« 2004年06月 | メイン | 2004年08月 »

2004年07月26日

自殺者を増やす改革

 昨年1年間の全国の自殺者は、3万4427人で一昨年より7・1%(2284人)増え、統計を取り始めた1978年以降で最悪だったことが22日、警察庁のまとめでわかった。そうです。
 原因を分析すると、病苦などの「健康問題」が約1万5千人、「経済・生活問題」が約8千9百人とのこと。特に、「経済・生活問題」が8千人を越えた事は初めてだそうです。
 ところが、これについてコメントを求められた小泉首相は理由はなかなか分からない。なかなかこれだという特効薬がないので困っていますと言ったそうです。普通に数字を見れば、「病気になった時の公的補助がより貧弱になった」「経済的に困窮して生活できない人が増えている」という「小泉改革」の成果だとしか解釈のしようがないと思うのですが。
 まあ、さすがに「これこそ改革による痛みだ。これも日本経済再生のためだ」などとは思ってても言えないでしょうね。当然ながら、そのような首相に「自殺者を増やす特効薬」はあっても、「減らす特効薬」などあるわけがありません。

 なお、「痛みを伴なう改革」についての長文も掲載しました。あわせてお読みいただければ幸いです。

2004年07月19日

世界中の笑いもの

 イラクに行っていたフィリピンの人が「武装勢力」に捕まり、解放条件に「フィリピン軍の撤退」が挙げられました。それに応え、フィリピン軍がイラクからの撤退を始めました。3ヶ月ほど前に日本人がらみで同様の事件が発生した時、自民党政府やその意を受けたマスコミは「ここで『テロに屈した』ら世界中の笑いものになる」などと主張し、同時に「人質」中傷キャンペーンを張りました。
 しかし、実際に撤兵を開始したフィリピンですが、「世界中の笑いもの」などになっている様子はありません。もちろん、派兵を必要としているアメリカや同盟国であるオーストラリアなどは撤兵を批判しています。しかし同時に、隣国でもあるイスラム教国であるマレーシアは撤兵を歓迎しています。
 まあ、普通に考えれば、どんな案件だろうが、国によって評価が変わるのは当然のことでしょう。にもかかわらず自民党政府やマスコミは、「世界中の笑いものになる」などと、あたかも「人質をとられての撤兵」が、万国共通の恥であるかのように宣伝したわけです。
 もっとも、彼らにとっての「世界」とはアメリカとその同調国・属国の支配層だけで、それ意外の国や市民の考えなど眼に入らないだけなのかもしれませんが。
 いずれにせよ、「世界全体の笑いもの」(似たような言葉に「国際社会から孤立する」なんてのもありますね)などと言った宣伝が使われているときは、「非常に視野の狭い論調だ」もしくは「存在し得ないものを論拠に主張している」と認識する必要がある事だけは確かなようです。

 7月27日追記。
 本日の読売新聞に、期待通り(?)、比大統領、国際批判かわすという記事が載りました。
 この新聞社にとって「国際社会」にはマレーシアは存在しないようです。また、最初からイラク戦争に反対していたフランスや中国、さらには一度は派兵したが撤兵したスペインのような国もフィリピンを批判しているかのようです。
 さらに言えば「社会」と「政府」は違います。ご存知のとおり、アメリカやイギリスにもイラク侵略・戦争に反対している人はいくらでもいます。これらの政府・市民の存在を無視して、世界全体では少数派になる国の政権による見解だけを取り上げて「国際社会の批判」としたわけです。
 ついでに言うと、この記事によるとイラクでは比部隊撤退後、インド人らが人質になるなど、国際社会が懸念した「人質の連鎖」が起きているそうです。フィリピンの事件前に人質になったのは、殺されたアメリカや韓国の方を初め、何十人もいます。この論法だと、その危険性については「国際社会」とやらは懸念していなかった事になってしまいますが・・・。
 それともフィリピン事件以前の人質は全て「自己責任の自業自得」で、それ以降の人質事件は「フィリピン撤兵が原因の『人質の連鎖』だ」とでも言いたいのでしょうか。

 なお、本記事につきましては、「はなゆー」さんの「低気温のエクスタシー」を参考にさせていただきました。

 

