千葉市の国民健康保険問題

 国民健康保険料は現市政の8年間で一人あたり年額16,500円も引き上げられました。
 月あたり約1,300円です。正社員などをやっていればたいした金額に見えないかもしれません。
 しかし、所得が増えないにも関わらずそれだけ引き上げられるのです。その負担増はかなりのものがあります。
 先日、ある高齢者の方と話したら、年額の国民健康保険料が年金1ヶ月分とほぼ同じ、という話を聞きました。
 自分も自営業者だったとき、劇的に所得が増えたわけでもないのに、二人暮らしで月額6,000円以上引き上げられ、かなり驚いた事がありました。

 しかも、千葉市は滞納世帯に対する扱いが、極めて冷たいものになっています。
 千葉市では、保険料を滞納して保険証を取り上げられ、資格証を発行された世帯数は1,405世帯にのぼります。滞納世帯数の4.1%にものぼります。
 資格証になると、窓口でいったん10割負担となります。これまで、1,500円だった窓口負担が5,000円になるわけです。あとで、差額の返金はありますが、ただでさえ保険料を滞納するほど生活に苦しんでいる方にとって、この出費は極めて厳しいものです。
 一方、市川市では資格証発行の比率は0.3%、酒々井町は0%です。千葉市の厳しさが際立っています。(参考・寺尾さとし県議ブログ
国民健康保険滞納者に対する資格証発行件数

 ここまで読んで、「払わないほうがおかしいのでは?普通、みんな払っているのに」と思う方もいらっしゃると思います。
 しかし、国保料滞納というのは、よほどお金がないと起きません。
 自分も冒頭に書いたように、保険料が大幅に上がって驚いた事がありました。一瞬、「夫婦とも持病はないし、払わないほうが得になるのでは?」という考えが頭をよぎりました。しかし、数秒後に「万が一の急病や怪我があったら…」とその考えを捨てました。必然的に「出費を減らす」という方法で対処したものでした。
 リスクを考えれば当然の事です。ではなぜ起きるのでしょうか。
 保険料の算定は、前年度の所得が基準になります。実際にあった例ですが、自営業者が急病で営業を休まざるを得なくなり、所得が激減しました。しかし、保険料は前年度の所得が基準になります。ただでさえ高い保険料ですから、払えなくなるのも無理はありません。
 このような生活事情も考えず、機械的に滞納者の保険証を取り上げる事が適切とは思えません。
 しかも、資格証を発行されて役所の窓口に相談に行くと、「支払い計画書を作りなさい」などと、払えない事情を考慮しない対応が行われます。財産差し押さえ、という事例もあります。
 それを恐れて窓口10割負担を続ける道を選べば、必然的に診療抑制とならざるをえません。その結果、どうしても我慢できなくなり、病院に運び込まれた時はもう手遅れだった、という事になりかねません。
 市民の命と暮らしよりも、保険料収入を優先する、というのが今の市政なのです。

 したがって、自分はまずは一世帯一万円の引き下げを公約としています。
 これに対する財源は年間15億円です。一方、京葉線幕張新駅を作る事になれば総額180億円、うち千葉市の負担はどんなに安く見積もっても45億円です。
 税金の使い方を変えれば、十分できる引き下げです。
 さらに、国への働きかけなどで、さらなる引き下げも可能です。全国知事会は、国の負担を増やして1人3万円の軽減を求めています。自分も、そのような働きかけを行っていきます。
 財政を良くする事は重要です。しかし、それよりも市民の命と暮らしを守ることが優先されます。市民の生活を悪化させての「財政再建」に価値はあるのでしょうか。その事を強く主張します。