何の「作戦」がどのように「成功」?

 ファルージャの虐殺は、アメリカ軍によると制圧作戦が完了したとのことです(「武装勢力」側の発表は異なるようですが)。そして現時点での死者は「武装勢力」だけで1,200人とのことでした。
 虐殺が始まる前、アメリカ軍は目的として「ザルカウィ容疑者の拘束」「『テロリスト』の一掃」「1月に予定されている選挙実施のため」などを挙げていました。しかし、虐殺前はファルージャにいると言われていたザルカウィ容疑者は気配すらつかめませんでした。武装勢力は各地で蜂起しているようです。また、この虐殺を原因とした選挙ボイコットの動きも出ているようです。
 この状況を見ると、確かにファルージャ制圧はできたものの、主要目的はほとんど達成できず、作戦は大失敗だったと考えるのが妥当なように思えます。しかし、アメリカ軍からもイラク暫定政府からも、そのような反省の談話と思しきものは見当たりません。むしろ、成功を喜ぶようなものばかりです。

 となると、いったいアメリカ軍の本当の目的は何だったのでしょうか。どうやら大々的に宣伝した「テロ撲滅」や「選挙実現」ではなかったようです。
 ニュースなどでも紹介しましたが、今回の虐殺で最初にアメリカ軍が行ったのは病院の攻撃でした。また、市街への道を封鎖して、赤新月社(日本で言うところの赤十字)などの救援物資も怪我人には届かなくしています。さらに、ファルージャの情報を紹介しているブログによると、クラスター爆弾をはじめ、残虐兵器を使いまくっているとの事です。
 一方、発表される情報も一方的かつ都合のいいものばかり。民間人をどのくらい殺したかなど、調べる気もあまりないようです。

 これらの情報をまとめてみると、アメリカ軍の目的は最初から「いかに効率よく住民を殺戮し、かつその事実を隠蔽できるか」だったのでは、と思えてきます。病院への攻撃や赤新月社に対する妨害なども、「生き残り」を可能な限り少なくして、虐殺の証言をさせないためなのではないでしょうか。
 ただ、現地や周辺の人などの発する情報がネットで流れ、それを翻訳してくれる人などもいます。そのおかげで、アメリカ軍の残虐行為についての情報を我々もリアルタイムに近い形で入手できる事ができています。
 商業マスコミなどを介さないこれらの情報がうまく活用され、今回の虐殺の全体像が暴かれる日がくる事を願っている次第です。