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2012年01月26日

NHKニュースの経済感覚

 NHK NEWS WEBというサイトにどうなる・貿易立国・日本という記事が載っていました。サイトの説明を見ると、NHKのニュース番組で流されたものをWEBページにまとめたもののようです。
 読んでみたのですが、冒頭からいきなり度肝を抜かれました。なんと、日本が31年ぶりの貿易赤字となりました。 戦後、経済成長を続けてきた「貿易立国・日本」は、これからどうなるのか。という言葉で始まっているのです。
 確かに、戦後に日本が経済成長を続けていた時期はありました。しかし、そのようなものは20年以上前に終わっています。その後、バブル崩壊から「失われた20年」を経て現在に至っているわけです。

 さらに、追い打ちをかけるように、日本の貿易黒字は高度経済成長などと重なります。黒字が始まった1981年(昭和56年)輸出の主役は自動車や電機製品などの組み立て産業でした。などとなんか2010年まで高度経済成長が続いていたかのように報じています。
 一方で、その数行後には、バブル崩壊による国内景気の低迷、アジア通貨危機、ITバブルの崩壊、資源価格の高騰、中国など新興国の台頭、そして、リーマンショックによる世界的な景気悪化など何度も危機が襲いましたが、貿易黒字を続けてきました。と書かれています。
 ここで挙げたマイナス要因は、「高度経済成長など」とは似ても似つかないものです。つまり、ちょっと前で述べた「日本の貿易黒字は高度経済成長などと重なります。」と整合性がまったく取れていません。

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2012年01月12日

「経済は一流」という遺物

 1980年代の新聞でよく見かけた標語に「日本は経済は一流、政治は三流」というものがありました。「経済大国になった事から分かるように、日本はの経済は一流だが、不祥事を起こす事からも分かるように政治家は三流だ」という主張です。
 実際にGNP(当時)などで示される指標は好調でした。一方の政治のほうは汚職事件などがよく報じられていました。特に、その代表格で刑事事件で有罪判決が下された故・田中角栄氏が相変わらず政権政党である自民党を牛耳っている、というような状況でした。
 それゆえに、この標語は当時の多くの人に信じられていたようです。

 この思想が拡大され、「政治家・官僚の主張・施策には間違いもあるが、日本経済を一流にした財界の行動・主張は正しい」という事が常識であるかのように報じられました。
 そのため、最も収益力があったトヨタが採用したシステムは、完璧に正しいものであるかのように伝えられました。また、メザシが好物だった経団連会長は、庶民の救世主であるかのようにもてはやされました。
 そして、「政治や国営および公営事業は間違いだ。民間企業のやり方を導入すべきだ」「財界の主張に従えば間違いない」というような「世論」が形成されました。これらの根底には「政治は三流だが経済は一流」という理念があったと思われます。

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2011年08月22日

大企業の「6重苦」

 最近、財界人が日本の「6重苦」なるものを主張し、それをマスコミが報じています。その六つとは「円高、法人税が高い、貿易自由化の遅れ、労働規制、温室効果ガス抑制策、電力不足」で、この状態が続けば、企業は海外に出て行く、と脅しています。
 つまり、これらの制度を財界の都合のいいように変更しろ、と主張し、マスコミもそれを後押ししているわけです。
 では、その「6重苦」の解消とは、具体的にどのような政策によって実現されるのでしょうか。

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2011年07月23日

「安全性が確保された」の意味

 電力会社・財界・政治業者たちが盛んに「原発の安全性」について宣伝しています。彼らによると、安全性は既に確保されており、それについては政府が責任を取れるそうです。
 同様に、商業マスコミも社説などで「原発の安全性を発信し、再稼動せよ」などと主張しています。
 しかし、現に福島では、いまだに原発事故が解決していません。それどころか、「いつまでにどうやって解決するか」すら明確になっていません。つまりは全くもって安全ではないのです。

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2011年06月30日

「復興」で儲けようとする人々

 財界が、震災で被害にあった東北に「復興案」としていくつかの主張をしています。その核となるものとして、「ただ震災前の状態に復旧させるのでは意味がない。以前より発展した物を創り上げるべきだ」という考えがあります。そして、「この国難をむしろ日本復活の足がかりに」などと主張する論調すらあります。
 一見すると、かなり前向きな考え方のように思えます。しかし、この主張では、極めて重要な事が無視されています。
 それを象徴するのが「復興案の目玉」の一つとなっている「漁業の集約および企業参入」というものがあります。確かに、それが実現すれば、これまでより大規模な漁港と漁船により、大規模漁業が行われ、多額の収益が生み出されるでしょう。見た目は、「震災前より発展した」となります。

