政治に魅力がないから投票率は下がって当然?

 昨年末に行われた衆議院選挙の投票率は52.66%となり、戦後最低だった前回の投票率よりさらに下がりました。
 それに報じたマスコミの記事をいくつか見ました。
 たいてい、投票に行かなかった人が出てきて、その理由を語ります。それを受けた記者は「政治に魅力がない事が投票率低下の原因なのではないだろうか」などと、「政治批判」をします。
 一時期は、AKBの「総選挙」が行われるたびに、「こっちより衆院選総選挙の投票率が低い。それだけ政治家には魅力がない」などと吹聴していました。
 しかし、この論法には非常におかしいところがあります。

  「魅力」を辞書で引くと「人の心をこころよく引きつける力」とありました。
 ならば、「魅力のない政治」というのは、「人の心を引きつけない政治」という事になります。
 確かに、現在の自公政権が行っている政治は、消費税増税や円安で物価を上げ、その一方で社会保障は切り捨てるなど、「人の心を引きつけない政治」=「魅力のない政治」です。
 その結果、投票率が下がったという分析なわけです。では、その結果、一番得をしたのはどの政党なのでしょうか。

 実は、投票率が下がれば有利になるのは自民党と公明党なのです。
 公明党には創価学会という、強力な組織票があるのは有名です。同様に、自民党にも宗教団体をはじめ、豊富な集票組織があります。
 昨年末の選挙でも、自民党の幹事長が「投票率が下がりそうなので勝てそうだ」と言っていました。さらに、かつての自民党総裁であった森氏は「無党派層が家で寝ていてくれれば有難い」といっています。
 実際、投票率が下がった今回の選挙で、自民党は議席数を少々減らしたものの、その分、公明党が議席を増やしました。
 そして、各マスコミはこの結果を「自公圧勝」と報道したわけです。

 これらの結果をまとめると、以下のようになります。

  1. 自公政権は、一般庶民が困るような「魅力のない政治」を行っている。
  2. 「魅力のない政治」が行われた結果、投票率が下がった。
  3. 投票率が下がった結果、自公は「圧勝」した。

 つまり、自公政権が一般庶民を困らせる「魅力のない政治」を行えば行うほど、その政権は安泰になる、という事になってしまいます。

 なぜ、このような奇妙な結果になるのでしょうか。
 問題点は、「魅力のない政治を行えば投票率が下がる」という部分にあります。
 今もそうですが、「魅力のない政治」が行われれば、多くの一般庶民は不利益をこうむります。
 それを変えるには、投票に行って、「魅力のない政治」と反対の主張をする政党・候補に投票するのが最善の方法です。
 ところが、マスコミは「政治に魅力がないから投票率が下がる」などと、政治に対する不満を、棄権に結びつけるよう誘導しているのです。
 これに限らず、有権者の「政治への不満」が「棄権」に向かうよう、マスコミは選挙の度に「報道」します

 昨年末の総選挙で、投票率の最低記録を更新したというのにも、このような「棄権誘導報道」が大きく貢献したのでしょう。
 「圧勝」した安倍首相は、選挙の直後に、マスコミ幹部を集めて寿司屋で「オフレコ会議」を開催した事からも、それは分かります。
 つまり、「政治に魅力がない」と感じた人が、マスコミの報道にしたがって「棄権」という選択をするのは、「魅力のない政治」をする連中にとって思う壺なのです。

 今回行われる地方選挙においても、マスコミは同様の誘導を行っています。それを真に受けて棄権することは、より一層「魅力のない政治」が行われる事に貢献する結果にしかなりません。
 マスコミの誘導通りに棄権すれば、ますます、自民・公明などによる「魅力のない政治」がよりひどくなるわけです。
 具体的に何が行われるかと言えば、子育て・教育・福祉などが削減され、国保料・年金などの負担ばかり増える政治です。
 また、保育園増設・学校へのエアコン設置などの改良・生活道路改修などの普通に暮らす人にとって必要な公共事業は後回しにされ、代わりに、高速道路や豪華市庁舎建設のような、一部の人にしか得にならない公共事業ばかりが行われます。
 それを防ごうと思うなら、そのような政治と正面から対峙する政党の候補が当選するのが、「魅力なのない政治」を防ぐ最善の手段となります。
 なお、自分の住む千葉県・千葉市の議会は、共産党以外の政党は、知事・市長のオール与党となっています。
 そのため、花見川区に住む自分は、そこから県議会に立候補する寺尾さとしさん、市議会に立候補する中村きみえさんを応援しています。
 お住まいの選挙区に共産党候補が出ている場合は共産党に、もし共産党の候補者がいなければ、議会の実績などを検討し、少しでも自公政治に対峙する姿勢を持つ政党の候補に投票するのが「魅力ある政治」を実現させる一歩になるのではないでしょうか。
 繰り返しになりますが、マスコミの誘導どおりに棄権をすれば、それは「より魅力のない政治」への手助けにしかなりません。