117億円の文化施設とと3億3600万ドルの移転経費

 最近、週に一回くらい、「国立メディア芸術総合センター」を批判する報道を見ます。この施設を作る目的も、どのような物を作ろうかとしているのかもよく知りません。したがって、賛成でも反対でもないのですが、その批判を見ていると、非常に気になることがあります。
 これらの批判における最大の「標的」は、117億円もかけて、文化施設を作る、という「税金の浪費」にあります。
 もちろん、税金を無駄に使うのは良くない事です。ところが、同じく現在進行中である、3億3600万ドルの税金をかけて行なっている、「沖縄駐留米軍のグアム移転」については、そのような批判はほとんど出ません。費やされる税金の額は「芸術総合センター」の倍近くですから、本来なら、批判の数も倍あるべきです。
 しかし、批判どころか、「グアム移転に税金が3億3600万ドル使われる」という事が大きく問題視される事すらありません。

 しかも、これまで自民党政府や商業マスコミは、米兵による殺人や婦女暴行などで、在日米軍に対する批判が出るたびに、「それによって日本の安全が守られている事を忘れては困る」などと言ってきました。
 その論法からすると、今回、沖縄からグアムに米軍が移転する、というのは「日本の守りが弱くなる」という事になるわけです。
 そのような、「日本の安全を脅かす行為」に、多額の税金をかける行為はなんら話題にせず、その半額程度の税金で作られる文化施設についてばかり批判している様子は、正常とは思えません。
 毎度の事ですが、国民の不満明後日の方向にそらし、本質には目を向けさせない手法だけは長けているものだ、とは思いました。
 なお、相手の論法を援用しているため、あえてグアム移転を「日本の守りが弱くなる」とは書きました。もちろん、当ブログで以前から述べているように、在日米軍の存在目的が日本国民を守るためのものではありません。
 まあ、自民党政府もそれを分かっているからこそ、グアム移転に何ら難色を示さないどころか、多額の税金を平然と供出しているわけです。