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2011年06月23日

軍事脅威国家との経済提携

 日米安全保障競技委員会の協議が行われ、改めて名護市辺野古に新基地を作るなど、在日米軍の新施設建設を盛り込んだ合意をしました。そのような軍拡を行う理由として、中国の脅威があると発表されました。
 そして、それを報じた日経新聞の一面に載った記事でも、「中国の脅威」を煽るような書き方をしています。さらに「トモダチ作戦」なども持ち出して、「合意を受け入れるのは当然」という結論にしていました。
 ところが、その記事の隣には、三菱商事が国有企業と提携して、中国全土で食料事業を行うという記事が載っていました。一面に載るくらいですから、かなり大規模な提携なのでしょう。

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2011年05月18日

報道されない風評被害

 この二ヶ月、「風評被害」という言葉を数多く見ました。辞書によると、この言葉の意味は「根拠のない噂のために受ける被害。」とのことです。
 ところが、実際に「風評被害」として報じられているものを見ると、「根拠のない噂」が原因でないにも関わらず、「風評被害」として報じられています。たとえば、福島原発周辺で収穫された農産物および畜産物・水産物が売れなくなった、という被害です。
 これはどう見ても「風評」によるものではありません。福島の原発から有害な放射性物質が撒き散らされ、それに汚染されたのが原因です。
 もちろん、「基準値」を満たした農産物が売れない問題もあります。しかしその、政府などの発表する「基準値」自体が信用できないのが現状です。したがって、「根拠のない噂」によって売れなくなったわけではありません。いずれの場合も、加害者は「風評」でなく「原発」です。
 したがって、この問題を「風評被害」とするのは誤りです。「原発事故による被害」が正しい表現となります。

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2011年03月30日

原発推進報道と重なるもの

 東電の原発に関する問題は、発生後半月経っても悪化するばかりで収束する気配がありません。原子炉の冷却には多くの人・資源が投入されていますが、被曝者の数は増える一方です。
 半径20キロ圏は人が入れなくなり、さらにそれより離れた地域も、「屋内退避」が「自主避難勧告」になるなど、状況は悪化する一方です。それに加え、陸地に飛び散った放射性物質により、農業が多大な被害を受けています。また、現在はあまり報じられていませんが、海中にもかなりの放射性物質が流れているとの事で、これが環境や漁業にどのような影響を与えるかも心配です。

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2011年01月22日

公務員給与の「削減効果」

 今に始まった事ではありませんが、「公務員の給与を削減せよ」という主張をする人は、商業マスコミに好意的に取り上げられます。そして、私企業に勤務している人には、それに賛同する人が少なからず存在します。
 これは、私企業で働く人の賃金や労働条件の低下に対する不満を、経営者に向けさせないための分断支配が成功している事の好例と言えます。
 では、果たしてそのような扇動者の主張通り、公務員の給与が削減されると、私企業で働く人などに何かいい事はあるのでしょうか。
 一番最初に想定されるのが、公務員給与削減により、国や自治体の財政が良くなって住民サービスが向上する、という考えです。実際、話題になっていた阿久根市の選挙で、前市長はそれを「実績」としていました。
 しかしながら、実際に行われたものとして挙がっていたのは、「住民票の発行手数料が100円安くなった」とか「市役所に住民が閲覧可能のインターネット端末が設置された」といった程度のものだけでした。 
 同じく「公務員叩き発言」で商業マスコミに持てはやされている大阪府知事なども、公務員給与削減とともに住民サービスも削減しています。

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2010年11月02日

過重労働と「正社員過剰」

 メディスコーポレーションという介護付き老人ホームを経営している会社があるそうです。この会社に勤めていた40代の経理部長が最高で時間外労働月228時間もの過重労働を強いられた挙句、過労うつで自殺しました。
 それに対して、遺族が損害賠償を求めて裁判を起こし、一審で支払いを命じる判決が出ました。そこにおける会社側の主張は普段の行動からもうつ病を発症していたとは考えられず、自殺は予見できなかったというものでした。
 228時間も時間外労働をさせておいて、異常を感じることがなかった、と主張できる会社側の主張には呆れるよりありません。

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2010年10月03日

裸の「王道」

 先週の日経新聞一面に、企業の活性化を通じて雇用や賃金を確実に生み出し、家計の不安を和らげるという「王道」を歩む必要があるという一文がありました。
 現実として「一部大企業だけが業績と資産を増やし、働く人は貧しくなる」という状況が続いているわけです。にも関わらず、財界やマスコミは、このような非現実的な事を繰り返し宣伝し続けています。

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2010年08月18日

企業収益と個人消費の関係

 日経新聞の三面に「4月から6月にかけての経済成長鈍化」に関する記事がありました。その中の一節に「輸出増→投資→雇用・所得→個人消費という好循環もうまく働かなかった」というくだりがありました。
 これまで散々、この新聞は「大企業が成長すれば、それが個人消費に行き渡る」と主張し続けていました。その「教義」を元に、民主党政権が発足当初に主張していた「成長より分配」を否定しているわけです。
 ところが結果として「一部大企業は好調なのに、個人には行き渡らない」という従来の主張と全く異なる結果が出たわけです。しかしながら、この記事は他人事のように「うまく働かなかった」などと書くばかりで、その原因にはふれていません。

