カテゴリー別アーカイブ: 労働

「長時間労働は日本の文化」は本当か?

 電通の過労自殺事件以来、長時間労働問題が話題になっています。
 その中で、よく出てくる言葉に「長時間労働は日本の文化である」という言葉があります。
 しかし、これは本当なのでしょうか。

 たとえば、イギリスの例で考えてみます。
 イギリスで働いている人のブログなどを見ると、いずれも、定時で上がる風習について驚いています。
 17時が定時で、それから3分もすると、社内に誰もいなくなる、などという事例も紹介されていました。
 「長時間労働が日本の文化」なのでしたら、「定時労働はイギリスの文化」という事になります。
 しかし、これは事実ではありません。イギリスもかつては長時間労働が幅をきかせていた国でした。

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候補者として初の街頭演説

 今朝、幕張本郷駅で、30分ほど街頭演説を行いました。
 駅頭の演説は、民商役員や革新懇のメンバーとしては何度か行っていました。
 しかしながら、衆院候補者という立場としては初めてとなります。
 これまでと違い、何を主題にするかを自分で決めねばなりません。そのため、二日前から、原稿を打ちつつ、色々考えていました。
 その結果、通勤・通学する人が多い事と、自分が長年調べてきていた分野であるという事もあり、「働き方チェンジ」を軸とし、それに学費・奨学金問題を加えることにしました。
 演説の内容は、以下のとおりです。

 幕張本郷駅をご利用の方、おはようございます。私は、日本共産党千葉1区小選挙区予定候補の大野隆と申します。美浜区にお住まいの方にお世話になります。また、花見川区・習志野市にお住まいの方には、千葉2区予定候補の上野ひろつぐがお世話になります。よろしくお願いいたします。
 さて、今世紀に入ってから、日本の働く環境は大幅に悪化しました。特に、「アベノミクス」が始まってからのここ4年間ではそれが顕著になっています。
 派遣・非正規といった不安定かつ低賃金という雇用形態が大幅に増えています。30年ほど前は、全労働者における非正規の割合は15%ほどでした。それが昨年の時点では37%となりました。働く人の3人に1人以上が非正規になったわけです。
 中には、正社員と同じ仕事をしているのに、給与も福利厚生も大きく差をつけられている、というケースも少なくありません。そのうえ、長年勤め続けても経営側の都合で、あっさり契約を切られてしまう事も多々あります。
 日本共産党は、「正社員が当たり前の世の中」を目指しています。望めば誰もが正社員として安定した仕事ができ、「8時間働けば普通に暮らせる」社会の実現に向け、議会をはじめ、様々なところで頑張っております。
 また、「ブラックバイト」の相談に乗り、職場での問題を解決するお手伝いをさせていただいた事も多数あります。

 さて一方、正社員の労働環境も大幅に悪化しています。平均年収は減り続けています。さらにで、過大な業務量を押し付けられる人が多発しています。しかも、「サービス残業」を強要され、働いた分の賃金すら支払われない、という異常事態も常態化してしまっています。その結果、先日大きく報道されたように、大手広告代理店の電通で、入社したばかりの方が過労でうつ病になり、自殺してしまうという痛ましい事件がありました。
 一体、なぜ過酷な労働を余儀なくされるのでしょうか。それは、少なからぬ経営者が、利益の事だけを考え、社員の健康や生活を考えなくなったからです。そして、「アベノミクス」はそのような経営者の利益第一主義を応援しています。
 実際、今の自民党の国会議員には、社員を過労自殺に追いやった居酒屋の創業者や、月400時間働かせて心臓疾患に追いやったファミレスの元社長などがいます。
 これでは、「ブラック企業」が後を立たないのも当然ではないでしょうか。
 その結果、ここ数年、大企業は毎年史上最高の利益を出し、企業の内部留保は300兆円にものぼりました。この莫大なお金は、社員を搾り取って得たものと言っても過言ではありません。
 この莫大なお金のほんの一部だけでも、働く人のために使うようにさせれば、給与も上がり、社員も増え、一人当たりの労働時間も短くなります。
 日本共産党は、長年にわたり、この莫大な内部留保の存在を指摘し、それを給料を上げる原資にすることを主張しています。また、「サービス残業」については、もし行ったら、規定の倍の残業代を支払わせ、さらにそのような悪質な企業の名前を公表させることを政策としています。

