「反論」からわかるもの

 4年前にNHKが放送しようとした従軍慰安婦関係の番組が放映直前に内容を大幅に変更される、という事がありました。そのプロデューサーが内部告発をし、それを朝日新聞が報じました。それに対し、当事者とされた自民党の安倍幹事長代理が「反論」していました。
 しかし、その内容は「私が(NHK関係者を)呼びつけたということはない。事実誤認だ」「(番組が)ずいぶんひどい内容になっていると聞いたので『NHKですから公平公正にやってくださいね』と話した。」といったものでした。
 要は、「NHKには、自民党政府の意向に従わない番組が放映されそうになると、こちらが呼ぶまでもなく、自民党の政治家に注進に来る人がいる」「そうやって来た人間に対し、放映前にその番組の内容について、『どのような立場で放送すべきか』を指摘していた」というわけです。
 なんか、「朝日が批判的な報道をしたから怒っている」だけで、「NHKと自民党政治家の親密ぶり」や「自分達番組の放映内容について事前に意見を述べ、その結果番組の内容が大幅に変わった事」などが露見した事自体については、別にどうとも思っていないようです。
 彼らを擁護した小泉首相を含め、「自分達の考え方に反する事は『公平公正』ではない」→「そうである以上、報道内容について『指摘』をするのは当然の権利」と考えている事がよく分かった「反論」でした。