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国際競争力を上げるために消費税増税

 自民税調が、法人税の減価償却制度を全面的に見直す。(中略)税負担を軽減し、企業の国際競争力を高める。とのことです。その一方で、この税調会長氏は、この発表の1ヶ月前に消費税率「10%程度に」という見解を表明しています。
 今年度は、多くの大企業が史上最高の利益を挙げています。特に自動車関係は顕著で、トヨタをはじめ絶好調なのに対し、アメリカのGMなどは業績低下に苦しんでいます。つまり、「国際競争」で圧勝しているわけです。にもかかわらず、「財政危機」の中で歳入を減らしてでも、国際競争力を強化しなければならないようです。
 そして、その減税分は消費税をまかなうわけです。ちなみに、当ブログで何度か書いていますが、1989年から導入された消費税による増収分とその間の法人税の減収分はほぼ同じとのことです。今回の自民税調が発表・発言した事は、それが自民党政府の方針によるものであり、今後もそれを一層進めていくつもりであることを、改めて明示したと言えるでしょう。

 それにしても、「国際競争力強化」とやらのために、我々がなぜ、これまで以上に税金を納めなければならないのでしょうか。現在では企業の国際競争力がいくら上がろうと、多くの人々にとっては関係のない話です。実際、企業が業績を挙げ、「史上最長の経済成長か」などと喧伝される一方で、生活保護世帯や、高校の授業料滞納世帯などが着実に増え続けています。
 高度成長期の頃は、「企業の成長=国民生活の向上」だったのかもしれません。しかし、そのような時代はとうに終わっています。それどころか、企業が成長し続けるために、一般市民の生活から搾り取るのが今の時代です。この事は、低金利下でサラ金と提携してまで好業績を挙げた大銀行の事の例からもよく分かります。
 とにかく、今回の自民税調の発表は「企業の競争力を上げるために、一般市民が生活費を削れ」と主張しているわけです。それに対して、こちらがおとなしく生活費を差し出し、貧しさに耐えながら企業の「国際競争」を応援する必然性など、どこにもないと思うのですが・・・。