 ところで、このような話をさせていただくと、よく「共産党は議員数が少ないから、実際に政策を実行できないのでは?」と尋ねられる事があります。
 しかし、そのような事はありません。それは、これまでの実績が証明しています。これまで何度も、日本共産党の議員は、悪質な「ブラック企業」の不正を暴き、働く環境を改善させてきました。
 たとえば、「ブラック企業」は固定残業代を含んだ金額を基本給のように見せかけて求人広告を出していました。一例を上げると、求人雑誌やサイトに初任給25万円以上という広告を出すのですが、その実態は、うち4万円は20時間分の固定残業代で、実際の所定内給与は21万円だった、という事が状態化していました。
 このような給与を多く見せかけて社員を募集する慣習の問題点を、日本共産党の吉良よし子議員が国会で質問しました。すると、3日後には厚労省から、そのような事をやめるようにという通達が出されました。
 また、セブン-イレブンは、アルバイトの時給を15分単位としていました。つまり、朝8時46分に出勤して午後6時14分に退勤して休憩1時間の場合、本来なら8時間28分ぶんの賃金を払うべきところを、8時間分しか支払っていなかったのです。
 これは、セブン-イレブン本部が開発し、各店舗で使わせている勤怠管理システムにおいて、そのような設定がされていたためです。要は、グループ全体で、社員・アルバイトに本来払うべき給与をカットしていたのです。
 しかし、セブン-イレブンに行政指導が入り、本部が1分単位で給与を計算するように通達を出さざるをえなくなりました。
 これも、日本共産党のたつみコータロー議員が国会でこの実態を質問したためです。その結果、厚労省も動かざるを得なくなったからです。
 このように、議席数が少なくても、日本共産党の議員達は、働く方々が不当な目に会うことがなくなるよう、懸命に活動し、実績を挙げています。
 今後、議席が増えれば、さらに多くの「ブラック企業」問題を国会で取り上げ、働く皆さんに対する、不当な扱いをやめさせる事ができます。
 そういうわけで、ぜひとも、一人でも多くの日本共産党議員を国会に送っていただきたいとお願い致します。
 このように、日本共産党は、「働き方チェンジ」を掲げ、その実現に向けて日々努力しています。
 「望めばだれもが正社員に」「8時間働けば普通にくらせる」、このような社会を実現させるべく、頑張ります。ぜひとも、皆様のご協力・応援をよろしくお願いいたします。

 さて、働く人が苦労する一方、これから社会にでるべく、勉学に励んでいる若者たちも、かつてないほどの苦境に立たされています。
 現在の日本は、学費が高い上に、それに苦しむ人を助けるための奨学金は利子つきの借金で、その取り立てはサラ金なみと言われています。
 OECD加盟国の中でも、ここまで学ぶ環境が悪い国は日本とハンガリーくらいしかありません。
 以前は、お隣の韓国と、地球の裏側にある南米のチリも、日本と同じ高学費・有利子奨学金制度を持つ学びにくい国でした。しかし、その状況を知って反省した結果、韓国は返済不要の奨学金を拡大し、チリは学費無償化に向けて改革を行いました。
 そのような中、日本だけは、いまだに学生が経済的に苦しむ状況を放置しています。
 その結果、学生たちの多くは生活費のためにアルバイトをせざるを得ません。しかも、そのバイト先の多くは「ブラックバイト」であり、授業やテストを犠牲にしてアルバイトをさせられる、という本末転倒な事が状態化しています。
 日本共産党は、学校に対する予算を増やし、大学授業料を10年間で半減させる事を提案しています。そして、返済不要の給付制奨学金を実現させると同時に、既に大学を卒業して、返済に苦しんでいる方々への救済制度を充実させ、卒業した後、何十年も奨学金返済に悩む、などという事態を根絶させることを目指しています。
 誰もがストレスなく学び、働き、そして老後を過ごせる社会、これが自分の目指している世の中です。それを実現させるためにも、日本共産党へのご支持を、なにとぞよろしくお願いいたします。