2004年07月12日

「注目」の候補

 TVの選挙速報は基本的に見ませんが、昨日は野球中継の途中で割り込んで放送されていたので、見てみました。10分ほどでしたが、その間で「憲法」「イラク」などという言葉は全然出ませんでした。また、「年金」すらちょっと出たかな、という程度です。
 その代わりに、番組の大半を占めたのは「注目の候補」。と言っても、そのほとんどは、芸能界・スポーツ界など、政治以外で名の知られた人です。さらには犯罪をおかして議員辞職に追い込まれた人まで、大きく取り上げられていました。
 いわゆる「タレント候補」ですが、ここ何十年の間、彼らによって何か政治が改善されたり動いたりした事はありません。ましてや「犯罪前歴」などが、他の候補者よりも優先される要因になるとは思えません。

 確かに、こんな報道ばかり見ていると、「政治や選挙などあほらしい」などと思ってしまう人も出てくるのかもしれませんね。それこそ、自民党政府の意をくんで、各報道機関があえてそのような番組構成をしているのでは、とまで思ってしまったほどでした。

2004年07月11日

軍事力によって侵略は防げる?

 憲法9条擁護や自衛隊削減を主張すると、反論として「では日本が攻めて来られたらどうする?」と言われる事があります。これはつまるところ、「軍備がない(弱い)と、他国の侵略を防げない」という主張のようです。
 しかし、これは本当なのでしょうか。これだと、「他国の侵略を防げるのは軍備がある(強い)からだ」となります。しかし、昨年からのイラクを見ればそんな事はないのは明らかです。かつてのイラク同様にアメリカが「ならず者国家」などと名づけて敵視している国は他にもあります。それらの国がイラクのようになっていないのは、イラクより軍事力が充実しているからではないでしょう。
 さらに言うと、地上最強の軍隊を要するアメリカは、3年前に国家の中心地を攻撃されました。もちろん、これは「侵略を受けた」とは違います。しかし、「国外の勢力に攻めて来られて多くの死者を出した」わけです。この惨事においてアメリカの軍事力は抑止力として役に立ちませんでした。むしろ、テロを起こされる原因だったくらいです。
 このように、ここ数年の例だけ見ても、「軍備がない(弱い)と、他国の侵略を防げない」というのが本当なのか、非常に疑問です。ついでに言うと、日本が一番強烈な「他国の侵略」を受けたのは、非武装どころか、東アジアから赤道近くまでを侵略し、ハワイを攻撃できるほどの軍事力を持っていた時期でした。

2004年07月08日

「虚偽報告」が発生する理由

 JR西日本近鉄で、相次いで安全関係の定期検査の虚偽報告が判明したそうです。
 理由として近鉄社員の一人は「ほかの仕事で忙しく、検査が遅れたのを上司に知られたくなかった」などと話しているとの事です。これは、担当者の責任というより、一人の社員に無茶な量の仕事を割り振った経営レベルの責任と言えるのではないでしょうか。
 ところが、会社側はあたかも「不良社員がいた」みたいな扱いにし、その社員を「処分」するそうです。その結果、会社は「処分」という名目で減俸でもすればかえって「経費削減」になって得をしてしまいます。
 一方、JR西日本は「対策」として、「手書き報告書をコンピュータ化する事で負担軽減をはかる」と発表しています。使い慣れた人にとっては楽になるかもしれないでしょうが、逆に操作方法を覚えるのに一苦労、という人もいるでしょう。そういう人は結局負担が増えるわけです。
 儲けのために、社員を酷使し、そのツケは乗客の安全にかかわってくる、という鉄道会社だけが得をする仕組みが出来上がっているわけです。この仕組みがある限り、社員の苦労も減らないし、我々が鉄道で事故にあう危険性も上がりつづけることでしょう。

2004年07月07日

財政的裏付けのある政策

 かつて、自民党が「福祉削減・負担増」を主張し、反対する野党に対して「財政的裏付けはどうなんだ、現実性がない」と批判する、という政治の対立構図がありました。
 しかし、その自民党政府が政治を続けた結果、日本はとんでもない借金大国に成り果てました。そう考えてみると、あの「財政的裏付け」だの「現実性」などと言った「反論」は、自分達でも出来ない事をタテに相手を攻撃していた事になります。そして、その借金で調達した金は、国民の福祉とは関係ない所で浪費されました。その結果、福祉を削減されて負担は増えた上に、多額の国の借金を抱えて生活する破目に我々は陥っているわけです。
 本来なら、自民党政府の財政能力が露呈した今こそ、改めて「本当に財政的裏付けのある政策」が議論されてしかるべきです。ところが、「二大政党」になった結果、自民党と民主党はともに「福祉削減・国民負担増」の主張しかしません。
 「二大政党」のどちらに投票しても一般の国民にとってはロクな事がない状況なわけです。逆に言えば、福祉削減や負担増によっていい思いが出来る人たちにとっては、理想的な政治体制になったと言えるのでしょう。