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2010年06月26日

空論による法人税減税宣伝

 経団連とマスコミが、様々な理由で「法人税減税キャンペーン」を行っています。「理由」として挙げるものに「他国に比べると高い」「したがって、このままでは、高すぎる法人税から逃れるために企業が国外に逃げてしまう」「減税により企業が成長し、国全体の経済が上向きになる」「法人税率が下がることにより、海外からの投資が増える」などというのがあります。
 このうち、「他国に比べて高い」ですが、ごく一部の「高い部分」を過大に強調し、実際に支払っている税率や、国際的に低い社会保障の企業負担率の低さをあえて無視して作成された空論です。

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2010年06月19日

「景気回復」で潤った「個人消費」

 数日前の日経新聞に、上場企業の配当が増加した、という記事がありました。これによって個人消費が増加して、内需に波及するとのことです。
 確かに大株主ともなれば、配当による収入は巨額です。そして、その金の一部は消費に回るわけですから、確かに「個人消費の増加」とは言えます。
 もっとも、そのような事で「個人消費を増やせる」人など、極めて限られています。基本的には株を持っている人です。ただし、一般投資家の多くは、サブプライム破綻などで既に大損しているわけですから、「個人消費」にまわせる余裕などないでしょう。また、当然の事ですが、ただでさえ賃金を減らされている、たいていの給与所得者には、配当で儲ける以前の問題として、株などを持つ余裕などありません。

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2010年06月09日

「パイ」が大きくなった結果

 一時期、「経済のパイ全体を大きくすべきだ」という主張を商業マスコミや経営者が声高に主張していました。要は、企業の収益が向上すれば、経済自体が大きくなり、それによって、一般国民も豊かになる、という論調です。
 その「経済のパイ」はその後どうなったのでしょうか。それについて、しばらく前の日経新聞に興味深い記事が載っていました。
 それによると、3月末の現預金と短期保有の有価証券を合計した手元資金は63兆円と、決算が連結主体になった00年3月期以降で過去最高を記録。日本の10年度予算の一般歳出(53兆円)を上回ったとのことでした。要は、上場企業全体で、使おうと思えばすぐに使える金が、国家予算に匹敵するほど貯まっている、というわけです。

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2010年02月27日

「成長か分配」か、という選択肢

 政権交代に伴なう政策転換に対し、財界やマスコミが「民主党がやろうとしている、『成長より分配』は誤りだ」と批判しています。実際に民主党政権が「成長より分配」という政策を実行するかは甚だ疑問ではあります。とはいえ、この「成長か分配か」という選択肢および、それに対して執拗に批判をする勢力およびその内容については、色々と興味深いところがあるので、考察してみます。
 財界やマスコミによる、「分配より成長」という主張の論点に、「分配しても効果がない」というものがあります。これは、低所得者の分配を増やしても、それは貯蓄に回る。したがって、経済効果はない、というものです。実際、昨年行われた定額給付金の多くは貯蓄に回ったそうです。したがって、現時点においては「分配したら貯蓄にまわる」という推定自体は正しいと思われます。

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2010年01月13日

派遣切りで報道される事とされない事

 年末年始の「派遣村」を引き継ぐような形で、そこにいる人達は、大田区の「なぎさ寮」という都施設に、引き続き「宿泊」する形になりました。その際、これまで求職者に日ごとに支給していた昼食代と交通費を二週間分ということで、二万円支給したところ、全体の一割近い人達が無断外泊し、さらに三割近くが外出届を出して夕食の時間にも戻りませんでした。
 この事を、各新聞が一斉に報道しています。もちろん、その論調は、「彼らが二万円を持ち逃げした」とでも言うような批判ばかりでした。
 しかも、届け出して外出した人も含た数字を元に派遣村人2万円もらった途端204人消えたなどと、いかにも多くの人が「持ち逃げ」したかのような見出しを掲示しています。

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2010年01月03日

トヨタ式利益搾出方法

 昨年、トヨタが赤字に転落しました。もっとも、それまで何十年も黒字を続けていたわけで、貯め込んだ内部留保の金額は莫大です。
 しかしながら、トヨタはその貯め込んだ額を使って従業員を守る、などという事はしませんでした。
 そして「赤字対策」としてまず行なったのは派遣や期間従業員の切り捨てでした。そして、「エコカー減税」で少々業績が持ち直したら、再びいつでも切れる期間従業員を雇いました。
 そしてさらなる「赤字対策」として行なったのが、下請けに対する部品調達費を三割減らすという宣告でした。極めて単純化して言えば、部品を製造している会社の収益を犠牲に自社の利益を守る、という発想です。

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2009年10月30日

「パイ」が大きくなれば皆が潤う?

