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2011年06月30日

「復興」で儲けようとする人々

 財界が、震災で被害にあった東北に「復興案」としていくつかの主張をしています。その核となるものとして、「ただ震災前の状態に復旧させるのでは意味がない。以前より発展した物を創り上げるべきだ」という考えがあります。そして、「この国難をむしろ日本復活の足がかりに」などと主張する論調すらあります。
 一見すると、かなり前向きな考え方のように思えます。しかし、この主張では、極めて重要な事が無視されています。
 それを象徴するのが「復興案の目玉」の一つとなっている「漁業の集約および企業参入」というものがあります。確かに、それが実現すれば、これまでより大規模な漁港と漁船により、大規模漁業が行われ、多額の収益が生み出されるでしょう。見た目は、「震災前より発展した」となります。

 しかし、そこで産み出される多額の収益は、これまでその地で漁業をやっていた人の犠牲が前提としています。つまり、震災でこれまでの生活を失われた人は助けずに、彼らが得てい収入を大企業がかき集める、というのが彼らにとっての「震災前より発展」する事の意味なのです。
 もちろん、これは漁業に限った事ではありません。
 今回の震災で、世界各国より様々な形で、日本への支援が寄せられました。そのように外国の人々が被災者の方々を助けようとしている一方で、日本の財界およびその意を受けた政治業者・マスコミは、被災者をより悲惨な状況にすることによって金儲けをする算段をしています。それが彼らにとっての「震災前より発展する」なのです。
 いわゆる「失われた20年」の間、大企業はひたすら人件費や下請けへの委託費などといった「コスト」を削減して利益を増やしてきました。言い換えると、大企業の利益の原資は、働く人や取引先の不利益であり、損をする人が増えれば増えるほど、利益が増大する、という構図だったわけです。そして、それをそのまま「震災復興」にも持ち込もうとしているのです。
 悲惨かつ防ぎようのない天災ですら、彼らにとっては「これでまた弱者が増える。したがって今は彼らを絞りとって利益を得る絶好機」というものでしかないのです。あらためて、ここ20年くらい続いている日本経済の異常さを再認識させられました。 

2011年06月23日

軍事脅威国家との経済提携

 日米安全保障競技委員会の協議が行われ、改めて名護市辺野古に新基地を作るなど、在日米軍の新施設建設を盛り込んだ合意をしました。そのような軍拡を行う理由として、中国の脅威があると発表されました。
 そして、それを報じた日経新聞の一面に載った記事でも、「中国の脅威」を煽るような書き方をしています。さらに「トモダチ作戦」なども持ち出して、「合意を受け入れるのは当然」という結論にしていました。
 ところが、その記事の隣には、三菱商事が国有企業と提携して、中国全土で食料事業を行うという記事が載っていました。一面に載るくらいですから、かなり大規模な提携なのでしょう。

 さらに、経済面では、三菱東京UFJ銀行が中国の国有石油化学企業大手と業務提携したという記事が載っています。他にも、中国の市長たちが経済交渉のため、集団で訪日する、という記事もありました。
 軍事で対抗し続けないと、いつ日本に攻めてくるか分からないと名指ししている国の直営企業と、日本を代表する商社や銀行が相次いで提携しているわけです。にも関わらず、このような「利敵行為」に対する批判は紙面に一切書かれていません。中国市長の集団訪日についても同様です。
 さらに、国際面では米中、対話を加速、決定的対立を回避という記事が、両国元首の顔写真付きで載っています。
 つまり、その紙面にある他の記事を読めば読むほど、「中国の脅威に対抗するために名護に基地を作る」という建前がいかに実情と乖離しているかが分かる、という構成になっているのです。

 なぜこのような不可解な主張をするのだろうかと思いながら読み進めていくと、興味深いコラムがありました。(※WEBの無料ページには載っていないようです)。
 そこでは、菅政権を批判した後、「そんなのを選んだ国民にも問題がある」という内容の事が書いてありました。さらに、消費税増税を主張すると選挙に負けるという風潮についても、増税を主張する政党には投票しないという日本人の「愚かさ」を嘆いていました。
 これらから総合的に判断すると、この新聞社は、「基地建設の口実として、『中国の軍事脅威』を使って煽れば、いくら同じ紙面に日中や米中の提携記事が沢山載っていても、愚かな国民は素直に信じる」と思っている、という結論に達することができます。
 そう考えると、ある意味、見事とも言える紙面構成でした。だからと言って、この新聞を読む人が、制作側の期待通りに「中国とは経済的に提携が一層進んでいるが、軍事的には脅威だ。だから名護に基地を増設すべきだ」などと信じてあげる必要はどこにもない、とも思いました。