どのような思想形成に役立つ教育?

 中山成彬文部科学大臣が、競争は悪だとしてきたが、社会に出ると競争社会で子供が落差に戸惑う。こういう今までの教育は、ニートなどの予備軍の『大量生産』に手を貸しているのではないかと発言しました。
 しばらく前には、この文科相の所属している派閥の長が、カネさえあれば何でもいいんだ。力ずくでやれるんだという考え方は日本の教育の成果かと(疑問に)思うと発言していました。
 就職しない(できない)のも、大金を稼いで株を買うのも、「戦後教育のせい」だというわけです。この二つを関連づけるのはかなり難しいと思うのですが・・・。個人的には、何でもかんでも「戦後教育のせい」と言い放てるような人たちを養成(?)している、自民党の党内教育のほうが問題なのでは、と思う次第です。

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15年戦争の「勝ち組」「負け組」

 1945年まで行われた戦争において、日本は負けたという事は一般常識と言っても差し支えないでしょう。実際、広島・長崎の原爆をはじめ、多くの都市が焼き払われ、その結果、多くの一般市民が殺されました。そして、徴兵された人々は海を渡った先で殺人をはじめとする残虐行為を強制された上、相手の反撃や食糧難・疫病などでこれまた多くの人々が死んでいきました。
 このように、大多数の国民にとって、あの戦争は手痛い被害を受けた「負け戦」でした。今風に言えば、「負け組」となってしまったわけです。しかし、これは全ての日本人にとってそうだったのでしょうか。

 たとえば、軍需工場を経営していた企業などで考えてみます。国という「お得意先」から大量の受注があった上に、学徒動員だの強制連行だので安い労働力を得る事ができました。もちろん、空襲による生産設備破壊という負の要因ももありました。しかし、最終的な損得がどうだったのでしょうか。資料がみつからなかったので分からないのですが、興味深いところです。
 また、敗戦後は財閥解体などという処置も行われました。しかし、「財閥」という建前こそなくなりましたが、旧財閥を軸にした企業グループはそのまま残りました。そして敗戦後5年もたたないうちに、朝鮮戦争による「特需」が生じ、戦争によって大儲けする事により、日本財界は再び強大化していったわけです。
 なお、「業種」は違いますが、戦時中に国民には耐乏と犠牲を強いて、虚偽の情報を唯唯諾々として流すなど、天皇制政府に全面に服従し、「戦争責任」の一端を担ったにもかかわらず、戦前と同じ形で残って発展していった、新聞社などの「情報産業」にも同様の疑問を感じます。
 一方、戦争を遂行していた政治家はどうだったのでしょうか。確かに、一部はA級戦犯として処刑されたり、敗戦を前に自殺した人もいました。しかし、生き残った人々は、いち早く占領軍であるアメリカに忠誠を誓うことにより、支配層にとどまる事ができました。「A級戦犯として投獄」や「公職追放」などの処分を一時的に受けた人の中からも首相は誕生しています。そして、その政治家の血脈は、現在の自民党や民主党に受け継がれています。
 こうやって考えてみると、かつての天皇に代わってアメリカが絶対的存在になっただけで、総合的に見れば政財界にとっては戦争を通して本質的な打撃はこうむらなかったのでは、とも思えてきます。

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福祉予算の半額は消費税

 東京国税局が作った消費税の宣伝マンガを見ました。消費税の税収の半分は社会福祉に使われている、というものです。ただ「消費税の役割」を紹介しているだけで、「これから消費税率をどうする」みたいな事は書いていません。しかし、この宣伝マンガを素直に読んだ人が「消費税率引き上げ論議」に関する情報を得れば、「福祉のためだから仕方がないか」と思う可能性は高いでしょう。
 しかし、ちょっと視点を変えて考えてみると、不思議な点が多々あります。消費税誕生以前も福祉は当然ありました。当時は、別の財源から福祉に充当していたわけです。別に「消費税がなければ福祉はできない」などという事はありません。しかも、消費税が導入されて約16年間、どのくらいの税収があったか知りませんが、それに比例して福祉が後退した事は多数ありましたが、改善された事などほとんどありません。
 つまり、「消費税は福祉のために役立っている」のではなく、「行政側が勝手に1989年以前の税収で福祉に充当していた部分を削って、消費税の税収分に押し付けた」だけの話でしかありません。
 ついでに言うと、消費税導入後の税収合計は、法人税の税収減の額とさほど変わらないそうです。

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