 財界や日経新聞がよく使う論法に経済のパイを大きくするのが一番重要だというのがあります。
 経済を食べ物のパイになぞらえて、「パイが大きくなれば、一人当たりの分け前も増え、末端の国民も豊かになる。だからとにかく経済成長が必要で、企業活動の規制などはもっての他だ」という論法です。
 これを前提とすることにより、「製造業派遣を禁止すれば、むしろ雇用情勢は悪化する。なぜならば禁止によって企業の利益が減少し、『パイ』は大きくならずに景気もよくならない。その結果、雇用情勢は悪化する」などという主張が堂々となされています。

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2009年10月05日

JR西日本にとっての「安全」

 2005年4月に発生した、福知山線脱線事故において、JR西日本の幹部が、事故を調査した運輸安全委員会の委員長などに接触していた事が明るみになりました。
 目的は、そこで論じられている内容を入手し、ATS未設置など、JR西日本にとって不利になる記述を削除させる事でした。つまり、不正な手段を使って、自社の損失を少しでも減らそうとしたわけです。

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2009年07月15日

「日本の軸」と「大衆」

 先週の日経新聞一面で、三日にわたって「日本の軸を問い直す」という連載をやっていました。
 世界経済危機の影響から回復しきれない現状を踏まえての、政策に対する提言という事になっています。しかし、その内容は毎度お馴染みの「構造改革」「規制緩和」「消費税増税と法人税減税」「社会保障の見直し」という、「新自由主義のより一層の推進」でした。ちなみに、「小泉改革」の問題点は「郵政以外の『改革』の推進が鈍かった事」だそうです。
 一方で、福祉の改善など、国民にとって益のある政策については、「大衆迎合」の一言で切り捨てています。

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2008年06月28日

原油高を引き起こした「努力」

 「原油高のため、漁船が出漁しても赤字になるだけなので、操業を休んだ」とニュースがありました。これによって、漁業に従事している人々の生活が苦しくなる上に、我々一般市民も、魚が不足して困る事になります。
 そのように、原油高で多くの人々が困っている一方で、それによって儲けている人もいます。
 この原油高の原因は、単なる需要・供給の関係だけではありません。一つには、ヘッジファンドなどの投機マネーによる影響、さらには、イラク戦争が原油高の要因となっているわけです。
 オイルマネー投機が収益活動である事はもちろんですが、イラク戦争もそれを引き起こした人々にとっては収益活動です。いずれも、それによって莫大な収益を得た人がいるわけです。

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2008年06月02日

経団連が提示する「選択肢」

 経団連がまた安定的な社会保障制度を確立するには消費税の引き上げ以外に選択肢はないなどと「提言」したそうです。
 消費税が創設されたのは1989年で、1995年には5%に税率が上がりました。しかしながら、その20年近くの間、日本の福祉が向上はしていません。それどころか、「介護保険」「障害者自立支援法」「後期高齢者医療制度」など、制度が変る度に、負担が増えるばかりです。

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2007年06月28日

「成長」と「逆行」

 自民党の参院選用TV広告のうたい文句は「成長か、逆行か」だそうです。「成長」というのは、「小泉改革」以来続いている「経済成長」の事かと思われます。
 20世紀半ばまでは、「経済成長=国民生活の向上」でした。しかし、現在の経済成長は違います。確かに大企業の数値は成長し続けていますが、それは労働者の取り分を企業が奪っただけの事です。正社員には長時間労働と賃金抑制を行い、さらに低賃金非正規雇用者を増やしています。そこで浮いた賃金が儲けの一部となって、「成長」を支えているわけです。さらに、「法人税減税・消費税増税」のように、さらに一般国民の金を大企業に移転することによって成し遂げられる「成長」政策が準備されています。
 そのような、小泉・安倍型(もしくは奥田・御手洗型)の「成長」をより一層進めるためにはどのような事が行われるでしょう。一つのヒントとなるのが、「参院選が近いから」という理由で先送りされた「ホワイトカラー・エグゼンプション」でしょう。つまり、自民党は堂々と、「これからも正社員・非正規雇用者ともより低賃金でこき使い、大企業の利益を上げる」と宣言しているわけです。

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2006年11月26日

日本経済の「牽引」のしかた

 しばらく前ですが、経団連会長が法人税率の引き下げを求める際の口実として、「日本経済の牽引車である企業が国際競争力を失っては困る」と主張している、という記事を見ました。財界が自分たちの都合に合わせてデータを取捨選択して「日本の法人税は国際的に高い」と宣伝して税率引き下げを主張するのは毎度の事です。
 というわけで、主張自体には新鮮味は何らありませんでしたが、この自らを「牽引車」と表現した事は非常に面白く感じました。

