愛知県の小学校の校長が、新聞社から配られる「写真ニュース」にある、イラクでの捕虜虐待の写真を「子供の心が傷つく恐れがある」と言ってはがしたそうです。
この談話だけだと、「捕虜虐待写真」が視覚的に「子供の心を傷つける」と認識して、写真をはがしたみたいに読めます。ならば、写真をはがした代わりに、自分で「今、イラクでは、多くの人が殺され続けています。また、捕まった人もアメリカ・イギリスによって、人間とは思えないようなひどい仕打ちを受けています」とでも文字で書いて張れば、子供の心を傷つける事なく、ニュースを伝える事ができます。
それはしていないとなると、この校長氏の主張は「イラクで捕虜虐待がある」という事実を伝える事が、「子供の心を傷つける」事なのでしょうか。となるとイラクでなければいいとか、現在行われている戦争でなければ「心を傷つけない」という事はありえませんから、このこの校長の「教育」方針のもとでは、第二次世界大戦をはじめ、あらゆる「戦争」「虐殺」「虐待」を教えられない事になります。
となると結局、この校長氏の主張は「アメリカが行い、日本が追従しているイラク戦争で、このような残虐行為が行われている事を知られると、子供の心が傷つく」と解釈せざるをえません。つまり、「傷つく心」というのは、人間としての感性とか精神を意味する「心」ではなく、「アメリカの属国民としての心」なのでしょう。
彼のような「心の教育」を真に受けて育てば、「アメリカが悪い事などするわけがない」という「属国民」が育つのでしょうね。戦前で言うところの「小国民」とか「臣民」の現代版というわけです。