千葉県幹部職員の不誠実極まる答弁

 2月24日に行われた寺尾さとし議員の千葉県議会代表質問をTVで見ていました。
 綿密な調査で県政の問題点を寺尾議員が質問します。
 それに対する県知事の答弁は、噂で聞いていた通りの原稿棒読みでした。この人、自分で何を言っているのか分かっているのだろうか、と思えるほど機械的な物言いでした。
 寺尾議員が千葉県政と密接に関わる国の態度の問題点をいくら指摘しても、「国のやっている事は正しいと認識」という趣旨の回答ばかりでした。このような答弁なら小学生でもできます。

 これ自体もかなり問題があります。そして、それに劣るとも勝らずひどかったのが、教育長などの県幹部職員の答弁でした。
 教育問題では、千葉県第2学区で、高校生の数が増えているにも関わらず、統廃合により、2004年に34あった県立高校が30に減らされた事について寺尾議員が質しました。
 学校が減ったにも関わらず、千葉県第2学区では高校生の数が増え続けました。その結果、県の設定した「適正規模」が1学年8学級であるにも関わらず、ある高校はここ数年間ずっと、1学年9学級です。
 その結果、教室が足りず、図書室にホワイトボードを持ち込んで授業をやっている学校があるとのことでした。さらに、電気の容量の関係で、教室増に対応したエアコン設置ができない学校もあるそうです。
 ちなみに、千葉県第2学区とは、市川市・船橋市・松戸市・習志野市・八千代市・浦安市です。都内への通勤も便利で、マンションの建造が盛んな地域です。筆者の家の近くにある習志野市津田沼駅前などでは超大規模マンション街が数年前に誕生しています。
 それを考慮すれば、子どもの数が増える事くらい、予想できたのではないでしょうか。
 しかしながら、教育長が、この「子どもの数が増えている学区で、学校の数を減らした」という施策についての質問から逃げ続けました。
 「適正学級」の定義について、なぜか三回も同じ言葉を繰り返していました。その一方で、寺尾議員の
 都市部での1学年6~8学級というのは県教委が自ら決めた「適正規模」だったのではありませんか。それにすら反するいまの異常な事態をつくり出した責任を、教育長はどう考えているのか。県民にどう説明するのか、お答えください。
 という質問に、最後まで回答しなかったのです。
 最後には、「今後、新たに高校に入る人が減少するというデータがある」というような事を言い、1学年9学級を正当化していました。
 そのようなデータは、現在、つめこみ学校で困っている高校生や教員には関係のない事だと思うのですが…。
 短い答弁でしたが、この教育長氏が、現場の事など何ら考えていない事が非常によく伝わってきました。

 もう一つ驚いたのが、「ブラックバイト」に関する質問への答弁でした。
 寺尾議員は、自らが直接「ブラックバイト」の被害を受けた人の話をして、その異常さを告発していました。
 さらに、東京や神奈川に比べると、いかに千葉県の労働問題相談体制が貧弱であるかを、具体的な数字を出して、指摘していました。
 労働問題の相談件数は、東京が約5万、神奈川が約1万2千なのに対し、千葉は約1千6百です。
 このような差がでるのは、相談体制の差だと、寺尾議員は指摘していました。
 東京は6箇所の相談センターに40人以上の相談員がおり、神奈川では4箇所の相談センターに47人の職員がいます。
 それに対し、千葉は1箇所しか相談センターがなく、相談員は嘱託の5人だけです。

 この現状をつきつけられても、担当の県幹部は、相談センターの拡大に関する前向きの答弁を一切しませんでした。
 そして、「対策」として答弁したのが、なんと「インターネット・スマホが普及している時勢を反映し、WEBで相談を受け付ける仕組みを整える」でした。
 いくら労働相談のWEBフォームを作った所で、それに対応する人材を増やさなければ何の役にも立ちません。ただ、WEBからの問い合わせが放置されるだけです。
 労働相談を行う目的は、「ブラックバイト」などの問題を解決する事です。しかし、この県幹部の答弁は、「相談受付さえできれば、対応も解決もしなくてかまわない」と言っているのも同じです。
 その不誠実な答弁に対し、寺尾議員は再質問で再び、この問題を質しました。しかしながら、県幹部の回答は、一度目と同じ「スマホの時代なのでWEBフォームを作って対処」でした。
 ここまで来ると、千葉県は「ブラック企業」「ブラックバイト」問題を解決する気が一切ないと言わざるをえないでしょう。

 県議会を見たのは初めてでした。
 以前、傍聴した千葉市議会での答弁もかなりひどかったのですが、県幹部の答弁は、それに輪をかけたひどさでした。
 何しろ、厳しい指摘に対して、見当違いの答弁ばかりするのです。そして、一番痛いところをつかれると、回答すらしないのです。
 昨年、県営住宅に住む母子に対し、県職員が家賃の減免制度を伝えずに強制退去させようとする、という事件がありました。その結果、母親が無理心中をはかり、娘さんは亡くなってしまいました。
 上司である幹部職員がこのように県民の苦しみに対して木に鼻をくくったような答弁をするのですから、その部下である職員がこのような冷酷な事をするのも、ある意味当然でしょう。
 このような県の体制を、一日も早く変えなければ、千葉県民の生活環境はよりいっそう劣悪になる、と思わされた、県幹部の「答弁」でした。
 そのためにも、寺尾議員のような、困っている県民の立場で質問する議員をもっと増やさねば、とも強く思いました。