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2004年05月31日

捜査権の濫用

 ここのところ、警察の捜査権が極めて恣意的に使われている事件が目立ちます。
 先日は、卒業式で君が代斉唱に反対して、入場前に週刊誌のコピーなどを配布した来賓の元教員が、卒業式の開始を5分遅らせたことで「威力業務妨害」で警察に家宅捜査され、「証拠品」の押収をされたとの事です。
 もちろん、「威力業務妨害」は建前で、実質的には「日の丸・君が代」に反対した事が捜査の対象となったと見るべきでしょう。
 他にも、自衛隊宿舎内に反戦ビラを配った人たちが「住居侵入罪」で逮捕され、長期間拘留されました。また、休日に共産党のビラを配った公務員が「国家公務員法違反」で逮捕されたという事件もあります。
 また、政治的思想とは異なりますが、著作権違反行為を起こす可能性の高いソフトを製作・配布した、という事で、「著作権法違反ほう助」で逮捕された大学助手もいました。

 最初の三つと最後の一つは、意味合い・目的ともかなり違うものです。とはいえ、いずれも「何でそれで逮捕されるのか」「それで逮捕できるのなら、他にも逮捕されうる事例が無数に生じるのではないか」という疑問が生じる、という点は同じです。
 特に今年になってからの傾向ですが、逮捕状を出すほうも、行使するほうも、権利を濫用しているようです。しかも困ったことに、失敗や悪行の隠蔽には長年の実績があるので、いくら誤りを犯しても、その責任をきちんと取る事はほとんどありません。万が一明るみになっても、一部職員の更迭くらいで、うやむやのままに終わってしまいます。つまり、向こうとしては「やり放題」なわけです。

 さらに、民主政治において、このような暴走を批判する立場にいたはずのマスコミは、商業化がより一層進行しています。収益を挙げるためには、警察と対立するより、仲良くしていたほうが得、という事もあり、ほとんどの社が批判はしません。それどころか、「警察が逮捕=有罪確定」という立場の報道をして、警察の後押しをしています。
 どんな権力でも、監視する体制がしっかりしていなければ、腐敗したり暴走したりします。その結果、被害をこうむるのは一般市民なわけです。このような状態によって運営される社会がどのようなものになるか、非常に不安です。

2004年05月20日

残虐行為の経費負担

 米軍のイラクでの残虐行為が続々に明るみになっています。よくぞここまで、というような残虐・異常行為のオンパレード。さらに議員が見てさらなる不快感をおよぼした「公開できない映像」があるそうです。  このような行為は、当然ながら米軍がイラクに駐留するための資金がなくてはできません。そして、日本はそのイラク占領軍に人的・金銭的にも「多大な貢献」をしています。日本からイラクに行く金額は今年だけで総額で50億ドルだそうです。これらの「イラク復興支援資金」を実質的に管理するのは米軍だそうです。実際、最初に日本が15億ドルの「資金拠出」を決めたとき、ブッシュ大統領が歓迎の声明を出しています。  この「復興資金」がどのように使われているのか分かりません。ただ、このカネがアメリカのイラク占領政策に貢献することは、ブッシュ大統領の発言からも明白です。また、それ以前の問題で、現在イラクにいる米軍のうち、日本に基地がある部隊の駐留経費は「思いやり予算」という名前で日本が負担しています。さらに、航空自衛隊が米兵を輸送するという「人的貢献」も別に存在し、当然ながらその経費は日本のカネです。  つまり、形の上では直接負担していないとはいえ、現在の米軍の駐留経費の一部は我々の税金から出てきているわけです。そして、その一部が「虐待のための経費」としてイラクで「貢献」したわけです。
 この金額を明らかにする事は、先月一部マスコミで流行した「拘束された日本人を政府の都合で強制送還するためにかけた費用の算出」などよりよほど意義のある事だと思います。しかし、そんな事どころか、税金からどのくらいのカネがイラク占領政策のためにつぎ込まれ、さらに今後どのくらいつぎ込まれそうか、という事すらなかなか記事になりません。
 ついでに言うと、これだけの事が明らかになっても、占領軍に協力することをいまだに「人道支援」などと表現されているのですから、呆れるよりありません。