 確かに、1980年代までの時代では、大企業を中心とした成長に引っ張られて国民全体の生活が向上した事もあったかもしれません。しかし、それはもう過去の話です。
 いくら財界や商業マスコミが「今回の景気回復が国民生活に波及しつつある」と言っても、経営者や大企業正社員の一部を除けばもはやそのような事はありません。これは「いざなぎ越えの経済成長」でありながら、「所得減少」「ワーキングプア」などという現象が生じている事からも明らかです。
 にも関わらず、財界は自分の事を「日本経済の牽引車」とたとえているわけです。では、果たしてその「牽引車」はどのような動きをしているのでしょうか。

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2006年07月08日

JR的思考の象徴

 2005年4月に発生したJR西日本福知山線の大惨事の責任を取って辞任した役員が、関連会社の社長などに天下っていた事が判明したそうです。
 中には、経営方針に「稼ぐ」を挙げるなど、大惨事発生の原因になったとも言える人物も含まれているそうです。100人を越す人命を奪った「責任」が、「1年間休んだ後に天下り」なわけです。JR西日本の「責任感」がよく分かる人事と言えるでしょう。

 その一方で、1987年のJR発足時に不採用となった職員の労働問題は、20年近くたった今でも解決していません。労働委員会や裁判所で何度も不当労働行為であるという認定がなされているにも関わらず、JRはかたくなな態度を取っています。
 このJRに不採用になった当時の国鉄職員は、運転事故を起こして死傷者を出したなどの理由で対象外になったわけではありません。原因はだだ一つ、「分割民営化に反対する労働組合に所属していた」という事だけです。同様に、JRに採用はされたものの、能力があっても所属労働組合のために社内で差別的扱いを受けている社員もいます。
 社の方針に反対すれば、公的な命令を無視してでも20年間不採用を続けるわけです。その一方で100人以上死者が出るような経営方針を策定・執行しても1年で「天下り」ができるわけです。JRの体質が非常にわかりやすく現れている「人事」と言えるでしょう。
 このような経営感覚では、今後も人命に関わるような事件がJRからなくなる事はなさそうです。

2006年05月23日

サラ金業者の立場での政治

 大手業者の悪質行為による業務停止命令などから、サラ金の「グレーゾーン金利」問題が大きく話題になっています。そして、出資法の上限を利息制限法の上限に引き下げる、という動きになってます。普通に考えれば当然の話で、一つの国の法律で、金利の上限が二つ規定されている、というのも変な話です。さらに、その結果、片方の法律に違反している金利で貸金業者が大儲けし、客やその家族はもちろん、自社の従業員にも過酷な事を行っているわけです。
 ところが、その出資法の上限金利引き下げに対して小泉首相が「(金利が)高くても借りる人はたくさんいる。もし法律で(引き下げを)決めると、必ずヤミ(金融)がはびこる。貸す方も悪いが借りる方も悪い。これは一面の真理だ」と述べたそうです。
 この論法は、出資法の上限金利引き下げに反対しているサラ金業界団体の主張と全く同じです。これだけでも、小泉首相の「立場」というものが非常によく分かります。

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2006年02月28日

国際競争力を上げるために消費税増税

 自民税調が、法人税の減価償却制度を全面的に見直す。(中略)税負担を軽減し、企業の国際競争力を高める。とのことです。その一方で、この税調会長氏は、この発表の1ヶ月前に消費税率「10%程度に」という見解を表明しています。
 今年度は、多くの大企業が史上最高の利益を挙げています。特に自動車関係は顕著で、トヨタをはじめ絶好調なのに対し、アメリカのGMなどは業績低下に苦しんでいます。つまり、「国際競争」で圧勝しているわけです。にもかかわらず、「財政危機」の中で歳入を減らしてでも、国際競争力を強化しなければならないようです。
 そして、その減税分は消費税をまかなうわけです。ちなみに、当ブログで何度か書いていますが、1989年から導入された消費税による増収分とその間の法人税の減収分はほぼ同じとのことです。今回の自民税調が発表・発言した事は、それが自民党政府の方針によるものであり、今後もそれを一層進めていくつもりであることを、改めて明示したと言えるでしょう。

 それにしても、「国際競争力強化」とやらのために、我々がなぜ、これまで以上に税金を納めなければならないのでしょうか。現在では企業の国際競争力がいくら上がろうと、多くの人々にとっては関係のない話です。実際、企業が業績を挙げ、「史上最長の経済成長か」などと喧伝される一方で、生活保護世帯や、高校の授業料滞納世帯などが着実に増え続けています。
 高度成長期の頃は、「企業の成長=国民生活の向上」だったのかもしれません。しかし、そのような時代はとうに終わっています。それどころか、企業が成長し続けるために、一般市民の生活から搾り取るのが今の時代です。この事は、低金利下でサラ金と提携してまで好業績を挙げた大銀行の事の例からもよく分かります。
 とにかく、今回の自民税調の発表は「企業の競争力を上げるために、一般市民が生活費を削れ」と主張しているわけです。それに対して、こちらがおとなしく生活費を差し出し、貧しさに耐えながら企業の「国際競争」を応援する必然性など、どこにもないと思うのですが・・・。

