サマワの情勢と派兵の関係

 自衛隊の派兵延長が閣議決定されました。その際に、「陸上自衛隊の派兵先であるサマワは安全なのかどうか」というニュースや論議がよく聞かれました。
 しかしながら、自衛隊が派兵されているのはサマワだけではありません。航空自衛隊はアメリカ兵ならびに軍需物資を輸送しつづけ、海上自衛隊もアメリカ補給艦及び駆逐艦に「物品の輸送」を何百回も行いました。これらが報道される事はあまりありません。しかし、こちらのほうが、陸上自衛隊よりもアメリカの軍事活動にとって重要な行為であると思えます。
 これらの「貢献」は当然ながら、サマワの情勢とはなんら関係なく行われています。したがって、サマワがどうなろうが、航空自衛隊や海上自衛隊の「貢献」が終了することはないでしょうし、万が一撤兵しようとしても、アメリカは難色を示すでしょう。

 こうやって考えてみると、小泉首相の「自衛隊のいる所が安全なところだ」発言も、サマワに五時間滞在して「安全を確認した」という防衛長官の言動も、別の意味で理解できます。サマワの治安状況についての論議をのらりくらりとかわしながら派兵を継続し、それ隠れて比較的目立たない形で航空自衛隊や海上自衛隊が「貢献」を継続する、という図式は自民党政府にとっては理想的な展開でしょう。
 今後も、サマワの治安=派兵の是非、みたいなニュースが流れるのに隠れて、どれだけ自衛隊が「アメリカ軍に貢献=イラクの人々の虐殺に協力」するのだろうか、と思うと陰鬱な気持ちになります。