 さて、現在の国会は、異常な強行採決が繰り返されています。
 しかも、そのような形で採決されたものは、TPP・年金カット・カジノと、国民の生活には百害あって一理ないものばかりです。
 日本共産党議員団の質問で明らかになりましたが、TPPが発効すれば、危険な農薬や成長ホルモンを使った食品の輸入を拒否できなくなります。
 また、都合の悪い政策を行った国を企業が訴えるISDSという恐るべき仕組みもあります。現にエジプトが最低賃金を挙げた所、このISDS条項で訴えられた、という事例がありました。
 既にアメリカのトランプ次期大統領はこのTPPから離脱すると宣言しています。
 にも関わらず、このように日本にとって百害あって一利ないTPPを進める必要は全くありません。

 年金カット法案ですが、政府は「世代間の公平のため」などと宣伝しています。
 しかし、そんな事はありません。現在、年金を受給している方々の金額が減るのと同様に、我々現役世代が将来受ける年金も減らすのがこの法案です。
 要は、老人世代も現役世代も苦しめ、と言っているわけです。
 カジノについても同様です。日本の刑法では賭博は禁止されています。
 にも関わらず、競馬やパチンコなどで、日本には多数のギャンブル依存症患者が存在します。
 カジノができたら、このような依存症患者がさらに増えること間違いありません。
 日本共産党は、このような自公政権・維新の暴走政治を止めるために全力で頑張っております。何卒、ご支持・ご協力のほど、よろしくお願いします。

 こんな感じで、約30分間話しました。
 終了後、早速、中村市議からは、挨拶の仕方について、教えていただきました。
 また、夕方に行われた会議では、候補者の演説のポイントについての話があり、大変参考になりました。
 それらを取り入れ、人々の心に伝わる演説ができるよう、頑張っていきたいと思っています。

「ブラック労働は消費者のせい」論の根本的な誤りについて

 AERAの11月28日号にもう、24時間働かない!年中無休、24時間営業を見直す企業続々という記事が掲載されました。
 要約すれば、「消費者が低価格で良質なサービスを要求する結果、企業は『ブラック労働』をせざるをえない。『ブラック企業』をなくすには、消費者が我慢する必要がある」というものです。
 2週間前に再配達や年中無休、本当に必要ですか? 過剰品質が働く人を追いつめるという、「『ブラック企業』が存在するのは消費者のせい」と主張する記事が掲載されていました。要は、中一週間あけて、同じ趣旨の記事を繰り返し掲載したわけです。
 電通事件以来、「ブラック労働」が話題になっています。それに対し、AERAは「悪いのは消費者の過剰な要求だ」というキャンペーンを行っているわけです。

 これまでも、AERA並びに親会社の朝日新聞も、この「ブラック労働で苦しんでいる人がいる。彼らの苦労の原因は消費者が求める過剰サービスのせいだ」という記事を定期的に発表します。
 今年の5月にはAERAに「代わりがいない」から追いつめられる 中小労働者の嘆きという記事が載りました。また、昨年暮れには朝日新聞に仕事のために生きる? 長時間労働はなくせないのかという記事が載りました。
 いずれも、「ブラック企業」に苦しめられている労働者のルポですが、締めには同じような主張が書かれています。
 5月のAERAは「その全人格労働に追い込むのは、何も会社だけではない。何の疑問も抱かずに24時間営業のコンビニや深夜まで営業するスーパーを利用する私たちも、全人格労働の加担者なのかもしれない。そう自覚することが、自分の労働環境をよりよくする第一歩になる。」でした。
 同様に、昨年の朝日新聞は「今回いただいた、「過剰なサービスを要求している私たちが、長時間労働を生んでいる」とのご指摘は問題の一端を切り取っており、さらに掘り下げたいと感じました。」で締められていました。
 どうやら、朝日新聞社の「社論」は、「ブラック企業」で働く労働者の苦しみは、消費者のせいである、というもののようです。
 しかし、この主張には根本的な誤りがあると言わざるを得ません。