2004年05月16日

未納首相の「前科」

 主要閣僚から始まった国民年金未納は、民主党党首から公明党党首を経て、ついに首相のまで判明したようです。加入が義務付けられた1986年以前だったとか弁明しているようです。しかし、そんな事はなんの言い訳にもなりません。これまで散々、「未納はない」と言い続けてきたにも関わらず、実は未納期間があった、というのが大問題なのです。 過去の納付についてきちんと調べていないなら「調査中」と正直に言えばいいだけの話です。それを、確認もぜずに断言していたわけです。  首相をはじめ、このような言動はこれが初めてではありません。一年ちょと前には自らのメールマガジンでこのイラクの大量破壊兵器が世界の平和に対する重大な脅威になっているなどと書いて、イラク侵略容認の正当性を主張しました。しかし、占領下においても大量破壊兵器は発見されず、その存在の「証拠」となった開戦時の情報の信憑性も問題になっています。にもかかわらず、いまだにその「大量破壊兵器保持を断言」した事に対する指摘には、まともに答えていません。  身近な人間がこのような無責任な言動を連発すれば、誰でもその人間へとの付き合い方を考え直すでしょう。ところが、この人物はいまだに首相として行政の責任者であり続けています。
 あと、未納した政治業者などからよく「未納があったのは、制度のせいだ」などと主張し、それにより現在勧めている年金改悪を正当化しようとする発言があります。これは、現在の制度をきちんと把握していないくせに、制度を変えようとしている、という無責任な状態を公言しているようなものです。そのような連中に、現在の年金制度をどうこうする資格などあるのでしょうか。  10年ほど前、「政治とカネ」が問題になった時、その当事者である政治業者達が行った「政治改革」は「小選挙区制」「5年後に企業献金を禁止する事を前提とした政党助成欣導入」でした。その結果は、「小選挙区制のもとで続々逮捕者が出る金権選挙」「企業献金はそのままで、政党助成金は何十億も税金から受け取る」でした。腐敗している連中に腐敗を正す事などできるわけがないのです。年金制度改悪も同じ連中がやっているだけに、同じ結果になるのがオチでしょう。
 それにしても、発言した事に一切責任を持とうとしない首相と、それを容認する風土、というのは本当に恐ろしいものです。これを「上手く」使えば、いくらでも国民をだまして不利益な制度を作ることができるわけですから。

 

2004年05月11日

「賞」が落選

 写真家の森住卓さんが。第51回産経児童出版文化賞を辞退したそうです。森住さんの報道姿勢からすれば、当然の事でしょう。  したがって、森住さんが「辞退」した事には驚きませんでしたが、産経新聞社が森住さんに賞を出していた事にはかなり驚きました。イラクで日本人が拘束された事件の際に、森住さんのルポを漫画化した「汚れた弾丸」について、ヒューマニズムの皮をかぶった反米・反日書であるなどと、右翼団体の張り紙かと見間違うような内容の「書評」を掲載していたからです。  この書評を書いた人が、ちゃんと5月5日の「産経児童出版文化賞」発表日に、審査委員に対し、「ヒューマニズムの皮をかぶった反米・反日書の著者を選ぶとは」などと批判の論陣(?)を張ったかどうかは興味深いところです。ついでに言えば、今の「米英兵残虐行為」の報道に対しても、「反米・反日報道」などと憤っているのでしょうか。
 基本的に「賞」というものは、発行する側が受賞者を選ぶわけです。しかし、今回の「産経児童出版文化賞」については、森住さんが発行社を「賞」にふさわしくないと「落選」させた、という表現がふさわしいのかな、と思いました。

2004年05月08日

唯我独尊で謝罪なし?