2006年02月05日

「改革」の成果としての「格差」

 先週あたりからの小泉首相が「格差」に関する発言について、長文集に、「改革」の成果としての「格差」という題で書きました。

2006年01月31日

タダ働きと過労死を生む「規制緩和」

 先週末ですが、厚生労働省の「今後の労働時間制度に関する研究会」というところが、「今後の労働時間制度に関する研究会報告書」なるものを発表しました。実質的には「労働時間規制の大幅緩和案」とも言うべき内容になっています。参考記事一覧
 最大の特徴は、管理職のみとされていた、時間外や休日労働の割増賃金なしの「裁量労働」を凖管理職にも拡大する、というものです。分かりやすく解釈すれば、「賃金を上げずに労働時間を増大させる制度」となります。一応、「本人の同意が必要」となっていますが、「仮に本人が拒否した場合に、賃金などに差をつけていいか」についての言及は見られません。
 一方、裁量労働の対象外になる労働者については、「有給休暇について、企業に取得を促進させる」「一定以上の時間外労働をした場合、残業代を割増する」などという、労働者にとって得になる案を出しています。こうやって見ると、労使双方に配慮しているように見えます。

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2006年01月13日

悪質な業者

 とある大手サラ金業者のサイトを見たら、右下に!ご注意!悪質な業者に注意してくださいというかなり目立つ画像がありました。クリックしてみると、その会社であるかのように装い、TV広告に出てくる「犬」や「社の制服を着た女性」を使ったチラシを使った例や、社名の「フ」を「プ」にしてその業者のように見せかけている例が記載されていました。
 確かに、「名を騙る」という点においては、この大手サラ金業者より「悪質」ではありません。しかし一方で、この大手業者のサイトの金利についての説明を見ると、利息制限法を上回る利率が記載されています。さらに言うと、そこの系列会社が取り立てた利息制限法を上回る利息について、本日の最高裁が支払いは原則無効との判断を下したそうです。
 「悪質」の線引きは難しいのですが、やはり「法律を守っているか否か」というのはかなり重要な判断基準でしょう。そうなると、この大手サラ金業者はどういう質の業者に分類すべきなのでしょうか。

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2005年06月16日

「経済波及効果」の元手と行き先

 朝の駅前で現職市長が選挙運動をしていました。配っていたチラシを見たら、一番最初に「市長はやっぱり経験豊かな現市長を」とあり、その下に「現市長だから出来た、確かな実績」として、海岸の製鉄所跡地に造った複合商業施設について書かれていました。
 何でも、「経済波及効果が年間約1,600億円、市の税収効果が年間約40億円、新規雇用効果が約2,300人」とのことです。それはいいのですが、肝心の「ではこれを造るのにいくら税金がかかったのか」については現職市長のチラシには書かれていませんでした。そこで、別の市長候補の宣伝を見たところ、総事業費が約1,600億円で、国・県・市で投じた税金の合計は約1千億円という数字が出てきました。
 さて、それだけの経費をかけて生じた「経済波及効果」とは一体なんなのでしょうか。三菱総研倶楽部のサイトよると、施設やイベント会場を造るための建築費並びに、「経済効果」その施設における収益のようです。要は建築業者並びに商業施設に出店した会社の儲けという事です。
 言い換えれば、1,600億円(うち税金1千億円)を投じた結果、同じくらいの額を建築会社や出店企業が儲け、「税収」という形で市に戻ったのは40億円だった、というわけです。こう考えると、商業施設の近隣に住む人を除いた多くの市民にとっては割のいい事業とは思えません。
 なお、なんちゃって研究員の日記というブログによると、それらの事業(本社移転やワールドカップなど)が終わった後の、「実際、経済波及効果は、どのようなものであったか」という検証は全くされていない。というか、する術がないという話もあるけど。。。との事。これを前提にすると、「経済波及効果」の数字は「言ったもん勝ち」という極めてあいまいなもののようです。
 また、雇用2,300人とうたっていますが、これはあくまでも大型商業施設におけるものです。当然ながら、それほどの巨大な商業施設ができれば、その反動が従来からあった近隣の商店などにはふりかかるでしょう。そのあたりについては、現職市長のチラシには何も記載されてはいませんでしたが。

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2005年05月29日

自民党が成し遂げた「景気回復」

 かなり前ですが、TVの広告で、小泉首相が「自民党が景気回復を成し遂げた」という宣伝をしていました。そこで首相が挙げた「景気回復」の指標は「企業収益の増加」「倒産件数の減少」「不良債権額の減少」でした。
 しかし、一部の高所得者を除き、これを見て「そうか、景気がよくなっているのだな」と思う人などはいないでしょう。実際、この指標のいずれも、普通の人の生活には関係がない数字です。特に、「企業収益の増加」に至っては、正社員の賃金増を抑制しつつ労働時間増加および、低賃金の期間雇用者や派遣社員への置き換えが「収益増加の要因」となっている部分も少なからずあり、むしろ「生活の悪化」の原因とすら言えます。

