犯罪企業を宣伝した会社

 サラ金のアイフルが、度重なる違法行為のため、金融庁に業務停止命令を受けました。過酷な取り立てのみならず、顧客の同意なしに委任状を作成して戸籍謄本などを取得するといった犯罪行為まで行っていたようです。
 ちょうど、TVのニュースをつけたら、この件を報じており、処分が下った事・その原因となった問題行為・アイフル社長の会見などが流れていました。さて次は、この会社の広告を流した事に関してTV局自らはどんな言い訳ををするのだろうか、と期待していました。ところがそこでこの事件に関する報道は終わり、次のニュースに切り替わりました。
 確かに、様々な違法行為をしたのはアイフルです。しかし、TVを初めとする各メディアは、これを他人事のように報道できる立場なのでしょうか。
 アイフルに限った事ではありませんが、大手サラ金の名前は、TV・新聞をはじめ、各種の広告で流れています。しばらく前から、夜間限定に戻ったようですが、それまでは一日中流れていました。その浸透具合は、街中で子供がサラ金のCMソングを口ずさむほどでした。

 これがまだ、「これまで、世間的にアイフルは問題のない企業と思われており、このような裏があったとは誰もが知らなかった」という状況なら、今回の処分に対し、各メディアが広告を流していた自らの責任にふれないのも理解できます。しかし、そのような事はありません。出資法と利息制限法の間の「グレーゾーン金利」をはじめ、その取り立てなどは何度も問題になっていました。そして、各メディアには何度も広告掲載に対する苦情が届いていました。
 にも関わらず、各メディアはアイフルを宣伝し続けていたわけです。それどこか、「サラ金広告に出演している女性の衣装がどうこう」などという、広告としか思えないような「記事」を書いた、TV局系列の夕刊紙なども存在しました。その宣伝がきっかけで借金してしまい、被害にあってしまった人も少なくないでしょう。
 にも関わらず、今回の事件を報じる中で、「アイフルの悪質取り立てとは」などという報道は見るものの、「それを自らの媒体で宣伝した」事にふれた報道を少なくとも私は見ていません。先方としてはいろいろな理屈をつけて自己弁護できるのでしょう。しかし、見る方にとっては、ニュースだろうと広告だろうと、そのチャンネルから流れてくる、という事に関しては全く同じものです。
 もっとも、冤罪だった事件の「犯人」に対する報道およびその後の対応などを見ていると、このような各メディアの無責任体質は今回の件に限った事ではないとも言えます。まあ、TVなどから流れるものは「今後の日本の財政を守るためには」とか「日本の安全のためには」などと大上段に構えた番組も、「どうする、アイフル」も同じようなものだと考えておいたほうがいい、という事なのかもしれません。

犯罪企業を宣伝した会社」への1件のフィードバック

  1. アイフル業務停止と金融資本・闇社会

     「社内では『取り立ては計画的に』だったんでしょうなあ。消費者金融の大手、アイフ

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