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他に選択肢はない?

 マスコミの社説などで、「○○以外の選択肢はない」という表現がたまに見られます(例1例2)。
 「マスコミがそう言うのだから」などと素直に読んでいると、「他に選択肢がないのか。ならば仕方がない」などと納得しかねません。しかし、一体その「選択肢」とは誰が作るのでしょうか。

 試験の選択式問題ではあらかじめ「正解」が決まっているにも関わらず、受験者を迷わせる「誤った選択肢」が二つ以上存在します。その、それぞれ一理ありそうな選択肢から、いろいろと考えた結果「正解」を選ぶわけです。つまり、「選択肢」というのは、正解である必要などないのです。
 加えて言えば、それまで「正解」とされていたものを疑い、不正解とされていた選択肢を再検討する事によって、科学は進歩していきました。
 ましてや、誰もが「正解」を知らない現時点においては、様々な「正解となりえる選択肢」が存在し、その外側にはさらに無数の「正解とは思えないが、選ぶ事ができなくはない選択肢」が存在するわけです。にもかかわらず、「他に選択肢はない」などと、他の全ての可能性を否定する、というのは果たして可能なのでしょうか。

 冒頭に書いたように、「他に選択肢はないのか、ではそれしかないな」と単純に理解してくれる人ばかりなら、このような物言いは説得力を持てるかもしれません。しかし、このようにちょっと突っ込んで考えてみれば、「他に選択肢はない」などという言葉を使って主張するのは、「事実としてありえない事」を前提に主張しているようなものだという事に気づかされます。
 逆に言えば、そのような無茶をしなければならないほど非論理的な事を主張する時に使うのが、「他に選択肢はない」という言葉である、と考えると分かりやすいのかもしれません。

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