 週刊文春の車内吊り広告に、イラク誘拐被害者の今井さんの会見を、「唯我独尊」「今井君、どこまでも謝罪なし」などと揶揄した見出しが出ていました。  この雑誌などが中心となって、政府・警察の情報を垂れ流して行った「人質たたきキャンペーン」は、海外各メディアが呆れて報道したように「日本の恥」をさらしました。しかし、彼らはまだ、そのへんを認識していない(認識していて開き直っている?)ようです。このような報道姿勢こそ「唯我独尊」と言えるのではないでしょうか。  また、今井さんを「君」づけで呼んでいますが、これは彼が18歳だからなのでしょうか。確かに週刊文春の編集部員は全員、今井さんより年上だと思います。しかし、だからといって、彼をそのように見下して報じる資格などあるのでしょうか。  そのように今井さんを見下している彼らの仕事と言えば、政治家の娘の離婚問題記事などで大々的に騒ぎ、一介の殺人事件で「被害者が若い女性で全裸で遺棄されていた」というだけでその被害者女性の顔写真を大きく載せるような程度の質の低さです。そんな事より、イラクの現状・自衛隊派兵による現地の日本人観の変化を身をもって伝えた今井さん達のほうが、よはど報道者としては上だと思うのですが。
 ちなみに、週刊文春と言えば、かつて妻を殺された元会社社長の三浦和義さんを犯人であるかのように大々的に報道した実績があります。しかし、三浦さんの無罪が確定した時に会社として出した談話は「我々は三浦さんを犯人として報じたことはない」だったそうです。こういう会社の論じる「謝罪なし」というのはどういう概念なのでしょうね。

2004年05月06日

新聞社による改憲試案

 ちょっと前の話ですが、3日の憲法記念日に読売新聞社が3度目の自社で作った改憲試案を載せていました。  一通り目を通して見ましたが、「条文」の中には、現行の憲法そのままか、ちょっと文章の一部を変えたものが意外に多くありました。改憲をするために作った「記事」だというのに、そうなっているという事は、現行憲法がさほど「勤続疲労」していない、という事を意味しているのでしょうか。  また、「変えた」部分ですが、当然ながら、読者ウケのよさそうな「条文」が目立ちました。たとえば、軍備を持つことは明記していますが、「戦争の放棄」はそのままで、さらに「軍隊に強制参加させられる事はない」と徴兵制を否定している、といった具合です。  もちろん、この「試案」は「改憲の印象を良くするために掲載した記事」でしかなく、法案でもなんでもありません。これを見て「改憲しても悪い事はないだろうな」などと思っても、実際にそのような国民のリスクの低い憲法になる保障はどこにもありません。
 ところで、この新聞社の社説では、アメリカが戦争を起こすと「重要な日米同盟のためにも、全面協力すべきだ」という感じの「日米安保条約最優先」をもとにした主張をします。にもかかわらず、3日の社説では、なぜか改憲の理由に「アメリカの強い希望」を挙げていませんでした。やはり、アメリカが9条改憲を露骨に言い出す前は「押し付け憲法批判」をしていた手前、主張しにくかったのでしょうか。
 話は戻って、「改憲案」ですが、よく宣伝する「プライバシー権」「環境権」なんかを見ても、「これが憲法に加わったらなにか良くなるか」はピンと来ません。  だいたい、現在、自衛隊派兵を目指ししている勢力は、自分の年金未納は「プライバシー」を主張するが、自衛隊イラク派兵に都合の悪い行動をした人々に対しては「過去を洗え」と警察やマスコミに指示するような事をします。また、環境を破壊する大型工事や高速道路建設を推進する事はあっても、抑制する事はありません。一方、現行憲法で保障されているはずの「勤労権」や「生存権」を破壊するような政策は次々と行っています。  そういう人々が主導して「改正」された憲法に「新たな権利」が記載されたとしても、現実の運用レベルで強化されるのは「政治家のプライバシー権」くらいしかないしょう。  少なくとも、この「大衆受け」を意識した「改憲試案」を読んでも、これが実現しても日常生活で何か良くなる事があるとは、全然思えませんでした。

