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2011年02月22日

中国の「デモ」と東京の「抗議行動」

 中東各国の影響があったのか、中国でもネットに反政府デモの呼びかけがありました。
 当初の報道では「当局が書き込みを全て削除・遮断した」と出ていました。しかしながら、全ての書き込みを消す事は不可能だったようで、20日には、実際に呼びかけがあった場所には人々が集まりました。そして、官憲が暴力的に、集まった人々を捕らえたとのことです。
 何千キロも離れた場所で発生した事ですが、Googleニュースを「デモ」で検索すると、日本の各全国紙はもちろん、TV局さらには一部ブロック紙まで報じています。
 しかも、「立ち話をしただけで捕まるなど、北京と上海で少なくとも5人が逮捕された」などと、かなり細かい事まで報じていました。

 おかげで、中国当局がいかに民衆運動を弾圧しているか、またネット遮断などという手段をもっても、結局人々の動きを止めることができない、という事がよく分かりました。
 ところで、「デモ」で検索すると、中国や中東の他に、日本のデモも小さく出ています。それは、名護市の北にある高江という集落で行われている、米軍ヘリパッド建設に反対するデモです。
 この高江では、反対のために現場に来た住民に怪我をさせるなど、強権的な工事が進められています。それに反対する支援者が、中国と同じ20日に、東京を中心に全国数カ所でデモを行いました。
 しかしながら、この「デモ」の報道については、京都で行われたものを毎日新聞と京都新聞が、同じく福岡でのものを朝日新聞が小さく取り上げただけです。東京で行われた事については、レイバーネットという労働者の団体のルポしか出てきません。
 主催者のサイトによると、警察との折衝の関係で、「デモ」は行えず、アメリカ大使館への申し入れのみ行ったとの事です。しかしながら、検索語句を「高江」や「アメリカ大使館」などに変えても、結果は同じでした。
 「デモ」であるかどうかはともかく、200人もの人が参加し、2人の逮捕者を出したとのことです。主催者の発表した動画によると、逮捕された人が何か暴力などをふるったようには見えません。これでは中国の「立ち話しただけで捕まり、少なくとも5人以上逮捕」とさほど変わりありません。
 ちなみに抗議行動が行われたのは、新橋駅からアメリカ大使館の間です。つまり、全国紙各社は、北京や上海には現場に記者を貼りつけて詳細を報じているにも関わらず、本社から地下鉄で10分程度で行ける場所で起きている事は一切報じていないのです。
 全国紙は、常日頃から「日米安保は国家の基軸」などと主張しています。そして、その「基軸」において住民が迷惑を被り、それを支援する人が活動しているのです。ならば、仮にその行動に社として反対の立場していても、そのような事があった、という事実は伝えるべきでしょう。

 なお、一晩明けた翌21日になっても全国各紙のサイトでも、この都心で行われた抗議行動は完全に無視されていました。ある新聞の紙面を見たところ、中国で弾圧のあった現場に通りかかった市民が「何があったのですか」と尋ねた、という書き、中国政府の情報統制の状況を伝えていました。
 中国では、当局の強権とネット検閲によって集会を「無かった事」にしました。一方、日本では、当局の強権と、商業マスコミの「一斉無視」によって「無かった事」にしようとしているわけです。
 もしかしたら、彼らが中国の「デモ」を報じたのは、「これが我々が目指す体制」という「目標」を紹介したいがためなのだろうか、などとまで思った、商業マスコミの「報道管制」でした。

2011年02月12日

結論ありきで創作される報道

 昨年末に行われた日航で整理解雇が行われました。経営破綻が現実となって以来、商業マスコミはその原因として「社員の給料が高い」「退職者の年金が高い」だのと、ひたすら、人件費の高さを「原因」として挙げてきました。
 その流れもあり、希望退職者が目標人数に達しており、四要件を満たしていないにも関わらず整理解雇をした、という異常な事態についても、当然の事であるように報じられています。
 しかしながら、この「日航は人件費で破綻した」というのは事実ではありません。実際に調べたところ、国際的にはもちろん、ライバル企業である全日空と比べても、日航における営業費用における人件費の比率は低いというデータがありました。ちなみに、2002年以降は、全日空のほうが常に高い比率となっているとのことです。

 そのような事実を無視して、商業マスコミは「パイロットの年収が2千万円だから潰れた」などと報道していたわけです。所属している人の年収が高いと潰れるのなら、ニューヨーク・ヤンキースなどはとっくの昔に経営破綻しているはずです。
 だいたい、人件費で経営破綻、などという事が発生する可能性は何パーセントくらいあるのでしょうか。最近の倒産情報を見ても、原因は消費不況に伴う売上減か、経営陣の失敗によるものがほとんどです。
 実際に日航も、ホテル経営や財務での失敗、政治的圧力に伴う不必要な投資などがあります。しかしながら、それが商業マスコミを介して伝わることはほとんどありません。
 これらの事から、商業マスコミが行っているのは、「なぜ日航が経営破綻をしたか」という原因究明ではない、という事が分かります。彼らのやっていることは、経営陣および政財界の主張である「日航は労働者のせいで破綻した」という「結論」を、読者・視聴者に浸透させる宣伝活動でしかないのです。

 ちなみに、整理解雇されて提訴した人が、あるテレビ局から「取材」依頼をうけたそうです。その内容は、「ハローワークで求職活動をしたり、公園で一人寂しくブランコに乗っている姿を取らせてくれ」というものでした。もちろん、その人は、実際にはそのような行動はとっていません。
 しかしながら、仮にこれを承諾していたら、そのテレビ局は、解雇された人が自らの意志で職安に行ったりブランコに乗ったと「報道」したわけです。
 これなどは、商業マスコミが、事実を元に結論を出しているのではなく、結論を元に「事実」を創作しているという姿勢の象徴例と言えるでしょう。
 25年近く前の国鉄の時もそうでしたが、大規模な不当労働行為が行われる際は、商業マスコミが政財界と一体になって、労働者を叩きます。言い換えれば、特定の労働者を叩くような報道が大量に流れれば、そこには情報操作による不当労働行為の計画が存在している、と考えるべきなのでしょう。