カテゴリー別アーカイブ: 報道

「野党の政策には財源が示されない」という誤情報について

 日本共産党を含む野党に対する、商業マスコミが行う批判の定番が二つあります。
 一つは「野党は批判ばかりで対案がない」で、もう一つは「野党の政策には財源が示されていない」です。
 筆者が子どもの頃、初めて新聞を読んだ頃から、使われ続けている言葉です。
 しかしながら、この言説は事実に反しています。
 今回はその二つの誤情報のうち、「野党の政策に財源が示されていない」がいかに間違っているかについて説明します。

 たとえば、一昨年の参院選で日本共産党が掲げた政策です。このように、具体的な方策と、それによって生じる歳入を計算して示した上で、日本共産党の主張する政策の財源を示しています。

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神戸児相「追い返し」事件と報道

 2020年2月19日に、マスコミ各社が、「神戸市の児童相談所に深夜、小学生が助けを求めて訪ねたが、宿直の人はインターフォン越しに、警察に行くように促した、という「事件」を報道しました。
 各紙の報道を見ると、「当直義務を請け負うNPO法人の職員が対応し、マニュアルに反した対応をした」などと、いかにも、当直していた人が誤りをおかした、という「報道」になっていました。
 しかし、これらの「報道」は今回の事件の本質とかけ離れた、極めて皮相的なものでしかありませんでした。

 この問題の本質は、「職員の不適切な対応」ではありませんでした。
 それを明らかにしたのは、これらの報道があったその2月19日に開催された神戸市議会における、日本共産党の味口としゆき市議の質問でした。
 そこで、味口市議は、この当直していた「職員」は、児童福祉司などの資格を持っておらず、子どもを保護する権限がなかった事を明らかにしました。
 つまり、問題なのは、当直していた人の対応ではありませんでした。重要な仕事であるにも関わらず、専門職としての資格もなければ権限もない「有償ボランティア」に児童相談所の当直をさせていた神戸市だった事が明らかになったのです。
 しかし、事件が明らかになった日とは違い、この事実を報道したのは、「しんぶん赤旗」くらいでした。

 この記事をツイッターで紹介すると、大きな反響がありました。2万4千回以上リツイートされ、2万9千個以上の「いいね」がつきました。
 投稿記事は358万回以上、添付した赤旗記事は28万9千回以上閲覧されました。
 また、多くの方から、「マスコミが報じていない本当の事がわかった」などという反響をいただきました。

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棄権を推奨するマスコミ報道

 今回の参院選は、投票率が5割を切りました。現在、それについて、各商業マスコミが報道・論評しています。
 それらのいずれも、「投票率が低いことは良くないこと」という論調になっています。
 もちろん、筆者もその論調には賛成です。しかしながら選挙が終わったら急にそのような「低投票率批判」を、商業マスコミが行ったことには強い違和感がありました。

 一例として、7月23日に掲載された毎日新聞の社説を紹介します。
 「これは極めて危機的な状況だと国民全体で受け止めたい。」などと論じます。
 そして、低投票率の理由は「国民の興味や関心」が削がれているから、と論拠もなく決めつけ、その原因として「責任はもちろん、与野党双方にある」とこれまた論拠もなく決めつけています。
 「投票率が低いことは良くない」のは事実ですが、この社説のように「与野党双方に責任がある」とする論理は完全に破綻しています。

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