前回、安倍首相が、常日頃「アベノミクスの成果」として誇っている有効求人倍率が、雇用や景気の改善の指標ではない事を、バブル期の有効求人倍率と比較しながら述べました。
今回は、より具体的な例を挙げて、現在の有効求人倍率の高さの中身について論じてみます。
その前に、有効求人倍率の定義について、再確認してみようと思います。
有効求人倍率とは、ハローワークにおける「求人の数÷求職者の数」です。あくまでも「求人の数」ですので、月給100万円の正社員募集でも、週20時間勤務のパート・アルバイトの募集でも、「求人数1人」と数えられるわけです。
ここに注目しながら、ある会社の事例を紹介します。
ある、アルバイトを何千人も雇用している会社が、「勤務時間が週に30時間を越えているアルバイト」をリストアップしました。
勤務時間が週30時間を越えると、正社員でなくても、会社には社会保険に加入させる義務が生じます。
保険料は企業と従業員が折半なので、会社にも費用が発生します。
利益を増やすために経営層は、この社会保険料の会社負担を節減する事にしたわけです。