月別アーカイブ: 2013年7月

普通の「いい話」を、別の目的で利用する新聞社

 昨日の朝、電車とホームの隙間に足を挟まれる、という事故があり、それを居合わせた多数の乗客が協力して電車を押し、救出した、というニュースがありました。
 それ自体は、当然ながら心温まるいいニュースです。
 ところが、それを報じた讀賣新聞の記事を見た時は、逆に心底不快な気持ちになりました。何故ならば、記事のタイトルが「中韓も驚き・感動…電車押し救助、世界が絶賛」となっていたからです(※21時22分に確認した時は「『日本、また世界驚かせた』電車押し救助を絶賛」と修正されていました)

 確かに、写真にあった「多くの乗客が一列に並んで電車を押している」というのはインパクトがあります。とはいえ、これが「日本人ならでは」などと何故主張することができるのでしょうか。
 讀賣の記事には、イタリア人や中国人がネットで「自分達には真似できない」みたいなコメントをネットに書いたことを取り上げています。
 しかし、常識で考えればこれは謙遜です。それを見て「我々日本人は、イタリア人や中国人より素晴らしい」などと、もしこれを書いた記者が本気で思っているのでしょうか。
 もし、「報道」として「このような事は日本人にしかできない」と書くならば、国内外の類例を何十件か集め、「他の国の人は乗客を見捨てるが、日本人だけは必ず助ける」という立証をする必要があります。もちろん、この記事ではそのような事は行われていません。
 ちなみに、12年ほど前、山手線でホームからの転落事故が起きた時、見かけた人が線路に飛び込んで助けようとして巻き添えになった、という事件がありました。その助けた人の一人は韓国人だったのですが…。
 ましてや、最初の見出しである「中韓」などと、本件と何ら関係のない国の名前をわざわざ出す必要など何一つありません。さすがに、これは批判が集まって見出しを差し替えたのでしょうが、そのような見出しを書くこと自体が非常識です。

 繰り返しになりますが、元の人助けは、普通に報じていればそれだけで十分に心温まる話です。
 しかしながら、それをネタにして「このような事が出来るのは日本人だけだ」などとう形で仕上がったこの記事は、歪んだ優越意識を煽っているとしか言いようがありません。
 自分達が他の民族より優れている、と思うのは非常に危険です。その考えを元に、数百年前の欧米列強は、アジア・アフリカ・南米などで残虐行為を繰り返しました。
 また、日本も、70年ほど前にナチス・ドイツとともに、その「優れた民族」という思想の元に、国内外に多大な迷惑をかけました。
 そのその70年前、讀賣新聞は当時の国家・軍部と一体となって、事実と異なる情報まで流して、戦争遂行に協力し、多くの人の命を間接的に奪いました。
 この異様な見出しならびに記事を見た時は、この新聞社は再び70年前と同じ事を繰り返したいのだろうか、と心底不気味な気分になりました。

新聞社による「棄権推奨記事」

 明日は参院選選挙です。新聞・テレビといった各マスコミは、様々な形で選挙報道を行なっています。また、選挙へ行こうなどというページを作ったりもします。
 これらを見ると、新聞社などの商業マスコミは投票率が上がることを願っていると、少なからぬ人は思うでしょう。
 しかし、実は違います。商業マスコミにとっては、投票率が低くなれば低くなるほど都合がいいのです。

 投票率を下げるためにまず行うのは、頻繁に発表する「世論調査」です。
 主要な政策に対する論議や批判が出尽くしていないというのに、「調査」を行なって、「自民党が圧勝」などという「結果」を発表します。
 競馬や競艇なら、そのような予想記事を流すのは重要でしょう。しかし、選挙においては、何ら意義はありません。「効果」があるとすれば、それを見た人が「もう結果は見えているのか」と諦めて投票を棄権することくらいです。

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「アベノミクス」が滴り落ちる可能性

 今更なんですが、当ブログの支持政党は日本共産党です。
 21日の参院選では、比例区は「日本共産党」、選挙区は千葉県ならば「寺尾さとし」、東京都なら「吉良よし子」と書いて投票していただければ、と願っております。
 もちろん、他の選挙区でも共産党公認(沖縄県では推薦)の候補に投票していただければ幸いです。

 選挙運動はこのくらいにしておいて、今日の主題である「アベノミクス」について書きます。
 相も変わらず新聞やテレビは「アベノミクスで経済が良くなった」などと宣伝をしています。
 しかしながら、「良くなった」として記事になるのは、いつも「経営者の景況感」だの「デパートの高級品の売上が伸びた」といった限られた層に限ったものばかりです。つまり、労働者や自営業者には、何ら「恩恵」はありません。
 その現状に対し、自民党や商業マスコミは「アベノミクスが波及するにはまだ時間がかかっている」などと主張します。
 これらの主張の大前提として、企業が儲かれば、その収益が働く人にも滴り落ちてくる、という「トリクルダウン理論」なるものがあります。
 しかしながら、そのようなものは実在するのでしょうか。

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