殺人協力に内閣の存廃をかける首相

 安倍首相が、テロ対策特別措置法に基づくインド洋での自衛隊の給油活動を継続するための法整備について「職を賭して取り組んでいかないといけない」と表明した。(中略)内閣総辞職の可能性を示唆した。そうです。
 「テロ対策」「給油活動」などという字面だけ見ると、なんかテロ活動を防ぐために協力しているように見えます。しかし、実態はただの米軍の兵站活動です。さらに、建前ではアフガニスタンの「テロ対策」にのみに給油しているはずが、実際に給油を受けた米軍機は、イラクやソマリアへ飛んでいって軍事活動をしているという疑惑も発生しています。

 もちろん。アフガニスタンの「対テロ活動」に協力する事ですら、「テロをなくすこと」には何の役にも立っていません。アメリカが空襲を初めてから5年以上たっていますが、当初の目的だったビンラディン容疑者に関しては何ら進展はありません。タリバンも相変らず活動しており、先日も人質事件が発生したばかりです。
 そのような中、空襲活動は続き、民間人が殺されているようです(資料1資料2)。米軍の空襲が「軍事拠点を叩く」という建前のもと、軍関係者よりよっぽど多くの民間人を殺す、というのは六十数年前の日本の時と、何ら変わっていない模様です。そして、かつて民間人を空襲で虐殺された日本が「テロ特措法」に基づいて、その米軍機の燃料を給油し、アフガニスタン人虐殺に一役買っているわけです。
 「テロ特措法」の建前部分だけでこのような「結果」しか出ていないわけです。同様に、ソマリアなどで行っている「対テロ活動」の結果がどのようなものか、という事も簡単に想像できます。そして、ソマリアやイラクでいくら一般人が死んだところで、「テロの危険性」は何らなくなりません。
 とはいえ、このような「対テロ活動」が続く限り、軍需産業は儲かり続けます。その構造がなくならない限り、日本は給油を求められ続けるでしょう。そして、そのために、我々の支払った税金が使われ続けようとされているわけです。

 今回の総辞職うんぬんの真意はわかりません。単に、参院選で負けた上に、大見得はって選出した新閣僚が「政治とカネ」でボロボロとなり、その結果として自民党や財界が安倍首相を見限っただけ、という気もします。そしてどうせ辞めるなら、せめてアメリカへの忠誠心だけは見せておこう、という意図なのかもしれません。
 そのへんの事情を知るすべはありません。しかしながら、仮にも平和憲法を戴いている国の首相が、「米軍の人殺しの協力の継続に、内閣の存廃をかける」などと公言し、それが普通の事のように報道される、という状況には、改めて異常なものを感じました。