卒業証書も金次第

 色々なところで格差拡大に関する話を聞きます。
 今日聞いたのは、学校の「施設設備費」が払えなくて卒業証書をもらえなかった生徒さんの話でした。
 千葉県では、収入の少ない家庭の場合、学費の減免制度はあります。
 しかしながら、学費と別に払わねばなず、かつ金額的にかなりの負担になる「施設設備費」の減免制度はありません。
 したがって、貧しい家に生まれた生徒さんは、「施設設備費」が未納になってしまいます。
 すると、学校は、その生徒の卒業を認めません。
 周りとの兼ね合いもあり、卒業式から排除はしない、程度の配慮はするようです。
 ただ、卒業証書は本物ではなく、レプリカを渡したり、一度渡した証書を返させたりします。そして、「設備費を払ったら卒業証書を渡す」と伝達するのです。

 そんな残酷な事をするくらいなら、施設設備費も、学費同様減免すればいいと思う人も多いのではないでしょうか。しかしながら、我が千葉県はそれをやりません。
 ちなみに、減免にかかる費用は11億円とのことです。
 一見、高そうに見えます。しかしながら千葉県は、高速道路新設に平均で年間100億円の予算を計上しています。
 県知事はよほど高速道路がお好きなようで、県の公式サイトのトップは、いつ見ても高速道路建設情報へのリンクになってます。
 一県民として言わせてもらうと、別に、千葉の道が不足しているわけではありません。
 そんな金の一割くらい、貧しい家庭に生まれた生徒に卒業証書を渡すために使ってもバチはあたらないと思うのですが…。
 現在の千葉県知事である森田健作氏は、かつて「青春」という言葉を売りにした芸能人でした。
 しかしながら、自分が知事をやっている県で青春時代を過ごしている人たちには、非常に冷淡な政治をやっているわけです。
 自分は車を持っていませんし、子供もいません。したがって、どちらも直接は自分に関係ない話です。
 そういう立場で言わせてもらうと、どうせ予算を使うなら、山を切り開いて作られた高速道路ではなく、卒業証書をもらえて喜ぶ生徒の顔を見たいものです。

 それにしてもこのような話は、自分が学校に通っていた頃には聞いたことがありませんでした。それだけ格差が拡がっている、という現実があるわけです。
 ピケティ教授が話題になってから、日本の商業マスコミは「日本は欧米に比べて格差が少ない」と盛んに宣伝しています。
 しかし、このような話を聞くと、彼らはこのような現実を知らないのか、知っていてもあえて報道しないかのいずれなのでは、と思わざるを得ません。

 参考資料・小松実前千葉県議サイト2013年1月31日県議会代表質問・三番目の項目「子どもの貧困」