千葉市役所建て替え問題

 現市政は、市役所建て替えを進めようとしています。理由には、防災対策・バリアフリー化などが挙げられています。
 防災のための対策が必要であることに異論はありません。
 しかし、それを、まだまだ使える市役所の建て替えを、今から行う事には強く反対します。
 同時に、市役所の耐震補強をまともに行わずにここまで来た今の市政は問題だと言わざるをえません。
 市の考えは「どうせ建て替えるから耐震補強の必要ない」です。しかしながら、市役所建て替えが終わるまで地震が待ってくれる、などという事はありません。
 まずは一刻も早い耐震補強をすべきです。

 市は、「建て替えが最善」という資料を作っています。自分もかなり厚い紙の束を読みました。しかし、いずれも、「建て替えが最善」という結論から作っている、と思わざるをえませんでした。
 何でも、55年スパンで見ると、建て替えが一番安く上がるそうです。
 なぜ、55年という中途半端なスパンなのか、非常に気になります。
 100年スパンだったらどうなるのでしょうか。
 当たり前の事ですが、建て替えを早めれば、次の建て替えも早くなります。その分、次の出費も早まります。

 単純化した例え話で説明します。
 仮に2020年に298億円かけて寿命60年の市役所に建て替えれば、2080年にまた同じだけの税金を使って建て替える事になります。
 一方、50億円かけて耐震補強を行って寿命を20年延ばし、2040年に298億円かけて寿命60年の市役所に建て替えれば、2080年の建て替えの出費は20年先送りできます。
 しかし、これを今から2072年までの55年間だけで見れば、「建て替えれば298億円で済むが、耐震補強すれば50億円使った上に、結局2040年に建て替えるので合計348億円かかる。だからすぐに建て替えしたほうが安上がりだ」などという主張ができてしまいます。しかし、これに説得力はありません。2080年の建て替え費用を無視しているからです。

 もちろん、今の千葉市役所は「手遅れ」状態で、耐震補強しても効果がない、という調査結果でもあれば、「建て替えもやむなし」という結論になるでしょう。
 しかし、そのような資料は見当たりませんでした。ちなみに、千葉市から今の市役所の耐震強度についての資料が日本共産党市議団に提出されていましたが、それは1987年作成のものでした。それ以降に作成されたものはないとの話でした。
 だいたい、298億円もの財源はどうするのでしょうか。何しろ、現市政は4年合計70億円で可能な、小中学校普通教室エアコン設置に対し、財源がないと反対しているのです。
 さらに言えば、この金額で収まるかも疑問です。お隣の習志野市では市役所建て替えが行われているのですが、事業費が当初予定額から約34億円増の109億9800万円となりました。また、五輪開催に伴う、資材・人件費の高騰も心配です。
 やはり、建て替えありきではなく、耐震補強を行う方法をきちんと調査する必要があると思います。

 結論を書きます。298億円をかけて、今から建て替えを進める事は、断固反対です。
 一度この計画は凍結し、耐震補強で現市庁舎を維持する方向に切り替えるべきです。