質の低下

 佐世保で発生した小学生殺人事件ですが、相も変わらず、皮相的な報道が目立ちます。最初は「インターネットにひそむ闇」で次は「影響を与えたTV・映画」。あまりにも皮相的すぎます。別に、インターネットがなくて、「バトルロワイヤル」を見ていなければ、このような事件が起きなかった、などという事にはならないと思うのですが・・・。
 今回の事件の衝撃性というのは、「従来の事件よりさらに低い年齢の人による殺人」にあるはずです。そのような殺人に対する禁忌の低下についてではなく、皮相的な事ばかり報じているわけです。本質に全然目をむけずに「商業的価値のあるネタ」ばかりあさるあたり、相変わらず進歩がありません。

 もっとも、この件に関する閣僚の発言に比べれば、「進歩がない」報道はまだマシと言えるかもしれません。まず、防災担当大臣が「元気な女性が多くなってきた」と言い、それを「擁護」する形で財務大臣が「若いころ、放火は女性の犯罪だった。男もやりますが、どちらかというと女の犯罪。カッターナイフで首を切るのは女性もやるが、圧倒的に大人の男の犯罪でした」と発言したそうです(参考サイト)。
 人を殺すのは「元気なこと」で、「男女差の変化」と関係があるとでも言うのでしょうか。見当違いなどという言葉では論評できないほどの「たわごと」です。このような見識の連中が、「防災」や「財務」の責任者であるわけです。これでは、生活の安全も国家財政も良くなるわけがありません。
 私は昔から自民党が嫌いで、閣僚などの「不見識発言」はいろいろと聞き、その度に不快感をおぼえていました。とはいえ、同じ「不見識」でも、より質が低下しているように思えます。

 ちなみに、東京新聞によると、「二〇〇二年度に放火罪で新たに受刑した人のうち男性は二百七十二人、女性は三十八人です」。同財務相の「若いころ」だった四十年前(当時十九歳)の一九六四年は、男性三百三十三人、女性三十四人(司法統計年報)で、女性が占める割合はほぼ変わっていない。だそうです。
 つまり、「放火は女性の犯罪」などというのは、井上氏の妄想でしかありません。そのようなものを「根拠」に公の場で発言し、しかも撤回も訂正もしない。繰り返しますが、こんな程度の人間が「財務大臣」をやっている国、というはかなりまずいのでは、と改めて思った次第です。