2012年04月19日

生活保護受給者攻撃の構図(現代における分断支配・その3)

 マスコミと保守政治業者が、事あるごとに生活保護受給者を批判しています。彼らの宣伝で作られた「生活保護者像」は、「生活保護を不正受給している人は多い。そして、受給者たちは何も働かないで最低賃金より高い生活保護費を貰い、しかもその金でパチンコに行っている人」になります。
 そして、そのような連中のせいで、毎年生活保護受給者並びに生活保護費が増えて財政を圧迫していると煽ります。
 その影響を受けた労働者・自営業者など苦労して働いている人は、生活保護受給者に対し、敵意をもやします。そして、生活保護費削減や生活保護受給者への就労支援強制などを主張するマスコミや政治業者の主張に賛同するわけです。

 これらの宣伝に使われている情報は、それぞれの一面だけを見れば「事実」なのでしょう。しかしそれらの「事実」が持つ原因並びに、その恣意的な組み合わせ方により、全体としては現実と大きく異なってしまっています。
 まず最初の「不正受給者」ですが、これは生活保護受給者攻撃キャンペーンの「入口」とも言える存在です。今でも、不正受給事件があると、マスコミは大事件であるかのように報じます。
 そして、それに「増大する生活保護費」をからめ、あたかも生活保護受給者全般の問題であるかのようなミスリードを促す記事を作ります。
 しかし、実のところ不正受給者の問題と、生活保護制度の問題は、関係ありません。不正受給者がいるから制度を見なおせ、という考えは、本屋で万引きが多発しているから、本屋に来る人の身体検査を強化しろ、などと言っているのと同じです。
 ちなみに、一昨年のデータによると、不正受給に支払われた費用は、保護費全体の0.4%との事でした。しかしながら、生活保護報道全体から見た不正受給報道の比率は、それを大きく超えています。

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2012年04月16日

北朝鮮人工衛星打ち上げ騒動から分かったこと

 ここ一ヶ月ほど、ほとんど毎日、マスコミは「北朝鮮が打ち上げる人工衛星」の事を逐一報じていました。
 相手は国交がなく、直接情報を取材できる状況にはないはずです。しかしながら、非常に詳しく発射に関する情報並びに、それによって沖縄に被害が及ぶ可能性について、事細かに報じ続けていました。
 もっとも、結果は、各社の「詳細な分析」からは予想だにしなかった「打ち上げ失敗」でした。というわけで、結局、大騒ぎしたにも関わらず、実際のところ、日本にとっては全くもってどうでもいい事でしかありませんでした。

 しかしながら、今回の騒動のおかげで、色々と興味深いことが分かりました。
 まずは、「沖縄の安全保障」についてです。日頃、沖縄の米軍基地が問題になると、マスコミは「日本の安全保障の問題だ。普天間固定化か辺野古移転しか選択肢はない」などと報道します。
 この論法が正しければ、沖縄にある米軍基地は、1,600km離れた東京をはじめ、日本列島全てを守ってくれているはずです。ならば、実際に基地がある沖縄にに、衛星の破片などで被害が及ぶ事など、心配する必要など何もなかったはずです。
 しかしながら、マスコミは毎日のように沖縄の危機を煽り、不安に思っている住民の声などを報じていました。おかげで沖縄旅行のキャンセルが発生し、地元の観光産業に、本来の意味での風評被害が発生したほどでした。
 もともと日本に駐留する米軍の半数以上は、「上陸作戦、即応展開などを担当する外征専門部隊」であるところの海兵隊です。したがって、日本を守るためにいるわけではありません。したがって、沖縄のみならず、日本を守るのに何ら役に立たないのは当然の事です。
 これまで、そのような事を報じなかったマスコミが、この「北朝鮮危機」において、間接的ではありますが、ついにその現実を認めた、というのは興味深いことでした。

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2012年03月29日

妄想を前提とした労働法改悪論

 ダイヤモンド・オンラインというサイトに、会社側の労務専門の弁護士による労働者のニーズにもあわなくなった労働法なる文章が掲載されていました。
 話の概要をまとめると、「労働法は労働者を『弱者』として規定しているが、それは女工哀史時代の遺物で、現在はそのような事はない。だから労働法を変え、過剰な保護規定を減らすべきだ。それが労働者のためにもなる」となります。したがって、かつて財界が提言して大反発を受けた「ホワイトカラー・エグゼンプション」など肯定的に論じています。
 このような題名の文章を書く以上、まずは「労働者のニーズ」の現状を説明して、論を進めるというのが当然の事です。実際、この文章も、さわりにそれを書いています。ところがそれは、たとえば漫画家のアシスタントとして働く人のなかには、「憧れの先生のもとで働けるなら時給100円でもかまわない。ただ働きでもいいくらいだ」と考える人もいるでしょう。というものでした。
 冒頭に出てくるわけですから、本論の重要な前提になるはずです。しかしながら、よく読んでみると、最後に「考える人もいるでしょう」などと書いています。

