日本共産党が目指す共産主義社会について

 今回の選挙は、多くの無党派の方、他党支持の方が、日本共産党への投票を勧めて下さっています。本当にありがたい限りです。
 その中で、「この選挙で日本共産党に投票しても日本が共産主義になるわけはない。だから安心して投票してほしい」という呼びかけがありました。
 それを書いている方は、日本共産党を応援しつつも、我々が目指している共産主義が、旧ソ連や中国などが標榜していた「共産主義」と同類である誤解していると思われます。
 しかしながら、日本共産党が目指している共産主義は、旧ソ連や中国などの体制とは全く違うものです。

 日本共産党の目指す共産主義がどのようなものであるかについては、日本共産党綱領に書いてあります。
 綱領とは日本共産党がどのような政党か、今の社会をどう考えているのか、そしてどのような社会を目指しているかを明記した文章です。
 その第5章では「社会主義・共産主義の社会をめざして」という題名で、具体的に、日本共産党が目指す共産主義について書いています。
(※日本共産党綱領では、目指すべき未来社会を「社会主義・共産主義」もしくは「社会主義」という言葉を使っていますが、本稿では便宜上「共産主義」と表現します。意味に違いはありません。)

 日本共産党の目指す未来社会には大前提が二つあります。一つは、「私有財産の保証」です。
 綱領には、「社会主義的変革の中心は、主要な生産手段の所有・管理・運営を社会の手に移す生産手段の社会化である。社会化の対象となるのは生産手段だけで、生活手段については、この社会の発展のあらゆる段階を通じて、私有財産が保障される。」(強調は筆者・以下同じ)と書かれています。
 「生産手段の社会化」の詳しい説明は省略しますが、「社会化≠国有化」である事だけは強調させていただきたいと思います。
 いずれにせよ、共産主義になったからといって、個人の財産が没収されることは100%ありません。
 ちなみに、昔から、「共産党が政権を取ると私有財産が没収される」などという宣伝が行われていました。しかしながら、現在の自公政権において、貯蓄なし(=私有財産のない)世帯が30%以上にまで増え続けています。私有財産を奪う政治を行っているのはどの政党なのか、と言わざるを得ません。

 もう一つの大前提は、複数政党の存在です。
 綱領には「さまざまな思想・信条の自由、反対政党を含む政治活動の自由は厳格に保障される。「社会主義」の名のもとに、特定の政党に「指導」政党としての特権を与えたり、特定の世界観を「国定の哲学」と意義づけたりすることは、日本における社会主義の道とは無縁であり、きびしくしりぞけられる。」と書かれています。
 つまり、将来、日本が共産主義国家になっても、どの政党も、政党活動を続ける権利は厳格に保証されるわけです。
 もちろん、現政権にとって気に入らない政党だからといって、公安警察に不当な監視をさせる、などという事も一切行われません。

 この二つを大前提としたものが、日本共産党の目指す共産主義社会です。
 今の資本主義社会との最大の違いは、「搾取の自由」が制限される事です。
 つまり、少なからぬ企業が行っている、長時間・低賃金で働く人をこき使って大儲けするような事はできなくなります。
 したがって、「ブラック経営者」をはじめとする、働く人をこき使って利益を挙げている人や会社、そして、そのような会社を支える団体、さらにはそのような会社に投資して大儲けしている人たちは、共産主義になると困ります。だからこそ、徹底的に、日本共産党を攻撃するのです。
 逆に言えば、それ以外の普通に生活している人たちは、共産主義になったところで何ら困ることはありません。
 共産主義になった結果実現することとして、綱領には「社会から貧困をなくすとともに、労働時間の抜本的な短縮を可能にし、社会のすべての構成員の人間的発達を保障する土台をつくりだす。」と書かれています。

 ただ、この共産主義への移行は一足飛びにできるものではありません。社会というのは生きて動いています。それをいきなり停止して、明日から大きく異るルールで社会を動かす、というのは不可能です。
 そのため、日本共産党は、まずは資本主義の枠内での民主主義革命を行う事を目標としています。
 綱領には「現在、日本社会が必要としている変革は、社会主義革命ではなく、異常な対米従属と大企業・財界の横暴な支配の打破――日本の真の独立の確保と政治・経済・社会の民主主義的な改革の実現を内容とする民主主義革命である。」と書かれています。
 革命と言っても、もちろん、武力によるものではありません。選挙を通じて、議会で多数派となり、また他の政党・市民の方々と協力して、現在の日本政治における重要な問題である「軍事・経済でアメリカいいなりになっている事および、大企業・財界のの利益を最優先して行われる政治」を改める事などを「民主主義革命」と呼んでいるわけです。
 そうやって、まず今の資本主義社会での問題を一つ一つ解決・改善していきます。そうやって少しずつ、かつ着実に社会の仕組みを変えていきます。
 その改善がある段階に到達した時点で、社会主義的変革が行われます。その時、日本は共産主義社会になるわけです。
 その時点で既に、資本主義社会での十分な変革が行われているわけです。したがって、ほとんどの人にとって、共産主義への変化は自然に受け入れられると思います。

 このような社会体制が、日本共産党の目指している共産主義です。
 なお、ここでは短く述べましたが、この民主主義革命→社会主義的変革→共産主義の実現、に至るまでは、極めて長い時間がかかると思われます。
 自分はあと40~50年くらい生き、その間、日本共産党員としての活動を続ける予定ですが、その間にどこまで進むだろうか、と正直思っています。
 とはいえ、共産主義(=搾取の自由が制限される世の中)という大きな目標があるからこそ、今の活動を続けているわけです。
 そのためにも、今行われている選挙で小選挙区では自分の当選を、そして比例代表では、一人でも多くの方に「日本共産党」と書いていただき、躍進できるよう、頑張っています。