 確かに、バブル崩壊の頃までは、「景気」と「生活」が連動していました。それこそ、バブル崩壊以前は「土地の値段が下がる事などない」というのが常識だったのと同様に、「景気が良ければ生活はよくなる」というのは常識みたいなものでした。
 しかし、首相自らが明かしたように、この「常識」はもはや過去のものとなってしまったようです。国会答弁などでは、「企業の収益拡大が国民生活に反映するのがことのほか遅いようだ」などと言っているようです。しかし、企業が労働者を低賃金で酷使して収益を上げた結果が「景気回復」の指標になっている限り、そのような「反映」は半永久的に実現しないように思えます。
 既に、自民党政府も財界も、かつての「景気と生活が連動する」という体制を捨てているわけです。にもかかわらず、その「過去の常識」を信じて、「自民党政府が景気回復のため」と言っているから、今は苦しいけれど、じきに良くなるはずだ、などと考えるのは向こうにとっては都合がいいでしょうが、耐える側にとっては意味があるのかははなはだ疑問です。
 なお、最近では「財政再建」を理由に、社会保障を減らし、税金を増やす方向で自民党政府は進めています。しかし、この「景気」についての考え方から類推すると、「財政」についても、国民は収奪ばかりされて、「財政再建」の恩恵にはあずかれない、という結果が待っているのでは、と思えてきます。

2004年10月05日

「景気回復」と生活

 ここ1年くらい、「景気回復」という言葉が自民党政府やマスコミからよく聞かれるようになりました。当初は、これまで同様の「大本営発表」に違いない。実際、賃金や雇用情勢は悪いままではないか、と思っていました。
 しかし、あまりにも堂々と「景気回復」を繰り返されているうちに、微妙に考え方が変わりました。かつて使われてきた「好景気」「景気回復」と、現在の「景気回復」は、一般の国民にとってはかなり意味合いが違うものではないだろうか、と考えるようになったのです。
 そのあたりの考察を、長文集の景気と生活にまとめて見ました。ご一読いただければ幸いです。

2004年09月16日

「ニート」を作る政策

 経済労働白書に「ニート(Not in Education,Employment or Training)の略」という人の数が出ていました。なんでも「職探しも勉強も結婚もしていない若者」の数だそうです。当然、そのような無収入層が増えれば、消費などにも響き、経済にも悪影響をおよぼす、と「白書」では問題視しています。
 この定義を見ると、いかにも「やる気のない若者」という感じです。しかし、その実態はどう認識すべきでしょうかか。たとえば、就職したけれど、会社にこき使われて心身の調子を崩し、退職を余儀なくされて現在休養中、という人なども、上記の定義をみるとその「ニート」に入りそうです。
 さすがに、「フリーター」の増加が目立ちだした当初のように「若者の職業意識が・・・」などと、一方的に「若者が悪い」と決め付ける評価は減っています。元記事のように、「若者の厳しい雇用情勢を反映して」など、企業側の意識の問題にも触れるようにはなっています。しかし、有効求人倍率の全国平均が1を下回っているにも関わらず、「職探しができない」ではなく、「職探しをしない」という表現をしています。結局、「若者に問題がある」という観点が基本なのでしょう。
 もちろん、「若者の意識」という要因が全く無いとは思いません。とはいえ、それよりむしろ、実際、社員一人あたりの労働量を増やしたり、アルバイトや派遣の比率を増やすなどの企業(役所もそうみたいですが)の「リストラ」に代表される労働戦略が、このような「フリーター」「ニート」の増加を生んでいると思うのですが。
 企業はこれからも「人数を絞った正社員はこき使い、汎用的な作業は派遣やバイトなど、いつでも切り捨てられる労働力でまかなう」という雇用方策を続けそうですし、政府もそれを後押しし続けています。それが変わらない限り、このような問題は悪化する事はあっても、改善する事はないと思っています。