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2012年03月15日

なぜ「公務員は多すぎる」のか

 様々な所で「公務員は多すぎる。人員も賃金ももっと減らせ」という論調が流れています。新聞やテレビなどの商業マスコミは自社の主張としてそれを流し、同時にそのような主張をする政財界人の発言を報じ続けています。
 最近になって特に目立ちますが、このような主張は30年以上前から続けられてきました。それらの報道を見続けていると、公務員というものはよほど人が余っているのだろう、と思ってしまうでしょう。
 ところが不思議な事に、筆者の身近にいる公務員は皆忙しく働いています。日曜出勤はザラとか、多忙期には連日終電を逃すという国家公務員もいました。また、所定の夏休みなど消化できず、正月も二日から出勤、という地方公務員もいました。
 ちなみに、筆者の住む県において職員の有給取得率は10.4日で取得率は26.7%というデータがあります。本当に公務員は無駄が多くて過剰なら、有給取得率は100%になるはずです。
 さらに、報道される事はまずありませんが、公務員の過労死や過重労働問題も発生しています。

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2012年02月09日

日経コラムが「ネット絶ち」を勧める理由

 2月7日の日経朝刊一面コラム「春秋」にアメリカのある元新聞記者の家庭で、週末にネット閲覧をやめたら、家族水入らずの時間が戻り、本に向かいじっくりと物事を考える習慣が戻る。アメリカではそのような「ネット安息日」を設ける人が多いなどという事が書かれていました。
 他にも色々と書いていますが、一言でまとめると「ネットから離れる日を設けるべきだ」という主張になります。。
 しかしながら、なぜネットは駄目で、他の媒体から情報を得るのがいいのかは何度読んでも分かりません。紹介した例ではテレビは絶たなかったそうです。しかしながら、家族水入らずを実現するには、テレビもないほうがいいに決まっています。
 だいたい、ネットが団欒や読書の邪魔になるのなら、一日の一定時間を「ネット禁止」にすればいいだけの話です。丸一日以上も遮断する必要などありません。

 こうやって考えてみると、このコラムは、論理的な理由もなく、「ただとにかくインターネットから情報を得る時間を減らしたほうがいい」と主張しているわけです。
 自社でも記事のネット有料配信を事業化しているわけです。にも関わらず、なぜこのような主張をするのでしょうか。
 そのヒントになりそうな記事が、同じ日に掲載された「大機小機」というコラムにありました。
 そこでは、相も変わらず消費税率上げキャンペーンが書かれています。その材料として、フランスではサルコジ大統領が、今年の10月から付加価値税(日本の消費税に相当)を19.6%を21.2%に引き上げを表明した。とし、さらにイタリア・イギリスでも付加価値税を上げる、という情報を紹介しています。
 もちろん、そこから導き出される「結論」は、「だから日本も大幅に消費税を増税すべきだ」というものです。
 実は、この主張には大きな嘘が隠されています。それは、「付加価値税(日本の消費税に相当)」という部分です。

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2012年02月03日

大阪ペットボトル水に見る「正確かつ公正な報道」

 大阪市が水道水を「ほんまや」というブランドでペットボトルに詰めて販売していたそうです。それを、橋下市長が廃止をする、と発言しました。
 Googleニュースで検索すると、その発言を、朝毎読の大新聞および産経新聞・テレビ朝日・日刊スポーツがサイトに掲載しています
 そして、その際に橋下市長が言った「税金でそんな商売をやる必要は全くない。民業圧迫だ」・ほんまやのPRには平松邦夫前市長の「政治的な意図が強い事業だった」とも言及、と特に論評・検証をせずに、発言をそのまま掲載しています。
 新聞・テレビが報じることが正しいと思っている人がこれを読めば、「前市長が個人宣伝のために行なっていた、税金を無駄にする事業を英断で終了させた」と思い、現市長の「改革」を高く評価したことでしょう。

 しかし、それから数日後、橋下市長は記者会見で、「事実誤認があった」と釈明した。という報道がありました。
 それによると、「ほんまや」には税金は使われておらず、事業が始まったのも前市長が就任するより前だった、という事が判明した、とのことでした。
 ところが、これを書いている時点で、それをサイトに載せているのは日刊スポーツのみです。
 という事は、朝毎読など一般紙の読者や、テレビ朝日でそのニュースを見た人は、その「ほんまや」は前市長のPRのために税金を無駄にして行った、という誤った情報を現時点でも信じ続けている可能性が高いわけです。

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2012年01月26日

NHKニュースの経済感覚

 NHK NEWS WEBというサイトにどうなる・貿易立国・日本という記事が載っていました。サイトの説明を見ると、NHKのニュース番組で流されたものをWEBページにまとめたもののようです。
 読んでみたのですが、冒頭からいきなり度肝を抜かれました。なんと、日本が31年ぶりの貿易赤字となりました。 戦後、経済成長を続けてきた「貿易立国・日本」は、これからどうなるのか。という言葉で始まっているのです。
 確かに、戦後に日本が経済成長を続けていた時期はありました。しかし、そのようなものは20年以上前に終わっています。その後、バブル崩壊から「失われた20年」を経て現在に至っているわけです。

 さらに、追い打ちをかけるように、日本の貿易黒字は高度経済成長などと重なります。黒字が始まった1981年(昭和56年)輸出の主役は自動車や電機製品などの組み立て産業でした。などとなんか2010年まで高度経済成長が続いていたかのように報じています。
 一方で、その数行後には、バブル崩壊による国内景気の低迷、アジア通貨危機、ITバブルの崩壊、資源価格の高騰、中国など新興国の台頭、そして、リーマンショックによる世界的な景気悪化など何度も危機が襲いましたが、貿易黒字を続けてきました。と書かれています。
 ここで挙げたマイナス要因は、「高度経済成長など」とは似ても似つかないものです。つまり、ちょっと前で述べた「日本の貿易黒字は高度経済成長などと重なります。」と整合性がまったく取れていません。

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