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2004年10月28日

迅速すぎる決断

 イラクで日本人が拘束され、「自衛隊を撤兵しないと殺す」という声明が出されました。事件を起こした組織の「実績」から考えると、脅迫が実行に移される危険性は高そうです
 今回も自民党政府やその意を受けたマスコミにより、「捕らわれた日本人青年への批判」が行われています。それにより、世論の多くもそれに沿ったものとなっています。その結果、この事件についての認識は「こんな危険な時にイラクに行くのは愚かだ」などという「他人事」になっています。

 今回の事件に対して、小泉首相は即座に「自衛隊は撤兵しない」と明言しました。先週の土曜の夕方に「大地震の対策のために職場に戻るか」と「映画の舞台挨拶を見る」のどちらを取るかですらあれほど迷っていた人物と同じとは思えない迅速すぎる決断です。
 4月の事件の時もこの「撤兵しない」という決断は非常に迅速でした。この反応速度を見る限り、「日本人が捕まって自衛隊撤兵を脅迫された時」についてのマニュアルは派兵する前から完備されていたように思われます。
 私のこの推測が正しければ、スペインのように「日本国内でテロが発生し、自衛隊撤兵を求める犯行声明が出された場合」に対する自民党政府の対応もマニュアル化されているはずです。そこに記載されている行動規範は「国民の生命・安全を守る事を最優先する」なのでしょうか。それとも「テロに屈しない」なのでしょうか。

 今回の事件は、組織だって計画的に行われたようです。つまり「この類のテロ組織が具体的に日本人を標的にした」わけです。その「日本人を標的にした活動」がイラクにとどまらない事はすでにいくつかのテロによって実証されています。そのような中で自民党政府は「自衛隊派兵>国民の命」という事を迅速に決断しているわけです。我々一般国民にとっては「なぜこんな時にイラクに行ったのだ」などと論じる余裕があるほど、「他人事」の事件ではないと思うのですが・・・。

2004年10月20日

どの国のための外交?

 沖縄に行った外相が、8月のヘリ墜落事件で操縦士の技術を褒め称えました。報道によると、直後に「陳謝した」となっていますが、その記事を読んでみると「操縦士の技術レベルも分からないで言ったのは不適切だった」と「陳謝」し、続けて「あの狭い所に機体を持っていったのは、それはそれですごい」と言っています。つまり、発言そのものは意地でも撤回する気がないようです。
 そのような不評を買ってまで「何をやらかしても米軍は偉大だ」とでも主張したいのでしょうか。大統領選挙で頼まれもしないでブッシュ氏の「応援演説」をした首相や幹事長もそうですが、彼らはアメリカならびに現政権の忠誠心を表明したくて仕方ないようです。
 この墜落事件では、機体を回収した際に作業員が防護服を着ていた事が目撃され、「何か危険な物を積んでいたのでは」という疑いも持たれました。しかし、私の知る限りでは、その件について日本政府が米軍に問い質したという話は聞いていません。さらに、墜落したのと同型機の飛行再開についても、地元が反対しているにも関わらず、あっさり容認しています
 地元住民の声には耳を貸さずに、ひたらすら操縦士の技術を称える事に執着する外相。いったい、どの国の利害を代表して「外交」を行っているのでしょうか。

2004年10月14日

地方議員が言論を弾圧する時代

 本宮ひろ志氏の「国が燃える」という漫画が、南京大虐殺を題材にしました。すると、地方議員がその内容について抗議。すると出版社は連載を休載にしました。
 代表者のサイトにあった「抗議文」ですら所謂『南京大虐殺』は、当時の体験者や、研究者、学者により、諸説が分かれているところであり、ないという強力な証拠があるものの、あるという確証がない状態 中国の真偽定かでない写真を用い、百人斬りを事実として記載し、意図的 に歴史を歪曲している。との事です。
 ないという強力な証拠があるものの、あるという確証がないというのが議員氏の立場ですが、その人による抗議文ですら、「諸説が分かれている」と書かざるをえないわけで、問題にしている写真も「真偽定かでない」であり「偽造が立証されている」というわけではありません。
 つまるところ、ある種の政治思想の持ち主にとって看過しがたいものである、というだけです。絶対に正されなければいけない事実誤認とは違います。

 ところが、結局この抗議を受けて、掲載している集英社はあっさりとこの作品を休載に。さらに、それを報じた新聞記事はいずれも「ベタ記事」扱い。仮にも、議員が思想信条を理由に出版社に圧力をかけ、それにあっさり屈した事件にしては小さすぎます。
 少なくとも、しばらく前に話題になった「元外相の娘の私生活」などよりは、よほど「言論の自由」に関わると思うのですが。

2004年10月12日

草野球とマッサージ器が年金崩壊の原因?

