月別アーカイブ: 2004年11月

暗殺者ごときにはイラクは支配させない?

 アメリカのラムズフェルド国防長官が、記者会見で「イラクの一部を暗殺者に支配させるわけにはいかない。この連中は人殺しだ。人の首を切り落とすようなやつらだ」と言ったそうです。
 なんでアメリカ人に「イラクの支配資格」を論じる権利があるか、という重大な疑問があるのですが、それはとりあえず置いておいてこの発言を分析してみます。どうやら、イラクを「支配させる事ができる」有資格者(?)は、「暗殺をしない」「人殺しをしない」「人の首を切り落としてはいけない」の三つを行わない集団のようです。
 言われて見れば確かに、この国防長官が指揮する軍隊は、「暗殺」などという小規模な事はせず、爆弾を振りまいて大量虐殺を行っています。「人の首」も同様です。爆弾の当たり具合によっては、首どころか何十人もの五体が吹っ飛ぶわけです。最後の「人殺し」に関しては理解不能です。しいて解釈すれば、彼らがイラク人の事を、かつての広島や長崎の市民同様、「人」として認識していない、という意味なのか、と思います。
 つまり、彼にとってイラクの支配に適しているのは、そのような殺害能力が比較的弱い「暗殺者」ではなく、大量殺戮のできる「虐殺者」だ、という事なのでしょうね。

今おきつつある虐殺

 ここ数日、テロリストの巣窟となったファルージャに対し、アメリカ軍が攻撃態勢を整えているという記事がよく見られます。
 前回でも書きましたが、攻撃する理由は同市に武装勢力約3000人がいると推計。多くのテロや外国人拉致の首謀者とされるヨルダン人、ザルカウィ容疑者も潜んでいるとみている。といった、「大量破壊兵器」と同様の不確定情報です。そんなもののために、連日ファルージャ市を空襲して多くの死者・負傷者を出し、それでも飽き足らず、総攻撃を仕掛けようとしているのです。ちなみに、攻撃の口実の一つとなっている「ザルカウィ容疑者」について、イラクではザルカウィはアメリカの犯罪行為を正当化する新たな口実です。この新しい人物は一年前に、でっち上げられました。と主張している人もいます。もちろん、アメリカも日本のほとんどの商業マスコミも、そのような主張は相手にしていません。

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屈しないテロと屈するテロ

 イラクで日本人が捕らわれ、「自衛隊を撤兵しなければ殺す」という犯行声明が出されました。対する小泉首相は即座に「自衛隊は撤兵しない」と宣言。その発言を受けて、日本人は殺されました。
 それに対して首相は自衛隊派遣が事件を招いたとの批判については「私はそうは思っていない。テロはイラク戦争前から、全世界で無差別に無辜(むこ)の市民を平気で殺害していた」と強調した。そうです。
 相も変わらず稚拙な「すりかえ発言」です。ここで問題になったのは、一般名詞としての「テロリスト」ではありません。具体的に日本人を襲撃して「自衛隊を撤兵しなければ殺す」と言った勢力の事です。そして仮に日本政府がフィリピンのように自衛隊を撤兵していれば捕らわれた日本人は解放された可能性は高かったでしょう。その事を問われているのに「過去にテロで殺された無辜な市民はいくらでもいた」などと言っているのですから、回答になっていません。
 このような発言を堂々とできる原因として、「とにかく『テロに屈しない』と言えばいい」という感覚があると思います。ところで、その小泉首相が敵視する「テロ」とは一体どんなものなのでしょうか。

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