月別アーカイブ: 2016年6月

自民党参院選公約とSF商法

 自民党の参院選公約が色々と話題になっています。
 公式サイトから、自民党の政権公約を開いたのですが、最初のページは安倍首相の写真しか掲載されていません。
 そこから左側のガイドをクリックしながらページをめくっても、自慢話的な事や、具体性のない言葉がほとんどです。
 そして、最後までそれを見るとやっと政策BANKという名前の公約を箇条書きにしたものがやっと見ることができます。
 その大量の項目の一番下に、「国民合意の上に憲法改正」という項目が出てきます。
 自民党サイトの設定した「順路」にしたがって政権公約ページを読み進めれば、ここにたどりつくまで、15分以上はかかりそうです。
 しかも、その改憲に関するページには、具体的に憲法のどの項目を変えたいのかが一切書かれていません。
 自ら作成した改憲草案(※PDF注意)がせっかくあるのに、それへのリンクすら貼っていないのです。

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有効求人倍率の正体・後篇

 前回、安倍首相が、常日頃「アベノミクスの成果」として誇っている有効求人倍率が、雇用や景気の改善の指標ではない事を、バブル期の有効求人倍率と比較しながら述べました。
 今回は、より具体的な例を挙げて、現在の有効求人倍率の高さの中身について論じてみます。

 その前に、有効求人倍率の定義について、再確認してみようと思います。
 有効求人倍率とは、ハローワークにおける「求人の数÷求職者の数」です。あくまでも「求人の数」ですので、月給100万円の正社員募集でも、週20時間勤務のパート・アルバイトの募集でも、「求人数1人」と数えられるわけです。
 ここに注目しながら、ある会社の事例を紹介します。

 ある、アルバイトを何千人も雇用している会社が、「勤務時間が週に30時間を越えているアルバイト」をリストアップしました。
 勤務時間が週30時間を越えると、正社員でなくても、会社には社会保険に加入させる義務が生じます。
 保険料は企業と従業員が折半なので、会社にも費用が発生します。
 利益を増やすために経営層は、この社会保険料の会社負担を節減する事にしたわけです。

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有効求人倍率の正体・前篇

 安倍首相の発言で、判で押したように出てくるものに「有効求人倍率が1を超え続けている。したがって雇用も景気も良くなっている。これがアベノミクスの効果だ。」というものがあります。
 実質賃金や消費支出など、ほとんどの国民において、経済指標が悪化し続けています。そんななか、極めて少ない「改善」されている数字なので、ついつい使いたくなるのでしょう。
 しかしながら、果たして、この「有効求人倍率の上昇」によって、景気や雇用が良くなったと言えるのでしょうか。
 結論から言うと、そのような事はありません。むしろ現在の有効求人倍率上昇は、「雇用の悪化」「景気の悪化」ゆえに生じていると考えるほうが妥当なのです。

 もちろん、景気が良くなったから有効求人倍率が上がった、という事例はありました。
 たとえば、1990年代のバブル華やかなりし頃はそうでした。所詮は泡でしたが、確かに世の中に多くのお金がまわり、消費が増えました。その結果、様々なサービス業が誕生しました。
 それを運営して利益を上げるためには人材が必要です。そのため、各産業は時給や待遇を釣り上げて、人を集めました。
 しかし、これはあくまでも、「景気が良くなったから有効求人倍率が上がった」という話です。だからと言って、その逆である「有効求人倍率が上がったのだから景気は良くなった」が成立するわけではありません。

現在の有効求人倍率の高さはバブル期と同じになりましたが、ぞの中身は全く違います。

現在の有効求人倍率の高さはバブル期と同じになりましたが、ぞの中身は全く違います。

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