未納首相の「前科」

 主要閣僚から始まった国民年金未納は、民主党党首から公明党党首を経て、ついに首相のまで判明したようです。加入が義務付けられた1986年以前だったとか弁明しているようです。しかし、そんな事はなんの言い訳にもなりません。これまで散々、「未納はない」と言い続けてきたにも関わらず、実は未納期間があった、というのが大問題なのです。
過去の納付についてきちんと調べていないなら「調査中」と正直に言えばいいだけの話です。それを、確認もぜずに断言していたわけです。
 首相をはじめ、このような言動はこれが初めてではありません。一年ちょと前には自らのメールマガジンでこのイラクの大量破壊兵器が世界の平和に対する重大な脅威になっているなどと書いて、イラク侵略容認の正当性を主張しました。しかし、占領下においても大量破壊兵器は発見されず、その存在の「証拠」となった開戦時の情報の信憑性も問題になっています。にもかかわらず、いまだにその「大量破壊兵器保持を断言」した事に対する指摘には、まともに答えていません。
 身近な人間がこのような無責任な言動を連発すれば、誰でもその人間へとの付き合い方を考え直すでしょう。ところが、この人物はいまだに首相として行政の責任者であり続けています。
 あと、未納した政治業者などからよく「未納があったのは、制度のせいだ」などと主張し、それにより現在勧めている年金改悪を正当化しようとする発言があります。これは、現在の制度をきちんと把握していないくせに、制度を変えようとしている、という無責任な状態を公言しているようなものです。そのような連中に、現在の年金制度をどうこうする資格などあるのでしょうか。
 10年ほど前、「政治とカネ」が問題になった時、その当事者である政治業者達が行った「政治改革」は「小選挙区制」「5年後に企業献金を禁止する事を前提とした政党助成欣導入」でした。その結果は、「小選挙区制のもとで続々逮捕者が出る金権選挙」「企業献金はそのままで、政党助成金は何十億も税金から受け取る」でした。腐敗している連中に腐敗を正す事などできるわけがないのです。年金制度改悪も同じ連中がやっているだけに、同じ結果になるのがオチでしょう。
 それにしても、発言した事に一切責任を持とうとしない首相と、それを容認する風土、というのは本当に恐ろしいものです。これを「上手く」使えば、いくらでも国民をだまして不利益な制度を作ることができるわけですから。