2004年08月10日

関西電力の記者発表

 福井県の美浜原発で蒸気漏れが発生し。9日時点で4人が死亡したそうです。
 私は、原子力発電の構造などは知らないので、この事故の起きた原因などは報道を読んでもよくわかりません。ただ、関西電力のサイトの記者発表を見た結果、どういう姿勢で原子力発電の安全管理を行っているかは良く分かりました。
 記者発表文の見出しは「美浜発電所3号機の原子炉自動停止について」となっています。なんか「事故があっても自動的に原子炉は止まる」と安全性を宣伝しているかのようです。自動停止機能の作動などに関係なく、4人もの命が失われたわけです。しかも、その死亡事故の部分の発表の仕方は、被災者11名のうち、8名については、救急車にて敦賀市民病院に搬送しました。(4名は死亡、1名は県立福井病院へへリコプターにて転送(同病院で治療中)、1名は国立福井大学医学部付属病院へ救急車にて転送、2名は同病院にて治療中)、他の3名については国立福井病院に搬送しました。というもの。「どの病院に搬送したか」の一部分として取り扱っています。
 これだけの事故が起こしながら、いかに「4人死んだ事を目立たせずに発表するか」かを意識した姑息な表現だらけ。「体面>人命」という姿勢が明らかです。
 原子力発電所での従業員に対する姿勢がこうですから、周辺住民の人命に対する姿勢も推して知るべしなのでしょうね。

 なお、関西電力のサイトでは、原子力発電宣伝の一環として、原子力発電所の安全運転~それを守る運転員の声~というページがあります。確かに労働者は真面目に働いているのでしょう。しかし、その労働に対する評価が「自動停止>11人被災>4人死亡」ではたまったものではありません。
 また、今回の事故により、「このような作業員の姿をいくら紹介しても、原子力発電所の信頼性とは何ら関係ない」という事もよくわかりました。

2004年07月08日

「虚偽報告」が発生する理由

 JR西日本近鉄で、相次いで安全関係の定期検査の虚偽報告が判明したそうです。
 理由として近鉄社員の一人は「ほかの仕事で忙しく、検査が遅れたのを上司に知られたくなかった」などと話しているとの事です。これは、担当者の責任というより、一人の社員に無茶な量の仕事を割り振った経営レベルの責任と言えるのではないでしょうか。
 ところが、会社側はあたかも「不良社員がいた」みたいな扱いにし、その社員を「処分」するそうです。その結果、会社は「処分」という名目で減俸でもすればかえって「経費削減」になって得をしてしまいます。
 一方、JR西日本は「対策」として、「手書き報告書をコンピュータ化する事で負担軽減をはかる」と発表しています。使い慣れた人にとっては楽になるかもしれないでしょうが、逆に操作方法を覚えるのに一苦労、という人もいるでしょう。そういう人は結局負担が増えるわけです。
 儲けのために、社員を酷使し、そのツケは乗客の安全にかかわってくる、という鉄道会社だけが得をする仕組みが出来上がっているわけです。この仕組みがある限り、社員の苦労も減らないし、我々が鉄道で事故にあう危険性も上がりつづけることでしょう。

2004年06月10日

欠陥隠し

 今から十数年前、通産省(現産業経済省)のキャリア官僚が、地方の大都市でそこに拠点を置く三菱系大手企業の幹部たちと会合を持った。(中略)通産官僚はある一人の幹部に物陰に引きずり込まれて、ひそひそ話しでこう言われた。「三菱自動車の車を買ってはいけません(以下略)」と。さすがにこの官僚も驚いた。
という記事を、1969年に日経に入社して長年記者を勤めたあと、関連会社で雑誌の編集長などを歴任した人が書いていました。
 記事のほうは「いかに三菱自動車の品質が悪いか」が主旨のようです。しかし、あれだけ不具合と隠蔽がさんざん報道されているなか、このような「死者にムチ打つ」ような記事を今さら見ても、「三菱自動車の製品の質」という点では、役立つ情報はありませんでした。

 ただ、その本題以外の点では、いろいろと興味深い事実が読み取れました。この記事によると、すでに10数年前に、三菱自動車の品質の悪さは、グループ内企業を通して通産省(当時)にまで伝わっていたわけです。そこまで名をはせていながら、何の対策も取られませんでした。
 こうなると、これまで不良品が表に出なかったのは、三菱自動車の「隠蔽工作」が巧妙だったと言うよりは、監督官庁が見て見ぬふりをしていただけだった、と考えざるをえません。もちろん、いくら大グループとはいえ、品質の悪さを知りながら、「オフレコ」の席でしかそれについて明かさないというグループ企業の幹部にも問題はあります。
 当然、そのあたりの、なあなあの関係を築くためには、記事の冒頭にあるような「官僚と幹部の会合」も重要な役割をしたのでしょう。
 結局、この欠陥自動車問題は、一企業の技術力ならびに倫理感の欠如だけで起きた問題ではない、という事です。財・官が一体化して、「都合の悪い事は無かった事にする」という体制をとりつづけた結果生じた問題と言えるのではないでしょうか。

 ところで、このような古い裏話を聞かされるほどですから、この記者氏と官僚氏の付き合いは、長さといい深さといいかなりのものなのでしょう。にもかかわらず、この10年以上前から内部では有名だった三菱自動車の品質の評価の低さは、この期に及ぶまで記事にはなりませんでした。
 このことは、官(もしくは財)とマスコミの関係がいくら緊密になっていても、一般の国民にとっては有益な報道はなされない、という事を意味しているように思えました。