2004年07月04日

なんの「心」が傷つくのか

 愛知県の小学校の校長が、新聞社から配られる「写真ニュース」にある、イラクでの捕虜虐待の写真を「子供の心が傷つく恐れがある」と言ってはがしたそうです。
 この談話だけだと、「捕虜虐待写真」が視覚的に「子供の心を傷つける」と認識して、写真をはがしたみたいに読めます。ならば、写真をはがした代わりに、自分で「今、イラクでは、多くの人が殺され続けています。また、捕まった人もアメリカ・イギリスによって、人間とは思えないようなひどい仕打ちを受けています」とでも文字で書いて張れば、子供の心を傷つける事なく、ニュースを伝える事ができます。
 それはしていないとなると、この校長氏の主張は「イラクで捕虜虐待がある」という事実を伝える事が、「子供の心を傷つける」事なのでしょうか。となるとイラクでなければいいとか、現在行われている戦争でなければ「心を傷つけない」という事はありえませんから、このこの校長の「教育」方針のもとでは、第二次世界大戦をはじめ、あらゆる「戦争」「虐殺」「虐待」を教えられない事になります。

 となると結局、この校長氏の主張は「アメリカが行い、日本が追従しているイラク戦争で、このような残虐行為が行われている事を知られると、子供の心が傷つく」と解釈せざるをえません。つまり、「傷つく心」というのは、人間としての感性とか精神を意味する「心」ではなく、「アメリカの属国民としての心」なのでしょう。
 彼のような「心の教育」を真に受けて育てば、「アメリカが悪い事などするわけがない」という「属国民」が育つのでしょうね。戦前で言うところの「小国民」とか「臣民」の現代版というわけです。

2004年07月02日

「事実」と「主張」の違い

 参院選候補者のサイトにあったこの国を想い、この国を創る→あの米国を想い、この属国を創るという自民党ポスターのパロディに、「事実に反し、名誉を毀損(きそん)した」と自民党が安倍晋三幹事長名で「削除要求」をしたそうです。
 事実も何も「(米)国を想う」だの「(属)国を創る」だのは、いずれも「主張」であり、「事実」うんぬんで語れる事ではありません。自民党やその支持者が「同盟関係」と主張しているのが、パロディ作家氏や私を含む多くの国民が「属国」と主張しているだけの話です。
 そのような事すらわからず、「削除要求」などをするのは、民主国家の政治団体としていかがなものでしょうか。さらに言うと、「事実」という言葉の認識すらできないという彼らの知性(痴性?)をよく表しています。そのうち、共産党相手に、「サイトに『年金改悪』と書いてあるが、これは年金改革の事実に反する、削除しろ」とでも言い出すのでしょうか。
 それにしても、選挙中に「自分達は『主張』と『事実』の区別もつかず、言論弾圧も堂々とする政党です」と行動をもって宣言するとは、ある意味感心させられます。このような強権的な態度を取ったほうが、国民は投票してくれる、とでも認識しているのでしょうか。

2004年07月01日

沖縄基地の日本人

 沖縄の米軍基地で日本人労働者が酷使されていた事が発覚しました。具合の悪くなった妊婦に休養を取らせず、気を失うまで働かせたそうです。
 これらの労働者は、日本政府の機関である防衛施設局が雇用するという形を取っています。しかし、このような事件が起きても、防衛施設局は、酷使を行った人を直接処分する事はできません。防衛施設局が基地内のサービスを運営している「エクスチェンジサービス」にクレームをつけて、それを受けてその会社が管理者に注意をする、という形になっています。
 要は、日本政府で人を集め、それをアメリカに「丸投げ」しているわけです。「属国」ならではの雇用形態かつ労働者保護環境と言えるでしょう。

 米兵が日本人相手に犯罪をおかしても、「地位協定の運用改善」などと言うだけ。そしてその「改善」した結果は、犯罪容疑者の米兵の取調べに米軍関係者の立会いを認めるという、日本人には認められない権利の付与だった、という事が4月にありました。
 自民党政府の政治業者たちは、「世界最大の強国にあてにされている同盟国」だと胸を張っているようです。しかし、そんな姿は、傍から見るとパシリでしかありません。
 かつて、植民地の現地人管理者は、「宗主国」の機嫌を取るために、同胞の権利を踏みにじる事を当然のように行っていたそうです。政治業者たちの神経も、彼らと同じようなものなのでしょうね。