 これは、ちょっと「企業の常識」を考えればわかります。確かに、企業は、自分の商品・サービスを購入する顧客企業・消費者の意向を参考にして、商品・サービスを作ります。
 しかし、それには重要な前提があります。それは、「消費者の要望のうち、実際に採用されるのは、企業が儲かると判断したものだけだ」という事です。
 たとえば、スーパーで買物をしている人ならば、「スーパーのレジで行列ができているのに、隣のレジは閉まっており待たされる。全部のレジを開けてほしい」と思った事はあるでしょう。
 また、「お客様窓口に電話すると長時間待たされる。もっとすぐに出てほしい」と思った人も少なからずいると思います。
 しかし、いくら消費者が望んでも、それらの要望が解決することはありません。なぜなら、それをやっても企業にとっては利益にならないからです。
 AERAや朝日新聞がやり玉に上げている「24時間営業」や「宅配便の時間指定」も同様です。これらも企業が儲かるからやっているに過ぎません。

 では、働く人が苦しんでいるのが「消費者の過剰な要求」でないとしたら、何が労働者を苦しめているのでしょうか。
 答えは明白です。それは、企業が法令違反をやるからです。
 宅配便の件で言えば、AERAが「宅配労働者の苦労は、消費者の過剰要求のせいだ」という趣旨の記事を流した直後に、ヤマト運輸が残業代未払いで是正勧告を受け佐川急便の道交法違反が発覚しました。
 この現実からも、宅配労働者が疲弊しているのは、「消費者の過剰な要求」などのせいでなく、単に運営会社が利益を上げるために違法行為をやっているから、という事は明白ではないでしょうか。

 ところで、AERA・朝日の論調によれば、「消費者が不便さに我慢すれば『ブラック労働』はなくなる」なわけです。ところが、2年半ほど前に見た朝日の記事は、それと大きく異なるものでした。
 2014年3月に、相模鉄道がストライキをしました。労働者の待遇を上げるために、労働者としての権利を行使したわけです。
 それを報じた朝日の記事がありました。
 上に挙げたような論調にならうなら「消費者の過剰な要求が労働者を苦しめるのだ。だから年中無休で電車に動いてほしいなど過剰な要求などすべきでない。半日程度の運休など我慢すべきだ」と記事の中に書くのが自然でしょう。
 しかし、そのような視点は一切ありませんでした。
 その記事は「交通機関が止まったことに激怒する利用者」の談話だけを取っていました。さらに、最後には「クレーマー」としか言いようのない極めて非常識な乗客の行動すら、無批判に記事にしているのです。
 つまり、実際に「労働環境向上のために消費者が我慢すべき事態」が生じたら、「労働者がストをするとこんなに迷惑がかかる。それに対し、消費者は我慢する必要はない」という記事を書いているわけです。
 これを読めば、朝日新聞・AERAの「ブラック労働」記事がいかに空虚なものであるかが分かるのではないでしょうか。
 ちなみに本日も、川崎のバス会社でストがありましたが、各マスコミの記事は「10万人の足に影響が出た」とか「バスがなくて困った乗客の声」と「ストの害悪」ばかり報じました。そして、ストライキを行った労働者側の立場での報道は一切ありませんでした。

 「消費者が我慢をすれば『ブラック労働』は減らせる」というのは、一見、立派な主張に見えます。
 確かに筆者自身も、消費者の行動でおかしいと思うことはあります。
 しかし、その「消費者の過剰な要求」と「『ブラック企業』が違法労働する」事には、何の因果関係もないのです。
 にも関わらず、これらの記事は、その事実を歪めて消費者に責任を押し付け、「ブラック労働」を発生させている経営者の責任を隠しています。
 したがって、ここで紹介した記事を見たときは、「我々消費者も考え方を改めねば」などと真に受ける必要は一切ありません。
 単に、ああ、また商業マスコミが、お仲間の「ブラック経営者」擁護の記事を書いたな、と思えばいいだけの話なのです。