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2008年06月28日

原油高を引き起こした「努力」

 「原油高のため、漁船が出漁しても赤字になるだけなので、操業を休んだ」とニュースがありました。これによって、漁業に従事している人々の生活が苦しくなる上に、我々一般市民も、魚が不足して困る事になります。
 そのように、原油高で多くの人々が困っている一方で、それによって儲けている人もいます。
 この原油高の原因は、単なる需要・供給の関係だけではありません。一つには、ヘッジファンドなどの投機マネーによる影響、さらには、イラク戦争が原油高の要因となっているわけです。
 オイルマネー投機が収益活動である事はもちろんですが、イラク戦争もそれを引き起こした人々にとっては収益活動です。いずれも、それによって莫大な収益を得た人がいるわけです。

 ここで重要なのは、原油高によって儲けた人と、困っている人の人数差です。戦争を起こすだの、世界経済に影響を与えるような投機活動が出来る人は限られています。
 一方、漁業に従事する人はそれらで儲けた人の何百倍もいます。その上に、魚不足で困る一般市民が多数いるわけです。
 つまり、現在の原油高は、少数の人が大儲けするために、その何百・何千倍の人が不利益を被っているわけです。ましてや、原因の一つであるイラク戦争に至っては、イラク人を初め、膨大な人々の命まで失われ続けているわけです。
 ならば、「原油高で損をする側」の人間としては、戦争はもちろんですが、そのような投機活動がによって多くの人が困るような事が起きないような世界になったほうが、結果的には多くの人にとって幸福なわけです。

 しかし、「原油高で得する側」の人だと考え方が異なってきます。たとえば、経済雑誌などを見ると、「努力をした者がそれに見合った報酬を受けるのは当然だ。それを、格差社会などと批判するのは、悪平等だ」などといった論調が見受けられます。
 しかし、彼らが行なっている「努力」は、原油高で困っている多くの人々にとっては「やらないほうがいい事」でしかありません。そして、現在の世の中が続けば、さらなる「多くの人に迷惑をかけながら自分だけが儲けるための努力」がなされる事でしょう。
 一方で世の中には、金にはならないけれど、多くの人にとって益になるような努力をしている人もたくさんいます。しかしながら、そのような努力をする人が物質的に苦しんでいても、経済雑誌などで「努力しているのに報われないのはおかしい」と書かれる事はありません。
 今回の原油高によって発生した問題で、改めて新自由主義的な「努力した人が多大の報酬を受けるのは当然だ」が二重の意味で間違っていることを実感させられました。

2008年06月02日

経団連が提示する「選択肢」

 経団連がまた安定的な社会保障制度を確立するには消費税の引き上げ以外に選択肢はないなどと「提言」したそうです。
 消費税が創設されたのは1989年で、1995年には5%に税率が上がりました。しかしながら、その20年近くの間、日本の福祉が向上はしていません。それどころか、「介護保険」「障害者自立支援法」「後期高齢者医療制度」など、制度が変る度に、負担が増えるばかりです。

 そのような現実がありながらも、経団連は「消費税を上げないと、社会保障は不安定になる」などと言っているわけです。これまでの税率でできなかった「安定的な社会保障制度制度」が、なぜ税率を上げるとできるのか、普通に考えれば理解できません。ましてや、「しか選択肢がない」そうです。
 しかし、世の中には他にも色々な税金が存在します。したがって、法人税率を上げるとか、累進課税を行なうなどの「選択肢」は存在しえるわけです。そう考えると、経団連という団体は、極めて視野が狭く、考え方も硬直していると言わざるをえません。
 にも関わらず、そのような暴論を用いて消費税率を上げようとするのには、このような場では絶対に言わない真の理由があります。過去20年近くの消費税収の合計は、法人税減税分の合計とほぼ同じです。つまり、経団連を構成する企業がより儲けるためには、消費税率をより上げて、代わりに法人税率を下げるのが一番手っ取り早いわけです。

 つまり、冒頭に挙げた経団連の発言には、重大な本音が隠されているわけです。それは、「財界の儲けをより向上させるためには、消費税率の引き上げを国民に押しつけるのが最善」とでもなるのでしょうか。
 なお、彼らが脅しのように使っている社会保障制度の安定ですが、民衆の不満が爆発寸前にでもならない限り、彼らにとってはどうでもいい事です。
 別に、社会保障を受けねばならないような定収入の人がどうなろうと、彼らにとっては知ったことではありません。何しろ、擬装請負をとがめられたら、「それが違反である事がおかしい」というような事を言って開き直る人がトップにいる団体なのです。

 まだ、高度経済成長期ならば、ある程度企業の利益増と国民生活の向上は比例していました。しかしながら、現代にそれは当てはまりません。企業の儲けを維持するために行なわれることは、いかに低人件費で働く人をこきつかうか、です。したがって、大企業がいくら儲けを上げても、それは国民生活にとって何の利益にもなりません。
 そうやって考えていけば、「安定した社会保障制度を維持する」ための選択肢は、いくらでもある事が分かるでしょう。そのうちの「消費税の引き上げ」は、数多い「選択肢」のうち、財界にとってもっとも得で、一般国民にとってもっとも損なものでしかありません。他にもいくらでも「選択肢」はあります。