政権公約の解釈方法

 選挙のしばらく前に、政府税調が「定率減税全廃、配偶者控除、扶養控除の廃止」などを盛り込んだ、「サラリーマン増税」と呼ばれるものを発表しました。それに対し、自民党は選挙公約で引き続き聖域なき歳出改革に果断に取り組みながら、国民の合意を得つつ、新しい時代にふさわしい税体系を構築する。その中で所得税については、所得が捕捉しやすい「サラリーマン増税」を行うとの政府税調の考え方はとらない。と公約しました。
 ところが、選挙が終わるとすぐに、その政府税調にあった「定率減税の撤廃」に向けて動き出しました。それに対し、「公約違反だ」と問われると、小泉首相はゆっくりとマニフェストを朗読した後、「サラリーマンだけを対象とした増税は行わない、ということだ」とかわしたそうです。
 もしかすると、「サラリーマンだけに増税するわけではなく、自営業者や公務員にも増税するから『サラリーマン増税』ではない」という論法なのでしょう。しかし、実際にサラリーマンは増税をされるわけです。
 だいたい、上に引用した政権公約を読んで、「これは、サラリーマンに対する増税はするが、他の職業の人にも増税するから『サラリーマン増税』という考え方はとらない」と解釈するのは、一般的には難しいのではないでしょうか。少なくとも、あの政権公約を見て、「自民党が選挙後にサラリーマンの税率を上げるつもりだ」と考えたのは、「自民党の政権公約など、しょせんは「このくらいの約束を守らなかったというのは大したことではない」という程度のものだ、と認識している私のような人を除けばいなかったのではないでしょうか。

 これでまだ、政権公約の全てを反故にしてくれるのなら、まだ救いがあります。しかし、「改憲して戦争を起こせるようにする」だの、「教育基本法を変え、戦前のような教育にする」など、国民にとって害になるものは、約束通りに履行する雰囲気なのですから、より一層困ります。

 なお、本記事の例に代表されるように、国民にとって不利益になるような政治を行いつづけている自民党がなぜ先の選挙で大勝したかの原因についての一考察「民」の最新手法を導入した選挙宣伝を、長文集に掲載しました。あわせてお読みいただけると幸いです。

政権公約の解釈方法」への2件のフィードバック

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