2004年05月04日

発言の重み

 米兵がイラクで捕虜を虐待したという疑惑が報じられて話題になっています。まあ、クラスタ爆弾を落として、子供たちを爆殺する軍隊なわけですから、捕虜虐待をやった事については特に驚きませんでした。  ただ、興味深かったのはブッシュ大統領の反応です。即座に大統領はホワイトハウスで記者団に対し、関与したのは「ごく少数」で、在外米軍全体の傾向を示すものではないと強調した。そうです。  普通、どんな「疑惑」でも「調査の結果を待って」とか言いそうなものです。しかも、一方では、イラク人虐待に軍情報機関関与、准将が示唆などという情報も流れています。もし、後者が事実でしたら、ブッシュ大統領は情報を分析せずに思い込みで「自分の願望」を公式発表したことになります。また、万が一虐待が事実でなかったとしても、疑惑が残っている段階で「ごく少数」と断言しているのが不適切なのには変わりありません。  まあ、「自分の願望」を明白な事実であるかのように宣言したのは、昨年の春先にもやっているので、その異常さには驚きはしませんでしたが。
 いずれにせよ、これは「一国の大統領」以前の問題として、社会人としての資質を問いたくなるような言動です。こんな人間が世界最強の軍隊の指揮権を有していること、さらにそのような人間に絶対服従に近い態度をとる政府があること、さらにはその政府が自分の住んでいる国の行政をつかさどっている事に、何とも言えない不快感を覚えました。

2004年05月03日

何を絶賛?

 自民党の安倍幹事長が、アメリカで講演・会談をし、ブッシュ政権上層部に誉められたそうです
 とにかく、この期に及んでサダム・フセインが大量破壊兵器を持っていたと疑うのは極めて合理的だとまで言ったそうですから、先方は大喜びでしょう。先方からは絶賛の嵐で、元国防総省日本部長氏にいたっては彼のような人が将来、首相として日本の憲法改正に尽力することを期待しているとまで言ったそうです。
 「ブッシュ政権上層部から絶賛された講演」などと書くと、一見素晴らしそうです。しかし、誉められた理由が「ブッシュ政権の言う事に全て従う姿勢」だ、という事を考えるとえらく情けない話です。ブッシュ政権の人々の「賛辞」に、一言一句教わった通りに話した九官鳥を誉めているような印象を持ちました。いずれにせよ、帰国後の幹事長は、「ご命令」に従って、より一層、「憲法改正」に向けて努力するのでしょうね。

2004年05月02日

記者会見

 イラクの人質事件被害者の郡山さんと今井さんの記者会見が日本特派員協会で行われました。(詳細は、有料ニュースサイトの日刊ベリタに掲載)。
 この事件の被害者については、それこそ家族の言動の品定めまでマスコミは細かく報じてきました。しかし、当事者が始めて本格的に語った機会であるのもかかわらず、この会見は各社のサイトを見ても、かなり目立ちにくい扱いで、会見内容も抄録だけでした。
 唯一、産経新聞だけは、かなり詳しく報じていましたが、それでも上記の有料ページに載った中で非常に重要だと私が感じた、郡山さんによる「昨年と今年ではイラク人の日本人への態度が全然違った」という事も、高遠さんの代理で会見した写真家の森住卓さんの「事件当時嫌がらせをした人で謝罪してきた人もいる」という発言も報じられていません。また、産経としては当然なのでしょうが、別ページでは「識者」が両者をこきおろす「論評」をしていました。
 政府筋から出てきた「煽り情報」は事細かに報道するが、当事者の発言は軽視する、という姿勢なのでしょうね。
 あと、今井さんに対して、「挑戦者、反日活動家、親不孝者、自分は何者だと思いますか」などという質問をした「記者」がいたそうです。どこの社の誰か知りませんが、論理的にも倫理的にも「報道者」に値する質問とは思えません。その記者こそ「扇動者、政治業者の下働き、60年前の亡霊、自分を何者だと思いますか」と自問自答したほうがいいと思いました。