月別アーカイブ: 2004年7月

軍事力によって侵略は防げる?

 憲法9条擁護や自衛隊削減を主張すると、反論として「では日本が攻めて来られたらどうする?」と言われる事があります。これはつまるところ、「軍備がない(弱い)と、他国の侵略を防げない」という主張のようです。
 しかし、これは本当なのでしょうか。これだと、「他国の侵略を防げるのは軍備がある(強い)からだ」となります。しかし、昨年からのイラクを見ればそんな事はないのは明らかです。かつてのイラク同様にアメリカが「ならず者国家」などと名づけて敵視している国は他にもあります。それらの国がイラクのようになっていないのは、イラクより軍事力が充実しているからではないでしょう。
 さらに言うと、地上最強の軍隊を要するアメリカは、3年前に国家の中心地を攻撃されました。もちろん、これは「侵略を受けた」とは違います。しかし、「国外の勢力に攻めて来られて多くの死者を出した」わけです。この惨事においてアメリカの軍事力は抑止力として役に立ちませんでした。むしろ、テロを起こされる原因だったくらいです。
 このように、ここ数年の例だけ見ても、「軍備がない(弱い)と、他国の侵略を防げない」というのが本当なのか、非常に疑問です。ついでに言うと、日本が一番強烈な「他国の侵略」を受けたのは、非武装どころか、東アジアから赤道近くまでを侵略し、ハワイを攻撃できるほどの軍事力を持っていた時期でした。

「虚偽報告」が発生する理由

 JR西日本近鉄で、相次いで安全関係の定期検査の虚偽報告が判明したそうです。
 理由として近鉄社員の一人は「ほかの仕事で忙しく、検査が遅れたのを上司に知られたくなかった」などと話しているとの事です。これは、担当者の責任というより、一人の社員に無茶な量の仕事を割り振った経営レベルの責任と言えるのではないでしょうか。
 ところが、会社側はあたかも「不良社員がいた」みたいな扱いにし、その社員を「処分」するそうです。その結果、会社は「処分」という名目で減俸でもすればかえって「経費削減」になって得をしてしまいます。
 一方、JR西日本は「対策」として、「手書き報告書をコンピュータ化する事で負担軽減をはかる」と発表しています。使い慣れた人にとっては楽になるかもしれないでしょうが、逆に操作方法を覚えるのに一苦労、という人もいるでしょう。そういう人は結局負担が増えるわけです。
 儲けのために、社員を酷使し、そのツケは乗客の安全にかかわってくる、という鉄道会社だけが得をする仕組みが出来上がっているわけです。この仕組みがある限り、社員の苦労も減らないし、我々が鉄道で事故にあう危険性も上がりつづけることでしょう。

財政的裏付けのある政策

 かつて、自民党が「福祉削減・負担増」を主張し、反対する野党に対して「財政的裏付けはどうなんだ、現実性がない」と批判する、という政治の対立構図がありました。
 しかし、その自民党政府が政治を続けた結果、日本はとんでもない借金大国に成り果てました。そう考えてみると、あの「財政的裏付け」だの「現実性」などと言った「反論」は、自分達でも出来ない事をタテに相手を攻撃していた事になります。そして、その借金で調達した金は、国民の福祉とは関係ない所で浪費されました。その結果、福祉を削減されて負担は増えた上に、多額の国の借金を抱えて生活する破目に我々は陥っているわけです。
 本来なら、自民党政府の財政能力が露呈した今こそ、改めて「本当に財政的裏付けのある政策」が議論されてしかるべきです。ところが、「二大政党」になった結果、自民党と民主党はともに「福祉削減・国民負担増」の主張しかしません。
 「二大政党」のどちらに投票しても一般の国民にとってはロクな事がない状況なわけです。逆に言えば、福祉削減や負担増によっていい思いが出来る人たちにとっては、理想的な政治体制になったと言えるのでしょう。