 ここのところ、社会保険庁の「不祥事」に関する報道をよく見ます。業者に便宜を図って約4億4600万円分受注させ、その見返りに数十万円貰った課長が逮捕されたという事件は、確かに純粋な不祥事です(ただし、それが社会保険庁に限る特殊な例とは思いづらいですが)。
 しかし、職員の親睦草野球大会などに年間136万円を保険料から支出していたなどというのを、社会保険庁大阪社会保険事務局がマスコミ発表した、という記事などを見ると、よくそんなもん調べて、わざわざ発表するな、と思ってしまいます。
 もちろん、草野球だろうとボウリング大会だろうと、保険料を使って行う事が適切だとは思いません。しかし、保険料の不適切な使途というならば、もっと多額のものがあるのではないでしょうか。
 たとえば、年金保険料無駄遣いの象徴とされる「グリーンピア」。この存在並びに非効率的な経営については、どのマスコミも取り上げます。しかし、この大半は、歴代厚生大臣や、議員に立候補しようとした厚生官僚の地元に造られた、という指摘については、いくら検索しても、マスコミのサイトにはなく、議員などのサイトにしか掲載されていません。
 そのうちの一つである、グリーンピア二本松の赤字だけで80億円だそうですから、それだけで野球大会が5,882回も開催できます。そのような大赤字の根源については明らかにせず、野球大会を調査する社会保険庁の上層部の意図はどこにあるのでしょうか。

 そのような傾向を受けてか、今週の週刊文春はマッサージ器に観劇チケット…ムダ遣い総額6300億円社会保険庁全職員に告ぐ一人3700万円を返還せよ!という記事を掲載しています。マッサージ器もグリーンピアもいっしょくたにし、全て「年金官僚」が悪いとしています。
 年金に関わっている人にも、自らの利権のために数十億円の保険料を使いまくった大臣や高給官僚がいる一方で、こき使われて過労自殺した青年職員もします。にもかかわらず、大臣から末端の職員まで一つにまとめて「ムダ遣い総額」を「職員の数」で割り算し、全て均質に同罪、としたわけです。国民に一般の職員を敵視させ、根源的な問題から目をそらさせるという、自民党政府と親密なマスコミの常套手段の記事と言えるでしょう(※この「常套手段」については本サイトの長文・現代に生きる「分断支配」の構図に詳細を記載してあります)
 なお、自民党議員でも、この問題に対して、首相や歴代厚相を批判している人がいます。ただ、結局この責任はいずれ明確にすべきだが、私は事ここに至っては年金財源に間接税を充てる以外にはないと考えている。との事。党内レベルでは一応首相などと対立しているにも関わらず、その相手の責任は先送りするが、国民の負担増については明確な方針がある、というこれまた象徴的な見解です。

 昔の国鉄にせよ、最近の道路公団にせよ、巨大赤字が出た国営事業が問題になると、「赤字の根源への批判をずらし、末端の職員レベルの問題を槍玉に挙げて攻撃して世論を誘導」→「その流れで『改革』を行ったら、自民党の利権はそのまま温存」という結果を導く、という政治とマスコミの連携プレーがありました。今回の年金もその方向に持っていこうとする意志があるように思えます。

2004年10月05日

「景気回復」と生活

 ここ1年くらい、「景気回復」という言葉が自民党政府やマスコミからよく聞かれるようになりました。当初は、これまで同様の「大本営発表」に違いない。実際、賃金や雇用情勢は悪いままではないか、と思っていました。
 しかし、あまりにも堂々と「景気回復」を繰り返されているうちに、微妙に考え方が変わりました。かつて使われてきた「好景気」「景気回復」と、現在の「景気回復」は、一般の国民にとってはかなり意味合いが違うものではないだろうか、と考えるようになったのです。
 そのあたりの考察を、長文集の景気と生活にまとめて見ました。ご一読いただければ幸いです。