とも言えるな、と思いまいた。